【開催レポート】「カズオ・イシグロを楽しむ」

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 1月12日(金)の昼休みに、英語英米文化学科の真野 泰教授と在学生が2017年のノーベル文学賞受賞作家カズオ・イシグロについて気軽に語り合うイベント「カズオ・イシグロを楽しむ」が行われました。

 真野教授は現代イギリス小説と翻訳をテーマとする研究者です。真野教授が月刊誌『世界』(2017年12月号)に寄せた論考「カズオ・イシグロのボーダーレスな小説世界」をもとに、今回の受賞によって改めて注目を集めているイシグロの経歴や作風の変遷、イシグロの使う英語の特徴やおもしろさなどの魅力について話しました。

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(写真)「カズオ・イシグロを楽しむ」約30名が真野教授の解説に耳を傾けた

 カズオ・イシグロ(1954- )は長崎県出身の日系イギリス人作家です。父親の仕事の関係で5歳の時に渡英しました。幼少期を過ごした長崎の記憶に、両親から聞いたり本で読んだりした話が混ざり合った「頭のなかの日本」が、記憶とともに薄らぎ、崩れそうになっていることに気づき、これを文字に残すべく小説家を志すようになりました。

 真野教授は、イシグロが作家活動をはじめた1980年代初頭のイギリスについて、世界中から、特に東ヨーロッパからの移民が数多く流入し、イギリス最高の文学賞である「ブッカー賞」をイギリス以外の出身者が受賞するなど、多文化主義の風が吹き始めていたと解説、「イギリスという国の環境や時代の流れも、小説家としてのイシグロを大きく育てた」と話しました。当時のイギリス文学界のこの流れは日系のイシグロにとっても幸運の追い風となり、1989年に長編小説「The Remains of the Day(『日の名残り』)」でブッカー賞を受賞しています。

 また、イシグロが使う独特の英語表現が作品にもたらす効果や、ブッカー賞受賞前後での作風の変化、ノーベル文学賞受賞を経た今後の展望についても、現代イギリス文学研究者としての視点を交えつつレクチャーしました。

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 会の終わりには真野教授と参加学生でフリートークも行われました。日本でもドラマ化され話題となった「Never Let Me Go(『わたしを離さないで』)」は比較的読みやすい作品としておすすめであることや、イシグロの作家としての想像力がいかに高いかといったことなどが話題に上がり、終始なごやかな雰囲気で進められました。

 参加した学生には本学図書館所蔵のカズオ・イシグロの作品リストが資料として渡されました。今回、真野教授の解説で改めてカズオ・イシグロの魅力にふれ、作品を深く理解する良いきっかけとなったようでした。

※この催しは学習院大学ラーニング・サポートセンターの主催で行われました。
文学部英語英米文化学科のホームページはこちらから