教員インタビュー:多彩な教授たち
脇坂 明 教授

経済学科 脇坂 明 教授

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1977年に京都大学経済学部を卒業、1982年に京都大学大学院経済学研究科博士後期課程を修了。岡山大学教授などを経て、1999年より学習院大学経済学部経済学科教授。同年に博士号を取得。2011年より経済学部長も務める。

研究分野は労働経済、人事管理、多様な働き方。

【この道に進んだきっかけ】
大学3年の時、指導教員の研究に対する姿勢やライフスタイルを見て、研究の道へ。大学院時代、それまで経済学ではほとんど取り上げられていなかった女性のキャリアに焦点をあてた研究を構想、博士課程になって本格的に取り組みをはじめ、今に至る。

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ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の考え方

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企業が女性の能力を生かしきれないのは損失

最近は共働き家庭の増加に伴い、男性も育児休職、育児短時間勤務を活用するようになった。「イクメン」という言葉も定着している。

経済学科の脇坂明教授は、日本におけるWLB研究の第一人者だ。脇坂教授の専門は労働経済学。経済学の視点から労働を研究する学問分野で、WLBの研究もその延長線上にある。30 年以上「女性の働き方」を研究してきた。

社会が女性を活用することの重要性と、それを支えるWLBの考え方について、脇坂教授は次のように語る。

「出産、育児、家事などの制約のために、社会や会社が女性の能力を生かしきれないのは、経営者と労働者の双方にとって大きな損失でしょう。大切なことはWin-Win(どちらも得をすること)の関係を築くことです。WLBは、女性が働きやすいことと、会社が経営効率を上げることの両方を追求するものです」

脇坂教授の研究によると、女性の活用率の高い会社ほど生産性が高く、業績も良いという。「育児休業、育児短時間勤務といった制度を男性が利用するのが珍しくなくなってきた今、女性が働きやすい会社は、男性にとっても働きやすい会社であると言えるからです」と脇坂教授はその理由を説明する。女性にも男性にも働きやすい会社には、優秀な人材が集まり、業績が上がる。しかも人材の定着率が良く、未来にわたっての業績の向上を期待できるわけだ。

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人間は家事、家庭などのプライベートな時間を充実させることで仕事にも集中することができ、意欲が高まり、周囲のスタッフにも良い影響を与える。これが職場環境、人間関係の向上、ひいては業績の向上につながっていく。

脇坂教授は、例えばメンタルヘルスの問題を解決するのも、WLB研究の目的だと言う。

「うつなどになって、コミュニケーションがうまく取れなかったり、出社できなかったりするビジネスパーソンが増え、社会問題になっています。こうしたスタッフを、ケアしたり休職させたりする制度や、復帰時の受け皿や体制づくり、そしてそもそも、うつになりにくい人事制度や会社の体質、雰囲気づくりが早急に求められています。これもWLBの意識の高まりの表れと言えます」

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企業の自己診断に使える独自の指標を作成

脇坂教授が長年にわたるフィールドワークにより作成したのが、「ワーク・ライフ・バランス指標」だ。

「この指標は、WLBの考えが、会社が自社の制度や慣習、基準などにどれだけ活かされているのかを、企業や組織が自己診断するためのものです。WLBの浸透度合いを図るもので、その企業を表彰するためや、営利目的で作成したものではありません。WLBを考える企業や組織の勤務体系や人事制度の改善に役立ててもらうことが目的です。誰もが自由に利用してもらうために、広く一般に開示しました」

脇坂教授のアドバイスで働き方を改善した組織の一つが、日本看護協会だ。

看護師の勤務形態は、どこの職場でも激務だと知られている。男性の看護師が増えてきたとはいえ、今も女性の比率が高い。一つの病院に対する看護師の定着率は、ほかの職種と比べて比較的高かった。

日本看護協会では、こうした状態を改善するための勤務体系や、人事制度の改善を検討していた。看護師の勤務体系には、夜間勤務など一般の職場とは違った多様性が求められる。看護協会の依頼を受けた脇坂教授は、医療現場への調査を行ったうえで「ワーク・ライフ・バランス指標」を医療従事者向けに改善し、看護師の勤務体系の改善に貢献した。

脇坂教授は、学習院大学経済経営研究所(GEM)と共同で、看護協会以外にもさまざまな企業のWLBへの取り組みを調査してきた。その成果は、『経営戦略としてのワーク・ライフ・バランス』や『ワーク・ライフ・バランス推進マニュアル』という書籍にまとめられている。

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ワーク・ライフ・バランス指標。経営側、社員側の双方から各制度を評価できるようになっている

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2010年8月に日本看護協会のワークショップを、大分県看護協会で実施。
脇坂教授は地元の病院に勤務する看護師とともに、働き方の改善の計画を作成した。

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