平成28年度大学院、専門職大学院及び大学卒業式

学長告辞(平成28年度 大学院、専門職大学院及び大学卒業式)

 学習院大学の卒業生のみなさん、大学院の修了生のみなさん、おめでとうございます。こころからお祝い申し上げます。
 本年度の卒業生は、法学部・経済学部・文学部・理学部の4学部あわせて1932名です。大学院の博士前期課程の修了生は、5研究科あわせて159名、博士後期課程に在籍中に博士の学位を授与され課程博士になられた方が3名、法科大学院を修了して司法試験に挑戦する資格を得た方が17名おります。すべての卒業生、修了生のみなさん、おめでとうございます。ご父母の皆様、ご家族の皆様もお慶びのことと存じ上げます。
 ここに内藤政武学習院長、東園基政桜友会長、大野泰弘父母会副会長をはじめ、来賓の皆様のご臨席を賜わるなかで、卒業式・修了式を挙行できますこと、たいへんうれしく思います。この式典には卒業後30周年、40周年、50周年、60周年を迎えられた卒業生の代表の方々にもご列席いただいております。たいへんありがたく、お礼を申し上げます。
 学長告辞のような式典における代表者のあいさつは、儀礼的で形式を重んじるところがあります。しかしだからといって、テンプレート化された通り一遍のあいさつはしたくありません。そんなことをすれば、みなさんの晴れの門出が台無しです。
 そこでこれからみなさんに、どうしても伝えたいことだけを3つにしぼってお話したいと思います。
 第1に、社会に出るとはプロの仕事をするということです。プロの仕事とは何か?しめきりのある仕事のことです。プロとアマチュアのちがいはしめきりの有無で区別できます。しめきりのない仕事はアマチュアの趣味に等しいのです。
 しめきりがあるということは、時間の制限があることを意味します。制限があるのは時間だけではありません。投じることのできる資源もそうです。
 私の流儀をお話します。参考になるかもしれません。私は新聞や雑誌に原稿を書く時、前倒しして、しめきりを厳守します。初めての原稿依頼の時は、しめきりよりも相当早く提出します。どんなにすぐれた論稿も、しめきりに間に合わなければ、紙屑にすぎません。しめきり厳守によって信用が付きます。そうなれば次の仕事の依頼が来るようになります。
 テレビやラジオ、ネット放送への出演、講演の時も同様です。集合時間よりも早く到着して迷惑がられたことは一度もありません。先方は皆大よろこびです。
 みなさんはこのような社会に出るリハーサルを済ませているので、大丈夫です。卒業論文やレポート、課題の提出は1分1秒の遅れも許されませんでした。そのことの意味はここにあります。時間や資源の制約のなかで結果を出す。これがプロの仕事です。
 第2に、学びは一生、続きます。先頃、学習院大学の卒業生調査を実施しました。卒業後も学びが持続している人は仕事の満足度が高い。そのような調査結果が出ました。
このことに関連して注目すべきは、社会に出てからも学び続けるか否かが大学の成績や大学生活の満足度と無関係だということです。
 別の言い方をすれば、この調査結果は次のことを意味しています。一方で大学の成績が良くても、あるいは大学生活の満足度が高くても、社会に出てから学ぶことをやめる人がいる。他方で大学の成績が悪くても、あるいは大学生活の満足度が低くても、社会に出てから学び続ける人がいる。
 この際、大学の成績や大学生活の満足度は不問に付して、社会に出てからも学び続けましょう。学び続けているみなさんの先輩は、仕事の満足度を向上させて、社会人としての総合的な力を身に着けています。
 大学の成績が良かった人もそうでなかった人も、大学生活に満足だった人もそうでなかった人も、学び続ければ、自分自身の社会的な可能性を切り拓くことができるのです。
 第3に、基礎はできているということです。社会に出てからも学び続けるのは簡単ではありません。昨年の卒業式で、朝30分だけ早く起きて学びの時間を確保することを提案しました。実際はどうだったでしょうか?数か月後、新社会人の卒業生と話をする機会がありました。多忙な社会人生活に追われて、わずか30分だけでも確保するのはむずかしいようです。それでもしばらくすると自分のペースが生まれて、学びのチャンスが訪れます。
 何を学ぶにしても、みなさんは基礎ができているので大丈夫です。卒業生調査で、在学中に何を学んだことが卒業後、役に立っているかを質問しました。答は個人差があり、千差万別でした。演習や実習科目だけでなく、大教室の専門科目を挙げた人がいるかと思えば、他学科の専門科目や総合基礎科目を挙げた人もいました。学業だけでなく、課外活動の経験の有用性を指摘する人もいました。
 要するに、何を学ぶかだけでなく、どう学ぶかが重要なのです。どう学ぶか、みなさんはすでに基礎ができています。学部・大学院・専門職大学院で専門分野はちがっていても、共通するのは、学ぶことの基本姿勢ができている点です。在学中に学んだことは社会に出てからもきっと役に立ちます。
 最後に卒業生・修了生のみなさんに感謝の気持ちともう一度お祝いを申し上げたいと思います。今年の2月の一般入学試験の受験者数は1万8千人台に達しました。数年前までの平均が1万3千人台だったのと比較すれば、飛躍的な受験者数の増加です。短期間のうちに受験者数が増加した背景には、在学中のみなさんのさまざまな分野における活躍があったと信じています。あの人のような大学生活をすごしたい、あの人のいる学習院大学に入りたい、そのような人たちが急増したにちがいありません。みなさんに感謝申し上げます。これからのみなさんの成長とともに、学習院大学も成長していきます。
 卒業と修了、本当におめでとうございます。目白の杜のキャンパスにお集まりのすべての皆様とともに、心から祝福いたします。

以上をもって告辞とします。


平成29年 3月 20日 学習院大学 学長 井上 寿一