教員紹介
斉藤 徹 特別客員教授

斉藤 徹 (サイトウ トオル) 特別客員教授

経営学科

略歴

  • 1985年:慶應義塾大学理工学部を卒業後、日本IBM株式会社に入社
  • 1991年:株式会社フレックスファームを創業。代表取締役に就任
  • 2004年:株式会社フレックスファームの全株式を上場企業に売却
  • 2005年:株式会社ループス・コミュニケーションズを創業。代表取締役に就任
  • 2014年:公益社団法人「助けあいジャパン」理事に就任
  • 2016年:学習院大学経済学部経営学科 特別客員教授に就任
  • 2016年:一般社団法人ソーシャルシフトラボ代表理事に就任

連絡先

  • E-mail:add_toru_saito.png

主要業績

  • 2016年 「再起動 リブート」(ダイヤモンド社)
  • 2015年 「ソーシャルシフト ~ 新しい顧客戦略の教科書」(中経出版)
  • 2012年 「BEソーシャル!」(日経新聞出版社)
  • 2011年 「ソーシャルシフト」(日経新聞出版社)
  • 2011年 「新ソーシャルメディア完全読本」(アスキーメディアワークス)
  • 2011年 「ソーシャルメディア・ダイナミクス」 (KADOKAWA)
  • 2011年 「iPadで現場を変える」(日経新聞出版社)
  • 2010年 「図解 ソーシャルメディア」(アスキーメディアワークス)
  • 2009年 「Twitterマーケティング」(インプレスジャパン)
  • 2007年 「Webコミュニティでいちばん大切なこと」(インプレスジャパン)
  • 2006年 「SNSビジネスガイド」(インプレスジャパン) 等多数

特別客員教授就任にあたって

教授就任にあたり、僕はひとつの志を持っています。それは、学習院大学から「人を幸せにする起業家」を輩出すること。若い仲間とともに「世界をより優しいところにする」ことです。起業は最高に楽しく、エキサイティングです。そして経営は人の幸せを創りだします。その背景には「経営の目的は、人を幸せにすることである」という僕の信念があります。


「人を幸せにする経営」について

僕は二十九歳の時に大企業を飛び出して経営者になりました。野心満々だった僕は、最先端の経営学を学び、現実の場で実践し、数多くの成功と失敗を繰り返してきました。製品市場マトリクス、競争の戦略、選択と集中、成果主義、時価総額の最大化。もちろん成功ばかりではありません。何度も倒産の危機に追い込まれ、そのたびに大いなる学びを得てきました。幾多の失敗経験を乗り越えた今、僕は中小企業の社長であり、大企業トップを補佐する経営コンサルタントであり、新たにスタートアップをたちあげた起業家でもあります。

経営の本質とはなんでしょうか。
これは僕のライフワークといってもよいテーマです。

経営とは、与えられた経営資源を最大限に活かし、すべてのステークホルダー (企業に関わるすべての人たち) の幸せを創りだすことだと僕は考えています。因果関係ではありますが、経営資源を最大限に活用することを経営の必要な条件、ステークホルダーの幸せを経営の十分な条件として考えることもできそうです。両方を満たした時に、企業は持続可能な成長ができます。この二つを満たせない経営は片手落ちで、いつしか社会から離脱していきます。生活者の監視が厳しくなるなかで、その傾向は日に日に強まってきました。

そもそも経営資源であるヒト・モノ・カネ・情報は並列に考えるべきものではありません。今や小ロットのカネで起業できます。モノはカネで買えるし、情報はグーグルで一発検索です。そしてカネもモノも情報もヒトが創りだすものです。つまりヒトこそ根源的な経営資源なのです。さらにはステークホルダーもヒトなのです。シンプルに言えば、経営とは「ヒトを活かし、ヒトを幸せにする」ことでしょう。

では、ヒトの原動力とは何か。それは心です。心を無視してヒトを機械化する科学的管理法は百年前の産物です。外部からコントロールできないヒトの心と真摯に向き合うこと。これが現代経営の課題だと考えています。 人の心が求めているものは何でしょうか。たとえば富や成果、他人の評価などの欲求を刺激すればヒトは動きますが、それが幸せにつながるかどうかは別問題です。そこから得られる満足は刹那的なもので、むしろ満たされない気持ち、他人をうらやむ気持ちを助長してしまいます。アメとムチ、社内競争、成果主義。そのような外発的な動機づけは、結果として社員の嫉妬心をあおり、社内の信頼関係を削ぎ、縦割り組織の弊害を生みだしてゆきます。 人が幸せになるとはどういうことか。それを深く考え、その実現に真摯に向きあうことこそ経営者の責務ではないでしょうか。僕は人間の幸せはふたつから成り立つと思っています。それは「心のやすらぎ」と「心の喜び」です。それらが満たされた時、社員は率先して協力しあい、顧客の事前期待を上回ることに喜びを感じ、株主に長期的な利益をもたらす原動力となってくれるのです。

幸せの基礎となる「心のやすらぎ」を提供できるのは、社員間の競争ではなく、社員同士の共創を目指す組織です。信頼で結ばれた社員が助けあい、すばらしい顧客経験を共創する組織。それを実現するには、予算ではなく価値観、結果ではなくプロセス、規律ではなく自律を優先する社風を、経営者自らがリードしていく。一つひとつの意思決定や制度設計において、矛盾なく「社員の心のやすらぎ」を大切にする覚悟が必要となります。

加えて「心の喜び」を提供するためには、社員の自己実現を本気で支援することです。顧客の笑顔に無上の喜びを感じる社員もいれば、好きな仕事に没頭したい社員もいる。家族の幸せに自己実現を見出す社員もいれば、起業を志す社員もいる。社員一人ひとりに向きあい、それぞれの自己実現を本気で応援すること。経営者の決意が制度となり、社員に伝わってゆきます。仮に将来、会社を卒業しても、彼ら彼女らはきっと暖かく支え続けてくれるでしょう。

これらは経営者として四半世紀にわたる実体験からきた僕の信念です。小さな会社ではもちろんのこと、実業を通じて、一万人を超す大組織でも大いなる成果が得られることを確信しました。社員の「心のやすらぎと喜び」を追求すること。それが顧客満足やイノベーションを生みだし、持続可能な事業成果となってゆく。限りない利益主義や拡大志向では決して得ることのできない、経営者の「心のやすらぎと喜び」がそこにはあります。僕は心からそう思って生きています。


メッセージ

僕は現役の経営者であり、現役の起業家です。若くしてベンチャーを創業し、人生の多くをかけて企業経営に専念してきました。その間、注目企業となり数十億円を資金調達したこともあれば、資金が枯渇して倒産寸前になったこともあります。数多くの成功と失敗の体験が、僕の人生にさまざまな彩りを添えてくれました。

学習院大学における僕の役割は、多彩な経験をもとに、学生諸君に起業や経営の現実を擬似体験してもらうこと。そのうえで経営学の面白さを肌身で知ってもらうことです。経営学は人の生き方に通じる学問です。僕の講義がみなさんの輝ける人生の一助になれば、それが何よりの幸せです。

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