【国際社会科学部学生インタビュー】オンライン海外研修 どうだった?

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新型コロナウィルス感染症の拡大により、現地留学・プログラムを行うことができなかった今夏。卒業要件である「海外研修」を満たすプログラムとして国際社会科学部が用意した、オンライン型夏季短期海外研修の一つ、Deakin University English Language Institute(オーストラリア ディーキン大学付属語学学校)に参加した国際社会科学部3年の瀧山怜央さんと、2年の中村光里さんに、初めてのオンライン海外研修を終えての感想や、今後もこのようなプログラムが検討される中、オンラインプログラムから成果を得るにはどのような心構え・準備で参加するのが良いのかを聞きました。(インタビュー・記事制作:広報センター ※肩書は取材時のものです。)

――プログラムではどのようなことを行いましたか?

中村さん:
テキストを用いた学習や英語の本を読んでの短いプレゼンと、最終週に行うTED talkに向けた準備を段階的に行っていくプログラムでした。

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Cap)授業で扱った本のマインドマップ(中村さん)

瀧山さん:
私のクラスもテキストを使った英語表現、会話表現や文法を中心とした語学の授業と、最終週に発表するニュース動画の準備をしていくプログラムでした。ニュース動画制作では、動画制作ソフトの使用やプロジェクト進行の経験もしました。

――特に今年の参加者は、もともと準備していた留学ができなくなり、本プログラムに参加することになった方も多いと思います。プログラムを終えて率直な感想をお願いいたします。

瀧山さん:
この夏にイギリスで短期留学を考えていました。オンラインプログラムも、もしイギリスのものがあればそちらに参加したと思いますが、コロナ禍でも卒業要件を満たすことができるプログラムということで参加しました。
日常的に海外ネイティブの英語に触れることができましたし、目的でもあった英語学習の習慣化もできましたので、結果的に参加したことは良かったと感じています。

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Cap)プログラムで実施されたニュース動画の編集(瀧山さん)

中村さん:
私は、国際社会科学部には留学をしたいという気持ちで入学して、それに向けた準備を進めていました。文部科学省の海外留学支援制度の審査も通り、今年の秋から半年間留学することになっていましたので、正直、実際の留学ができなくなったことで相当に気持ちは下がりました。このプログラムに参加することにした動機も、率直に言えば卒業要件を満たすためだけの妥協のような気持でしたが、実際やってみると、良いところもあってあっという間に終わったなと思っています。
4週間の間、日本にいながら、朝起きてからPCの前に座って、そのまま夕方までの時間、リアルタイムに外国にいる人と話すというのは、なんだか不思議な感覚でした。

――具体的にはどのようなところが良かったですか

中村さん:
画面越しだったとしても異なる国籍の人と継続的に話せることは得るものがありました。授業での、small talk(台本なしに話す雑談)や、自主学習の時間に先生に現地の「なぞなぞ」を教えてもらうなど、異文化に触れる機会もありました。クラスメイトにイラクの人がいて、向こうでは夜に参加していたそうです。リアルタイムにそれぞれの場所の時差を感じたというのもこのようなプログラムならではかもしれません。
アカデミックイングリッシュを使う機会を持てたことも良かったです。中高のころに現地留学をしたときにできた外国の友達とチャットで話すこともあるのですが、それはカジュアルな英語ですし、ましてやプレゼンするような機会はありません。授業もなく、外出自粛もあった中、これに参加しなかったら、ずっと家にいるだけということになっていたと思います。

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Cap)ロックダウンを受けて考えたキャリアについてTED talk(中村さん)

瀧山さん:
そこまで長い時間ではないのですが、午前と午後の授業の間に自主学習の時間があり、通常のクラスとは別に映画を見ての感想をグループで共有したり、現地の先生と話したりすることができる時間がありました。そこでいろいろな人と交流ができたのは良かったと思っています。
また、授業はzoomを使って行われましたが、モニター越しのコミュニケーションは、視覚的な情報はほとんど顔のみになりますので、それで逆に、口の動きやアイコンタクトなどが、普通の対面より分かりやすかった部分がありました。

