福地 純一郎(フクチ ジュンイチロウ)教授

福地 純一郎 教授

福地 純一郎(フクチ ジュンイチロウ)教授
経済学科:統計学

略歴

  • 1994 年 アイオワ州立大学大学院卒業, Ph. D.(統計学)
  • 1995 年~ 1999 年8月 広島大学経済学部講師、助教授
  • 2000 年9月 学習院大学経済学部教授

連絡先

E-mail:add_junichiro_fukuchi.png

研究分野

統計学、計量経済学

研究テーマ

母集団選択、リサンプリング法

主要業績

  1. "Bootstrapping extremes of i. i. d. Random variables"(K. B. Athreya 教授と共著), in Extreme Value Theory and Applications, Volume 3, NIST Special Publication 866(1994).
  2. "Confidence Intervals for endpoints of a cdf via bootstrap"(K. B. Athreya 教授と共著), Journal of statistical Planning and Inference( 1997), 58, 299-320.
  3. 「日次収益率と日次ボラティリティー時系列のモデリング」(J. M. Pinto DosSantos 教授と共著),Proceedings of the 4th JAFEE International Conference on Investments and Derivatives(1997), 23-30.
  4. "On the bootstrap and the moving block bootstrap for the maximum of a stationary process"(K. B.Athreya 教授, S. N. Lahiri 教授と共著), Journal of Statistical Planning and Inference(1999), 76,1-17.
  5. "Subsampling and model selection in time series analysis", Biometrika(1999), 86, 591-604.
  6. 「平均分散モデルにおける最適ポートフォリオのリスク推定」(吉田あつし教授と共著)、金融工学と資本市場の計量分析(ジャフィー・ジャーナル2003、東洋経済新報社)
  7. 「モーメント法」、「標本分布」。金融工学辞典(朝倉書店)に収録。
  8. 「レベニューマネジメントにおける統計的手法」(砂見しづゑ氏と共著)。経済論集、2005。
  9. 「ホテル予約客室数予測のバイアス補正法について」(共著)。学習院大学経済経営研究所年報、2006。
  10. 「変額保険リスクとVaR の推定」(桑名陽一教授と共著)。「リスクの科学−金融と保険のモデル分析」 (2007 年、小暮厚之編著、朝倉書店)に収録。
  11. 「Rによる計量経済分析」伊藤有希教授と共著、朝倉書店、2011 年。
  12. 「自動販売機コラム割当最適化問題」(竹内俊子講師、伊藤一教授と共著)、学習院大学経済論集、2012年。
  13. 「経済時系列分析ハンドブック」、刈屋、前川、矢島、福地、川崎(共編)、朝倉書店、2012 年。
  14. 「時系列分析ハンドブック(翻訳)」、北川、田中、川崎(共編)、第2 章 時系列データの線形性検定: 伝 統的方法とブートストラップ法、朝倉書店、2016 年。
  15. "A Note on Bootstrap for Gupta's Subset Selection Procedure", Sankhya A, 2019, 1-19.

学外での活動

Research Excellence Award(1994 年、アイオワ州立大学), オーストラリア国立大学数理科学センターにて客員研究員(1997 年10 月~ 1998 年3月), ニューヨーク大学Stern ビジネススクールにて客員研究員(2006 年4月~ 2007 年3月),東京大学総合文化研究科客員教授(2015 年4月~ 2016 年3月)

学会等の活動:日本統計学会和文誌編集委員、日本統計学会広報理事(2007~2009)、日本統計学会, 第7回日本統計学会春季大会 実行委員長、統計質保証推進協会理事(2014年4月~ 2017年5月)、日本統計学会プログラム委員(2018年9月~2020年8月)、統計質保証推進協会統計検定運営委員(2017年~)、統計検定運営委員長(2023年10月~)

