平成29年度大学院、専門職大学院及び大学卒業式

学長告辞(平成29年度 大学院、専門職大学院及び大学卒業式)

 学習院大学の卒業生のみなさん、大学院の修了生のみなさん、おめでとうございます。こころからお祝い申し上げます。
 本年度の卒業生は、法学部・経済学部・文学部・理学部の4学部あわせて1,857名です。大学院の博士前期課程の修了生は、5研究科あわせて116名、博士後期課程に在籍中に博士の学位を授与され課程博士になられた方が2名、法科大学院を修了して司法試験に挑戦する資格を得た方が11名おります。すべての卒業生、修了生のみなさん、おめでとうございます。ご父母の皆様、ご家族の皆様もお慶びのことと存じます。

 ここに内藤政武学習院長、東園基政桜友会長をはじめ、来賓の皆様のご臨席を賜わるなかで、卒業式・修了式を挙行できますこと、たいへんうれしく思います。この式典には卒業後30周年、40周年、50周年、60周年を迎えられた卒業生の代表の方々にもご列席いただいております。たいへんありがたく、お礼を申し上げます。

 昨年7月に卒業生調査の結果を公表しました。概略は公式サイトで確認できます。調査の対象は卒業後10年以内のみなさんにとって身近な若い先輩たちです。先輩たちは社会に出て何を考えどう行動しているのでしょうか。この卒業生調査の結果を手がかりに、お話しすることにします。
 最初に調査結果の要点を述べます。次に調査結果が示唆するところを説明します。最後に調査結果をどう活かすべきかを考えます。

 調査結果の要点は3つあります。
第1に、年齢は仕事の内容の満足度にプラスの効果があります。みなさんの先輩たちは社会に出て年を重ねるごとに仕事の内容への満足度が高くなっているのです。数年後の自分の姿が今とは違っている。日々の努力の積み重ねが自分を変える。このことによって仕事への満足度が高くなり、充実した生活を過ごすことができるのです。
付け加えますと、大学院を修了した先輩たちは総じて仕事への満足度が高いという結果が出ています。高度な専門知識が直接、仕事に役立っているからだと思われます。
 第2に、転職は仕事の内容の満足度の観点からプラスの効果があります。今3年離職率が問題になっています。3年離職者の仕事満足度が低いのは明らかでしょう。卒業生調査の結果でも、正規雇用で継続的に勤めている人の処遇の満足度は高くなっています。それでも10年以内に転職する人たちの動機は、もっと積極的です。その人たちは少し処遇を犠牲にしてでも、仕事の内容の満足度が高いのです。人の寿命が長くなっているのに対して、企業の寿命は短くなっています。重要なのは、継続か転職かではなく、今日とは違う明日の自分になるということです。
 第3に、何らかの学習に取り組むことは仕事の内容の満足度にプラスの効果があります。先輩たちは現在の仕事や将来のキャリアのために1週間あたりどのくらいの時間を生涯学習に充てているのでしょうか。調査結果によりますと、1週間に2時間を起点として、時間の長さと社会人としての総合的な力を実感できることが比例しています。1週間にわずか2時間?と疑問を持つ人もいるでしょう。しかし社会人は忙しく、とくに1年目はほとんど自分の時間を持つことができません。それでも自学自習の時間を設けるべきでしょう。学び続ける習慣が充実した社会人生活をもたらすからです。

 次に調査結果が示唆するところをお話します。
 みなさんの先輩は継続的に仕事に取組み、今日の自分とは違う明日の自分をめざして、努力を重ねています。社会に出てからも学ぶ力が人を成長させます。学習院大学で学んだ人はだれでも物事を原理的に考える習慣が身についています。変化の激しい今日の社会では表面的な知識や汎用性のない技能は役に立ちません。物事を本質的に考え、自分の言葉で表現し、行動に移す。このような学ぶ力を身に着けたみなさんは、社会に適応するだけでなく、社会を切り拓いていくことでしょう。

 以上の卒業生調査の結果を踏まえて、どのように社会人生活を過ごせばよいのかをお話します。
 社会人1年生のみなさんが大きな仕事を与えられたとします。その仕事は大きすぎて手に負えそうもなく、逃げ出したいくらいです。大丈夫です。すでに社会人基礎力が身に着いていることを思い出してください。みなさんは信頼されているから仕事を与えられたのです。信頼に応えて仕事を成し遂げるにはどうすればよいのでしょうか。大きなタスクをできるだけ小さなタスクに細かくわけることが必要です。一つ一つの小さなタスクを成し遂げるのはむずかしいことではありません。その積み重ねが大きな仕事を完成させるのです。

最後に卒業生・修了生のみなさんに感謝の気持ちともう一度お祝いを申し上げたいと思います。今年の2月の一般入学試験の受験者数は対前年度比3年連続プラスの結果、20,447名になりました。この数字は学習院大学の70年近い歴史のなかで最高の記録です。みなさんの多くが入学した2014年度を再出発点として、毎年受験者数が増加した背景には、在学中のみなさんが年次を追って成長し、さまざまな分野で活躍されたことがあったと強く信じています。みなさんの活躍が直接的にあるいは間接的に影響を及ぼして、受験者数が急増したにちがいありません。卒業生、修了生のみなさんに感謝申し上げます。これからのみなさんの成長と飛躍ともに、学習院大学も成長し飛躍します。
 卒業と修了、本当におめでとうございます。目白の杜のキャンパスにお集まりのすべての皆様とともに、心から祝福いたします。

以上をもって告辞とします。

平成29年 3月 20日 学習院大学 学長 井上 寿一