平成29年度 大学院、専門職大学院及び大学入学式

学長告辞(平成29年度 大学院、専門職大学院及び大学入学式)

 新入生のみなさん、入学おめでとうございます。教職員と在学生を代表して、こころから歓迎します。別室でモニターをとおしてご覧いただいているご父母の皆様、ご家族の皆様もおよろこびのことと存じます。
 ここに内藤政武学習院長、卒業生の同窓会である桜友会の東園基政会長、有馬頼央(ありま・よりなか)父母会副会長をはじめとして、来賓の皆様のご臨席を賜わるなかで、入学式を執りおこなえますこと、たいへんうれしく思います。
 本年度の新入生は、法学部・経済学部・文学部・理学部・国際社会科学部の5学部あわせて2320名です。大学院は6つの研究科と法科大学院をあわせて183名です。すべての新入生のみなさん、あらためて入学おめでとうございます。
 これから二つのことを話します。前半は学習院大学の研究と教育、後半は大学生活の過ごし方です。
 新入生のみなさんをお迎えした学習院大学は、今どのような研究と教育を展開しているのでしょうか。具体的に三つお話します。
 第1は社会に貢献する学習院大学の研究力です。
先頃、学習院大学は文部科学省の「私立大学研究ブランディング事業」に採択されました。全国から198大学が応募し採択されたのは40大学、採択率20%、競争率5倍の難関でした。
この「ブランディング事業」とは「学長のリーダーシップの下、優先課題として全学的な独自色を大きく打ち出す研究」に対する支援事業のことです。研究のタイトルは「超高齢化社会への新たなチャレンジ―文理連携型〈生命社会学〉によるアプローチ」です。超高齢化社会を持続的に発展させるにはどうすればよいのか。学習院大学の研究の総力を結集して、学際的なアプローチによって、この難問に挑みます。学習院大学の研究のブランド価値はこのような社会貢献にあります。
第2は学習院大学の研究水準の高さです。
先頃、発表された文部科学省の科学研究費の採択率で、学習院大学は私立大学で第1位になりました。毎年、約10万件の新規応募の平均採択率=約26%に対して、学習院大学は約42%で私立大学では第1位でした。採択率は大学の規模の大小や学部・大学院の構成による有利不利がない研究水準を表わす客観的な指標の一つです。学習院大学の研究水準の高さが客観的に示されました。
第3は学習院大学の教育の〈質(クオリティ)〉と〈グローバル化〉です。学習院大学は文部科学省の私立大学等改革総合支援事業のタイプ1とタイプ4に応募して、2年連続で採択されました。タイプ1は〈教育の質的転換〉、タイプ4は〈教育のグローバル化〉です。採択基準が毎年上がっていくなかで、2年連続の採択は、学習院大学の教育の〈質(クオリティ)〉と〈グローバル化〉が進んでいることを示しています。
新入生のみなさんをお迎えした学習院大学は、以上のような研究力と教育力を持つ大学です。学習院大学に対する社会の肯定的な認知度は高まっています。昨年2月の一般入学試験の受験者数は対前年度比152%、今年はさらに上乗せしました。1昨年までの10年間の平均が1万3000人台だったのに対して、今では1万8000人台に急上昇しています。
後半は大学生活の過ごし方です。主に学部学生を念頭において話します。大学生活をどのように過ごすべきか、昨年実施した卒業生調査の分析結果をもとに三つ提案します。
第1に大学での学びが未来の可能性を切り拓きます。別の言い方をすると、大事なのは大学の成績で、高校の成績は無関係ということです。たとえ高校の成績が悪くても、この学習院大学でがんばれば、卒業後、社会人としての綜合的な力を身につけて、満足度の高い充実した生活を送ることができるのです。
みなさんの入学経路は、一般入試・指定校推薦・学習院高等科女子高等科からの進学などさまざまです。入学経路は入学後の積極的な学びに直接の効果がありません。入学経路による有利・不利はなく、高校の成績が悪くても、入学後に積極的に学べば、だれでも未来の可能性を切り拓くことができるのです。
第2に三つの学びの習慣が入学後も効果を発揮し続けます。次の三つの学びの習慣がすでにある人は持続させ、まだの人は習慣化を始めましょう。
一つはわからないことを自分で考え調べる。
二つは授業科目に関連のある本を読む。
三つは文章を書く。
このような学びの習慣を持ちながら学業に取り組んだみなさんの先輩は、卒業後、社会人としての総合力を身につけ、満足度の高い充実した生活を送っているのです。
どうすれば習慣化できるのかわからない。そのような人は昨年度から開設されたラーニング・サポートセンターに相談してみてください。具体的で役に立つアドバイスを得られるでしょう。
第3に「ぬるま湯」生活から脱却しましょう。大学での学業成績と大学生活全般の満足度は、卒業後の実力にどのような関係があるのでしょうか。簡単に予想できるように、学業成績が優れていて大学生活全般の満足度が高かった人は、卒業後、社会人総合力を身につけて充実した生活を送っています。
何らかの事情で、大学生活全般の満足度が低くても、大丈夫です。捲土重来、成績上位者になれば、挽回できます。要注意の大学生活は、学業成績が真ん中で大学生活全般の満足度もまあまあの「ぬるま湯」生活です。「ぬるま湯」生活はほどほどに楽しいけれど、社会に出てからの生活の充実度は低いのです。「ぬるま湯」的な生活に満足することなく、そこから脱却して学業に力を注げば、卒業後に実を結びます。
以上から明らかなように、新入生のみなさんは同じ横一直線のスタートラインに立っています。立っている位置で有利・不利はありません。めざす目標はひとそれぞれで異なっているでしょう。しかし目標は異なっていても、目標を達成する方法に大きなちがいはありません。目標達成の方法とは学びの習慣化です。付け加えますと、卒業生調査によれば、課外活動の経験も社会に出てから役に立っていると多くの人が答えています。みなさんは学びの習慣化と課外活動への参加によって、目標を達成できるのです。
今この瞬間から最初の一歩を踏み出しましょう。満開の桜の目白の杜のキャンパスに集まっているすべての人たちが新入生のみなさんを応援しています。

以上をもって告辞とします。


平成29年 4月 3日 学習院大学 学長 井上 寿一