【授業紹介】国際社会科学部「中国経済論」

 国際社会科学部の「中国経済論」(趙 萌准教授)という授業に、東京大学社会科学研究所の丸川知雄教授をお招きし「中国の産業発展とイノベーション」と題した講演が、11月27日(月)学習院大学目白キャンパス西2-301教室にて行なわれました。

 当日は、中国経済の専門家として、長く中国経済を観察している丸川教授の話を聞くため、国際社会科学部の1,2年生約150名が出席しました。

<講演する丸川知雄教授(東京大学社会科学研究所)>

 丸川教授は、中国のこれまでの急激な経済成長の要因として①豊富な労働力(=人口)②市場経済への改革③外国技術の導入④高い貯蓄率(=投資資金の確保)という4つを、今までの経済発展の理由として挙げました。しかし豊富な労働力と投資主導による経済発展が行き詰まりを見せている現在、今後も経済発展していくためにはイノベーションが必要であり、中国では今どのような取り組みがされているのか実例をあげながら現状をご紹介いただきました。

 研究開発に投じられる資金の対GDP比の伸びや特許出願数、また、地方政府もベンチャー育成に施設の提供や投資など、イノベーションを生み出す環境が整いつつあり、現に「草の根イノベーション」とも言える低・中所得層向けの市場を狙ったイノベーションが盛んになっているそうです。

<授業の様子>

 一例として、低所得層向けスマホや廉価な電気自転車、ドローンの成功などが挙げられます。また、クレジットカードといった従来の支払インフラが整っていない産業発展上の制約が、逆にスマホ・マネーといった新しい支払技術の普及(中国でのスマホ・マネーの支払額は2016年で1000兆円という途方もない金額に成長)を促し、八百屋やカフェ、自動販売機などでも使用されるようになっているそうです。

 スマホ・マネーによる支払が可能になったことで、自転車シェアリングやカーシェアリングといったアイデアが広がり、また日本に比べビジネスにリスクを負うことを恐れない傾向が強いこともあり、とにかく新しいアイデア、ビジネスになりそうなものをやってみるという熱気がある。今後の中国の産業発展は、それら草の根イノベーションが投資を回収し、利益を出す産業として育っていくかが重要になると指摘されました。

________________________________________________________________

 趙 萌准教授が、中国共産党第19回全国代表大会(第19回党大会)を今後の中国経済という視点で分析した学習院TIMESオピニオン記事「中国共産党大会を終えて これからの中国経済はどうなるのか?」については、こちら(記事リンク)をご覧ください。