私が担当する講義・演習

統計学入門Ⅰ、Ⅱ

統計学はデータを分析し、一定の結論を得るための手法です。統計学が役立つ分野は、経済学、経営学に限らず、医学、薬学、社会学、心理学、など広く、ビジネスにおける意思決定の基礎としても利用されています。経済学科では、「統計学入門Ⅰ」「統計学入門Ⅱ」、「統計学」、「計量経済学」やその他の科目で統計的手法が学べます。
「統計学入門Ⅰ」では、データ分析の方法と確率の基礎を学びます。「統計学入門Ⅱ」では、確率変数と確率変数に基づいた統計的手法を学びます。第一学期の後半から定積分も利用し、難易度が少し上がってきます。出席することが重要です。「経済数学Ⅰ、Ⅱ」の内容は統計学の理解に役立つので、「経済数学Ⅰ、Ⅱ」を1年次に履修することを強く勧めます。統計学には、データを分析するという実践的な役割を持ち、かつ体系的な学問であるという、二つの魅力を持っています。一人でも多くの人が統計学の魅力を感じられることを期待しています。統計学をじっくり学び、人にデータ分析についてアドバイスできるような知識を身に付けましょう。

経済学特殊講義(Rによる因果推論)

Rは現在、最も標準的と考えられるデータ分析ソフト・言語です。Rはフリーなので、インストールさえすればどこでも利用できます。データ分析を行う人にとって、Rの知識は常識になっています。この授業では、テキストを用いて講義・実習・プログラミング・ 課題提出・データ分析を行うことによって Rによってデータ処理・分析を行う力を付けます。受講するための前提知識は「統計学入門Ⅰ、Ⅱ」です。疑問点や忘れた内容はネットなどで調べる態度が必要です。

演習(2年、3年)
演習ではデータ分析を学びます。2020年入ゼミの演習では、2年次でPython を学びました。3年次に発展したデータ分析を学び、データサイエンスのコンペティション(SIGNATE)に参加し機械学習による予測を行い好成績をあげました。

メッセージ

私の専門分野は統計学の理論と応用です。多くの出来事は、それが自然現象であれ社会現象であれ、完全に決定論的なメカニズムでは説明できません。多くの現象で不確実性が伴い、はっきりとした因果関係がわかりません。自然現象であれば、医学、薬学などでそういった現象が多く、人間の行動がかかわっている心理学、政治学、社会学、経済学、経営学などでは、さらに不確実性をもたらす要因が増えます。そういった分野で得られるデータを用いて有意味な結論を導くとき、統計学が活躍をします。また、コンピュータ、情報処理技術および機械学習の発達とともに、利用可能なデータの量は飛躍的に増加し、統計学の手法も驚くほど変化しています。
そのような背景から、統計学は社会人にとって必須の知識と考えられています。しかし、それを正確に使用できる人間はまだまだ少なく、「統計家」(データサイエンティスト)という人材の需要は今後も増え続けるでしょう。統計学には実際のデータを分析するという実践的な側面がある一方、その基盤は確率や統計理論などの理論的基礎があります。つまり地道な理解を積みあげれば誰でも統計学を理解できるということを意味します。
学習院大学の経済学科では、一年生で「統計学入門Ⅰ、Ⅱ」を学びます。統計学の理解のためには、微分積分などの数学も必要ですので「経済数学」の授業で身に付けましょう。これらの知識は広い分野で役立ちます。私自身は、最初は心理学を学ぶつもりで大学に入学しましたが、入学して1年以上経過したところで経済学に魅力を感じ方向転換しました。さらに勉強をしていくうちに、専門が統計学に変化していきました。学部時代には、学内外の二人の先生の指導と会話による影響で統計学・計量経済分析の専門家を志すようになりました。大学時代は、一般に、多くの試みと経験を積んで、自分の専門性を模索する時期かと思います。学習院大学という恵まれた環境で豊かな知的ネットワークを築き切磋琢磨し、飛躍的に知的能力を伸ばし、実りの多い4年間を送ることを期待します。

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