1982年一橋大学経済学部卒業。その後Chase Manhattan 銀行、日本興業銀行(London、本店)、Bank of America Int l(London)、Morgan Stanley(東京)等に勤務した後、1999 年4月一橋大学大学院商学研究科入学。
2004 年3月一橋大学大学院商学研究科博士課程修了、博士(商学)取得。2004年4月から一橋大学大学院商学研究科助手、2006 年4月明海大学経済学部准教授、2008 年4月専修大学商学部准教授を経て、
2012 年4月より学習院大学経済学部教授就任。
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国際金融論(国際通貨政策、通貨バスケット、国際資本フロー、貿易建値通貨等に関わる実証分析と政策提言、アジアにおける金融セーフティネット現地通貨利用の促進)
論文(査読付き)
著書:
『グローバル・インバランスと国際通貨体制』(編著)第5章「アジア通貨を巡る課題と展望」、東洋経済新報社(2013.2)
「相場が大きく動くのはなぜですか――為替の話」(第9章)『経済学者に聞いたら、ニュースの本当のところが見えてきた』日本経済新聞社(編著)(2013.7)
『ユーロ圏危機と世界経済: 信認回復のための方策とアジアへの影響』(共編著), 第7章担当, 東京大学出版会 (2015.6)
『激流アジアマネー:新興金融市場の発展と課題』小川英治(共編著) 第3章, 日本経済出版社(2015.6)
『世界金融危機後の金融リスクと危機管理』(共編著)第6章「アジアの資本フロー・通貨と金融危機管理」 東京大学出版会 (2017.7)
"Managing Currency Risk" (with T. Ito, S. Koibuchi, and K. Sato),Ed. Elgar.ISBN978-1-78536-0021 (2018.7)
所属学会:日本金融学会、日本経済学会、日本国際経済学会、日本生活経済学会所属学会: 日本金融学会、日本経済学会、日本国際経済学会、日本生活経済学会
そ の 他: 財務省:関税・外国為替等審議会 関税・外国為替等分科会委員、
文部科学省:教科用図書検定調査審議会委員
環境省:環境情報開示基盤整備事業WG 委員
独立行政法人GPIF 運用委員(2013 年4 月~ 2017 年9 月)
ASEAN+3 Macroeconomic Research Office (AMRO), Singapore,Visting Fellow(9/2017-2/2018)
Center on Japanese Economy and Business, Columbia Business School,NY,Visting Fellow(3/2018-7/2018)
私は最初の講義の時に「経済学を学ぶ目的は経済学者にだまされないようにするためだ」というイギリスの女流経済学者ジョーン・ロビンソンの言葉を引用しています。例えば、経済学者が何か重要な経済問題について解説したときに、もし皆さんが正しい知識と判断力がなければその言葉を鵜呑みにしてしまいがちです。実際に、毎日報道されている為替概況では、後付けの理由をまことしやかに解説している場合が少なくありません。特にインターネットで世界各国の経済情報を分刻みで入手できる今日、国際金融の基礎的な概念と理論を修得した上で、市場に氾濫する情報から何を取捨選択して判断材料とするかが市場に勝つための必須条件となります。
国際金融論は、金融論を開放経済に拡張した理論体系を持つ経済学としての側面と、実務の世界にも通じる実学的な側面を持ち合わせた大変興味深い分野です。私は大学卒業後、内外の金融機関に勤務し、1985年のプラザ合意や1992年の英ポンド危機、1995年の円相場の市場最高値更新や大規模な協調介入などの局面をロンドン市場や東京市場で体験した後にアカデミックな研究をしてきました。国際金融は、金融市場における様々なデータが実際どのように計算されており、それが理論とどのように絡み合っているのか、現在金融市場では何が起こっていて、政府や企業はどう対応するべきなのか、という多面的なアプローチをすることにより、さらに理解が深まります。
講義や2年生から4年生、大学院生の演習と、いろいろな段階に分けて、皆さんと一緒に国際金融を勉強していきます。講義中には講義内容と現実の市場動向との関連性を持てるように、適宜時事問題の資斜やデータを配布します。様々なケーススタデイやデータを用いて金融市場の実態を体得し、学ぶことの楽しさと知識を役立てる喜びを実感できるようにしたいと考えています。皆さんも日頃から日本経済新聞を読む、あるいは経済ニュースを見るなどして、為替相場の市場動向に注目してください。また、講義中に素朴な疑問を持つことはとても大切です。恥ずかしがらずにどんどん質問して、積極的に講義に参加してください。
ゼミでは、2年次後期に外国為替に関する本を輪読します。3年次に日本経済新聞の学生対抗円ダービーに参加することによって為替相場を見る眼を養い、自ら興味のある手法で為替相場の予想をします。これまでの成績として、予想手法のユニークさを競う「ユニーク賞」受賞(2015年)ユニーク賞までの「あと一歩で賞」受賞(2020年、2019年、2016年、2014年)があり、どちらも日本経済新聞の紙面で紹介されました。また夏休みにかけては大学生を対象に日本銀行が毎年開催している日銀グランプリの論文投稿準備を始め、グループ学習で一つの成果をまとめる過程通じて、問題解決能力やプレゼンテーション能力を養います。清水ゼミでは、これまで3回日本銀行本店で行われる決勝大会に進出し、敢闘賞(2015年)、優秀賞(2016年、2019年)を受賞という輝かしい成果を残しています。
4年次には卒論に向けた個人研究を中心としてゼミ報告·ディスカッションを行い、各自が卒論研究によって得た知見をゼミ生全体に共有できるようにします。卒論は毎年卒論集として製本し、卒業式に渡しています。他大学とのインカレ・ゼミは、3年次1学期は横浜国立大学と、2学期は日本大学・武蔵大学・東洋大学の四大学とゼミ大会を行っています。コロナ感染拡大前はシン ガポールや香港でゼミ合宿を行うなどしていましたが、現在はゼ ミ生の企画により国内でのゼミ合宿を行っています。
毎日のように円ドル為替相場の動きがニュースになっています。今や、「為替相場を知ること」は私たちの生活に欠かせることのできない重要なファクターです。為替相場は、家計の視点からは物価や資産運用、海外旅行、企業の視点からは貿易や海外生産ネットワークの構築、資金調達手段や企業買収など、政府の視点からは為替制度選択や国際資本フローの動き、経済連携協定の締結、という全ての経済主体の行動に影響を与える経済現象です。先進国、新興国を含めて、経済のグローバル化が深化する現代社会において、為替相場が動くとどうなるかを論理的にじっくり考えるカを養うことは、将来どのような職業についても必要不可欠な能力となります。是非皆さんにも興味を持って勉強してほしいと願っています。