神戸 伸輔(カンベ シンスケ)教授

神戸 伸輔 教授

神戸 伸輔(カンベ シンスケ)教授
経済学科:ミクロ経済学(ゲーム理論・交渉・組織)

略歴

  • 1987年:東京大学経済学部卒業
  • 1993年:米国スタンフォード大学経営学博士号取得
  • 1995年より学習院大学経済学部

連絡先

E-mail:add_shinsuke_kambe.png

研究分野

ゲーム理論、契約及び交渉の経済分析

主要業績

  • "Bargaining with Imperfect Commitment," Games and Economic Behavior, 50, 321-342, 1999.
  • "When Is There a Unique Equilibrium in Less-Structured Bargaining?"Japanese Economic Review, 28, 217-237, 1999.
  • "Subjective Evaluation in Agency Contracts,"Japanese Economic Review, 57, 121-140, 2006.
  • "Emergence and nonemergence of alternating offers in bilateral bargaining,"International Journal of Game Theory, 38, 499-520, 2009.
  • "An N-person war of attrition with the possibility of a noncompromising type,"Theoretical Economics, 14, 849-886, 2019.

講義の方針

私は、ミクロ経済学とゲーム理論をほかの先生方と分担しながら担当しています。高校までの社会科と大学の経済学が異なる点は、理論から現実を説明しようとすることで、このいずれの科目も、経済学の理論を学ぶ科目となります。ミクロ経済学は、マクロ経済学と並び経済学の基礎となる理論です。マクロ経済学が経済全体の動きに焦点を当てて分析するのに対し、ミクロ経済学では個人や企業の行動から経済全体を説明しようとしています。人々の消費や生産が、市場を通してどのように調整されるかを学び、現代の経済がどのように機能しているかを理解します。

ゲーム理論というと遊びの理論かと思う人もいると思いますが、ここでは駆け引きとしてのゲームという意味で使っています。経済にはさまざまなゲーム=駆け引きがあります。企業間競争や売買の交渉など、2人以上の人がいれば必ず駆け引きの可能性が生まれます。従来はなかなか分析するのが難しかったのですが、このところ急速に研究が進みました。競争と協調、評判そしてやる気や学歴の価値といった現実の経済現象が、ゲーム理論の観点から説明できるようになりました。

演習について

神戸ゼミでは、ミクロ経済学とゲーム理論を応用して、現実の企業が直面する課題について発表してもらっています。 具体的には、企業の行動を個人の行動から理解し、なぜそうなるかを仕組みから考えます。例えば、ある企業で労働者が以前より一生懸命働くようになったことを、業績に連動したボーナスを導入したからではないかというように分析します。
ゼミでは、自分で「考え、調べ、発表する」ことの練習を目的にしています。高校までの勉強や大学の講義の学習では、受動的に知識を得ることが目的でした。しかし、社会に出て役に立つ人材となるためには、単に知識を知っているだけでは不十分です。その知識を役に立つために使えるようになることが必要です。
( i ) 考える:発表の準備にあたっては、「何が問題か?何が重要な論点か?」を自分なりに考えることが必要です。これは課題発見力と呼ばれるものです。社会で役立つためには、何が問題かを把握することが第一歩となります。発表でも同じで、事実を並べただけではよい発表になりません。
(ii) 調べる:問題が見つかったら、調べる過程に入ります。図書館やインターネットはもちろんのこと、現場でのインタビューや実地調査も含めて、何をどうやって調べたら良いかを学びます。
(iii) 発表する:いくらよく考え調べても、発表が下手では何も伝わりません。データの使い方やレジュメの書き方など、どのように発表したら良いかも、神戸ゼミでは重視します。
これら3つは練習で身につく技術です。卒業するときには、自分で考えて行動できる素養が身についていたらいいと思ってゼミをしています。

研究テーマ

私はミクロ経済学とゲーム理論を応用して研究しています。特に注目しているのは組織の理論と交渉の理論です。組織の理論では、情報の経済学を用いて、限られた資源と情報の中でどのような組織を作ったら最適かということを分析しています。交渉の理論は、経済学の観点からは分配に関する分析といえます。なぜ交渉がうまくいかないときがあるか、どういうときに交渉でより多くのシェアが獲得できるかなどを、ゲーム理論を使って調べています。

メッセージ

経済学とは、経済を分析する学問です。分析とは、複雑な現象を細かく分けて、その一つ一つを解明することで、全体を理解しようとすることです。この手法は、正解がない現実の社会で役立ちます。何をしたらよいかよくわからない状況でも、よりよい答えを見つけて進んでいくことができるようになるからです。経済学を通してこの手法を学び、社会で活躍してくれることを期待します。

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