――逆にプログラムで物足りなかったところはなんでしょうか。

瀧山さん:
事前に受けるレベル分けテストの結果でクラスが決まるのですが、その結果、私のクラスはほとんどが日本人のクラスになってしまったことが残念なところでした。クラスでもより多様な属性の人たちと交流が出来たらよかったです。
また、クラスで受けていた授業は、国際社会科学部の1年生時の授業で受けるくらいのレベルでやや簡単に感じました。ただ、この部分について、クラス変更の機会はあったのですが、自分がこのプログラムに求めるものを考えた結果、このレベルに留まることを自分から選択していることではあります。もっと上のレベルは、一クラスの人数も少なく、クラスの中の外国の人の比率も高かったので、そのような環境を求める場合は、より難易度の高いクラスに行けるようクラス分けテストを頑張ったり、あるいはクラス変更で難易度が自分に合っていないことを主張したりする必要があったと思います。

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Cap)オーストラリアの映画を調べてニュースのトピックスを制作(瀧山さん)

中村さん:
私も、クラス分けテストでかなり簡単なクラスに入ってしまいました。最初はモチベーションも上がらずそのままにしようか思ったのですが、4週間を使うプログラムなので、このままではいけないと思いなおしました。クラス変更の申し込みはぎりぎり終わっていたようでしたが、プログラムの責任者の方に直談判して認めてもらうことができました。
今回の学習院大学用のプログラムで提供される一番上位のクラスに変更してもらいましたが、それでも難易度的に物足りないところがあったので、より難易度のバリエーションがあったら良かったと思っています。

――最後に、今後、これからオンラインプログラムに参加しようと考える後輩や後に続く人に向けて、得るものを多くするための準備や心構えについて、今の考えをお聞かせください。

中村さん:
今年は現地留学が出来なくてオンラインプログラムに参加した人が多かったと思うので、特に気持ちの切り替え、準備は必要だったと思います。私は中高のころに長期の留学を経験していることもあり、オンラインプログラムは現地留学の代わりになるものではないと思っていましたし、卒業要件のために参加して、さらに最初は簡単すぎるクラスに割り振られて、プログラムに対してポジティブに向き合うまでに時間がかかりました。ただ、せっかく参加するのだからと思い直してからは、クラス替えの交渉も含め積極的になれました。
異文化との交流では想定外のことが起こりますし、その時に、自分から状況を変えるために主張できるかはその後を大きく変えると思います。また、仮に状況を変えられなかったとしても例えば、プログラムが想定しているものや提供されるもの以上のことに挑戦してみたり、興味を覚えた情報を自分なりに調べたり、プログラムを梃にして自分なりに工夫できることはあると思います。そういった姿勢で向き合えれば、得るものが多くなると思います。

瀧山さん:
私も中村さんと同様で、気持ちの準備は大事だと思います。自分から働きかければ大抵のことはできると思いました。
そのうえで、私は短期的な目標を立てて参加するのが良いと思っています。私は、今回のプログラムを、こういう状況下で英語学習の習慣づけと英語検定スコアを上げるための勉強時間に使うと目標設定して参加しました。そういった視点で参加すると、オンライン語学学習のノウハウや、教材の見つけ方、例えば映画を見るにしても、どのように見れば英語力向上に役立つのかといった気づきが得られるようになります。
その目標を達成するにはどのように過ごしたらよいか自分なりに考えて、あえてクラスを変えず、少し物足りなかった異文化交流については、クラス以外の人と交流できる自主学習にしっかり参加することで時間を作るなど、状況を自分でコントロールしながら参加できました。

――初めてのプログラムということでいろいろ気になるところがあったと思いますが、皆さんが参加してくれたことで、今後改善されていくところもあると思いますし、こうやって経験を伝えてくれたことで、次の参加者の気持ちの準備やプログラム理解に役立ちます。本日はありがとうございました。

※国際社会科学部では夏のオンライン短期海外研修として「FPT大学オンラインインターンシップ」も行いました。参加学生のレポートはこちら。また、国際社会科学部は参加者の意見を参考にして、改善した春のプログラムを準備しています。