平成28年度 大学院、専門職大学院及び大学入学式

学長告辞(平成28年度 大学院、専門職大学院及び大学入学式)

 新入生のみなさん、目白の杜の学習院大学に入学おめでとうございます。教職員と在学生を代表して、心から歓迎します。別室でモニターをとおしてご覧いただいているご父母の皆様、ご家族の皆様も、およろこびのことと存じます。
 ここに内藤政武学習院長、卒業生の同窓会である桜友会の東園基政会長、小島勝利父母会副会長をはじめとして、来賓の皆様のご臨席を賜わるなかで、入学式を執りおこなえますこと、たいへんうれしく思います。
 本年度の新入生は、法学部、経済学部、文学部、理学部、国際社会科学部の5学部あわせて2267人です。大学院は5つの研究科と法科大学院をあわせて177人です。すべての新入生のみなさん、あらためて入学おめでとうございます。
 今年は学習院大学にとって特別な年です。学習院大学に5番目の学部、国際社会科学部が誕生しました。今この瞬間から新しい学習院大学が出発します。新しい学習院大学の出発は社会から歓迎されていると確信しています。今年2月の一般入学試験の結果が示しているとおりです。今年の一般入試の受験者数は過去20年間で最高でした。対前年比152パーセント、52パーセントも受験者が激増したのです。文高理低の全国的な傾向のなかで、学習院大学は理学部も含めて、すべての学部が対前年比プラスでした。
 なぜ学習院大学に対する社会の認知度が飛躍的に高まったのでしょうか。私は、国際社会科学部への関心をとおして、既存の4学部、関連して大学院の魅力が再発見されたからだと強く信じています。
 新学部は学習院大学の象徴です。国際社会科学部が持っている国際性・学際性は、他学部・大学院に共通する特徴でもあります。その具体的な証拠の一つが昨年度の文部科学省の私立大学等改革総合支援事業の採択結果です。学習院大学はタイプ1(教育の質的転換)とタイプ4(グローバル化への対応)を申請してどちらも採択されました。
私は国際社会科学部をタグボートと呼んでいます。このタグボートは学習院大学のめざす方向を指し示しています。今、船出しようとしている新しい学習院大学の将来は、希望に満ちあふれています。
 他方で行く手には大きな困難が待ち受けています。昨年11月、フランスのパリで同時多発テロが起きました。オランド大統領は演説のなかで、「フランスは戦争状態にある」と宣言しました。アラブ中東地域は世界の火薬庫の様相を呈しています。今は第三次世界大戦下である。このような表現は誇張にすぎると片づけられるでしょうか。第三次世界大戦が起こるとすれば、それは核戦争で、核戦争になれば世界は滅びる。私たちはそう考えていました。ところが核兵器が用いられなくても、世界は戦争に等しい状態になり得るのです。
 同時に格差拡大社会の問題の世界化が進んでいます。社会的な格差の問題は日本だけにとどまりません。他の先進国や途上国も同様です。国内問題と国際問題が相互に関連しながら、各国に重くのしかかっています。国内外の情勢はきびしいといわざるを得ません。
 それでも新しい学習院大学は、学部のちがいや学部と大学院のちがいをこえて、社会貢献の理想を掲げながら、直接的にあるいは間接的に、今日の国際社会と国内社会が直面している問題の解決をめざします。
 社会貢献といっても、新入生のみなさんは戸惑われるにちがいありません。大学・大学院で学ぶのは社会のためというよりも、自分のためだからでしょう。たしかに最初は自分のためです。しかし最後は社会のためです。欧米では起業(新しいビジネスを始めること)に成功して巨万の富を得た人で、最初は自分の豊かな生活の追求、つぎに財団を設立して社会貢献事業に乗り出すことがよくあります。社会に貢献する、あるいは人の役に立つということは、自分自身の生活に充実感をもたらすからです。
 しかし毎日が忙しすぎて、そんなことを考える余裕はないのかもしれません。新年度の新入生はとくに忙しいです。さまざまなオリエンテーション、ガイダンスに出席する。サークル活動の勧誘によるウェルカムパーティや食事会を梯子する。目が回るほどです。
みなさんの多くはスマホでスケジュール管理をしているでしょう。わずかな余白も埋めなくては充実したキャンパスライフにならない。そう思い込んでいませんか。みなさんがスケジュールを管理するのであって、スケジュールがみなさんを管理するのではありません。
思い切って、できるだけ大きな余白を作ってみませんか。その余白に自分自身とのアポイントメントを入れるのです。自分との対話を重ねるうちに、夢と希望が生まれてきます。夢と希望の実現をめざして、スケジュールを管理するのです。まるまる一日、予定が入っていなくてもかまいません。その日はもっとも重要な日になるでしょう。このような日々の積み重ねが自己実現へ、さらには社会貢献へ私たちを導くのです。
 すべての新入生のみなさんが充実したキャンパスライフを送り、自己実現から社会貢献へと成長されることを強く期待しています。

 以上をもって告辞とします。


平成28年 4月 3日 学習院大学 学長 井上 寿一