平成27年度大学院、専門職大学院及び大学卒業式

学長告辞(平成27年度 大学院、専門職大学院及び大学卒業式)

学習院大学の卒業生のみなさん、大学院の修了生のみなさん、おめでとうございます。こころよりお祝い申し上げます。

本年度の卒業生は、法学部、経済学部、文学部、理学部の4学部あわせて1862人です。大学院の博士前期課程の修了生は5研究科あわせて120名、博士後期課程に在籍中に博士の学位を授与され課程博士となられた方が2名、法科大学院を修了して司法試験に挑戦する資格を得た方が20名おります。すべての卒業生、修了生のみなさん、あらためておめでとうございます。

ご父母の皆様、ご家族の皆様もお慶びのことと存じます。
ここに学習院長、桜友会長、父母会副会長をはじめ、来賓の皆様のご臨席を賜わるなかで、卒業式・修了式を挙行できますことをたいへんうれしく思います。この式典には卒業後30周年、40周年、50周年を迎えられた卒業生の代表の方々にもご列席いただいております。たいへんありがたく存じます。

今年の2月の学部の入学試験において、学習院大学は過去20年間で最大規模の受験者数に恵まれました。対前年比152パーセント、5割以上も増加したのです。このように今年、学習院大学に対する社会的な認知度が一挙に上がったのは、オープンキャンパスの効果があったからだと思います。なかでも在校生による自身のキャンパスライフを説明するコーナーの影響が強かったのではないでしょうか。

第一希望なのかどうか、冷やかしかもしれない受験生に対して、包み隠さず、よい所もそうでない所も含めて、自身の等身大のキャンパスライフをていねいにわかりやすく説明している在校生の誠実な取り組みが印象的でした。あのような先輩のいる学習院大学に入学したい。そう考えた受験生も少なくなかったはずです。この時の在校生に限らず、誰かがどこかで、卒業生・修了生のみなさんの充実したキャンパスライフを垣間見る機会があり、そのことが学習院大学を志願する大きな動機のひとつになったと確信しております。卒業生・修了生のみなさんに深く感謝申し上げます。

今「充実したキャンパスライフ」と申しました。しかし実際には毎日が明るく充実していたとはいえないかもしれません。こんなことを学ぶために大学に入ったのかと講義に出席しながら疑問を抱いたこともなかったとはいえないでしょう。課外活動の人間関係に悩んだこともあるかもしれません。就職活動中に社会の不条理さを思い知らされたこともあったでしょう。
それでもこれらの問題の解決に一つひとつに取り組んだからこそ、充実したキャンパスライフになったのです。問題の解決はひとりではできません。誰かの助けを借りて、あるいは誰かが手を差し伸べてくれたから解決できたのであり、社会に出て役に立つのは、このような経験なのです。

一人ひとりの学生生活はほかの人とは比較できないかけがえのないものです。他方で日本社会の影響は程度の差はあれ、だれにも及びます。ここに出席している大多数の方が入学したのは、3・11大震災から1年後のことでした。大震災直後の助け合い・譲り合いの社会は失われ、代わりに対立の顕在化にともなって社会の閉塞感が強くなっていました。大震災から5年が経過しました。ところが今なお全国で17万人もの方々が避難生活を余儀なくされています。復興への道は険しいといわざるを得ません。

このような日本社会を変えるにはどうすればいいのか。みなさんは学部学科などのちがいをこえて、直接的であれ間接的であれ、考えをめぐらしたにちがいありません。考えをめぐらすだけでなく、被災地でボランティア活動に従事した人もいました。
3・11大震災後の日本社会をめぐって考えたり行動したりしたことは、学生時代の一過性の経験に終わらせてはなりません。卒業後・修了後も一人ひとりが見出した活躍の場をとおして、日本社会に生じた亀裂を修復し、支え合い助け合う社会を再構築するべきです。 
このように述べても、非現実的な綺麗ごとと片づけられてしまうかもしれません。しかしそんなことはないでしょう。私たち一人ひとりにできることは限りがあっても、めざす方向へだれもが少しだけでも力を傾ければ、積み重なると大きな方向転換を可能にするからです。

そうは言っても、4月から始まる社会人生活は多忙を極めます。日本のこと世界のことを考える余裕はないかもしれません。そこで朝30分だけ早く起床することをお奨めします。帰宅後の夜は疲れてだめです。この30分間を仕事以外のことで有効に使うことができれば、自分を見失うことはないでしょう。

それでも忙しさのなかで自分を見失いそうになったら、その時にはぜひ目白の杜のキャンパスを訪れてみてください。目白の杜のなかでみなさんは、学生時代に思い描いていた夢や希望を思い出すでしょう。そうなれば見失いそうになった自分を取り戻すことができます。

もう一度、卒業生、修了生のみなさんにおめでとうと申し上げます。この晴れの場にいることができるのは、みなさんの自助努力の結果であるとともに、ご父母の皆様をはじめとする多くの方々の支えがあったからであり、感謝の気持ちを忘れないようにしてください。
1年後、3年後、5年後に成長したみなさんと目白のキャンパスで再会できるのを今から楽しみにしています。みなさんのご健闘を祈ります。

以上をもって告辞とします。


平成28年 3月 20日 学習院大学 学長 井上 寿一