2015.05.29 Fri

茶道部

もうすぐ創部60周年〜茶道の魅力と奥深さ〜 茶道部インタビュー

もうすぐ創部60周年〜茶道の魅力と奥深さ〜 茶道部インタビュー

「お稽古は厳しく、部活は楽しく」がモットー。
四季ごとの茶会の催しは、学習院の伝統です。

創部から約60年続く茶道部では、日々のお稽古の成果を、季節ごとの茶会で披露しています。普段の活動について、また、新入生へのメッセージなどを委員長の錦戸さんと渉外委員長の井上さんに聞きました。

錦戸祐美子さん

文学部哲学科3年生 茶道部委員長 錦戸祐美子さん

井上直幸さん

理学部物理学科3年生 茶道部渉外委員長 井上直幸さん

(茶道部プロフィール)
1957年創部。1年生16名、2年生7名、3年生7名、4年生10名の計40名が所属。(毎週火・水曜日、富士見会館の和室にて17:00~19:00まで稽古をしている。)

茶道部に入られたきっかけや、茶道部について教えてください。

錦戸祐美子さん

錦戸:もともと茶道に興味があり、高校でも茶道部だったのがきっかけです。学習院大学の茶道部は、見学の際に先輩方が明るく声をかけてくださり、「居心地の良い場所だな」と感じました。

井上:僕は浪人時代に漫画を通じて茶道に興味を持ちました。中学はサッカー部に入っていたし、高校は工業系だったんですよ。その時々で興味のあることにチャレンジしています。

井上直幸さん

錦戸:茶道部の流派は裏千家で、外部の先生にご指導いただいています。活動は火・水曜日の17:00~19:00で、普段は師範代の茶道部OBの方が先生として火曜日にご指導くださいます。

井上:部員は1年生から4年生まで40名で、男女比は3:5です。1年次、4年次は女性比率がやや高いのですが、2年次、3年次はおよそ半々です。古典系の部活・サークルでは中くらいの規模で、人数も少なすぎず多すぎずちょうどよいですね。だからこそアットホーム感が出るのかもしれません。

普段の活動や、部の雰囲気について教えてください。

茶道風景

錦戸:お稽古には、お点前の一連の流れを行う「通し稽古」と、ふくさの扱い方、茶碗の清め方など、お点前の動きを分割して学ぶ「割り稽古」があります。新入生は入部したら3週間ほど割り稽古を習い、5月頃から通し稽古へと入っていきます。和室の中に何席か設けて、少なくとも火・水曜日のうち、一人1回は通し稽古ができるように工夫しています。

茶道風景

井上:割り稽古で一つひとつの所作を覚えることはとても大切ですが、通し稽古を行うことで自分ができていないところが見えてきます。その後、また割り稽古に戻ってお稽古を積むことも大切ですね。

錦戸さん

錦戸:お点前の基本となるのが割り稽古ですし、その基本ができていないと後輩が後々困ってしまいますので、手の角度や道具の持ち方、姿勢など、その場でその都度、先輩が基本の形を教えていきます。学習院の茶道部の特徴は、「基本に忠実に、基本に厳しく」。お稽古では、まず先生がいらっしゃって、先輩がいて、後輩がいるという上下関係がありますが、お稽古以外では和気あいあいとしていますよ。

井上:そうですね、先生に教わったことを先輩が後輩へとしっかりつないでいます。先生がいるときはぴしっと、いらっしゃらない時もぴしっとしていますが(笑)、雰囲気は朗らかですね。

お稽古風景

錦戸:お稽古時はみな真面目なのですが、部活の後にご飯を食べに行ったり、休日に一緒に出掛けたりと、普段からも仲良くしています。卒業生の名簿を見ると、ご夫婦で茶道部出身の方もいらっしゃるなど、茶道でつながるご縁を感じることもありますよ。

普段のお稽古の成果を披露する場などはありますか?

お稽古風景

錦戸:茶会が年に5回あります。4月の「オール学習院の集い」では、OB・OGの方々による桜山会と共催で茶会を行います。例えば、OB・OGの方がお点前をする「亭主」をつとめる一方、学生は亭主の手伝いをする「半東(はんとう)」をつとめるなどして、共に場をもてなします。

茶室風景

井上:その他、6月の夏季茶会、12月の冬季茶会は外部の茶室をお借りし、OB・OGや他大学の茶道部の方々をお招きして濃茶と薄茶でおもてなしします。今年度の夏季茶会では靖国神社の洗心亭をお借りするんですよ。僕は渉外を担当していますが、およそ130校弱の他大学の茶道部に招待状をお送りしています。

錦戸:11月の学祭の秋季茶会では、一般のお客様にも楽しんでいただけます。富士見会館の集会所に茶室を組み立てて、お出しするお菓子も自分たちでつくるんですよ。学祭の準備として、和菓子づくりの練習をしたり......楽しいですね。あとは、新春に「初釜」という茶会を部員で行っています。茶会の際は中島先生が道具をお貸しくださいます。

井上:学習院の茶道部は、他大学に比べて茶会の回数が多いですよね。他大学では茶会自体が年に1回だけというところもありますが、茶会を通じてOB・OGの方々や他大学と交流する機会を持てるのはうれしいです。5月、6月の日曜は、毎週のようにお招きいただいた他大学の夏季茶会に伺っています。

お稽古風景

お茶菓子

錦戸:他大学とは、茶道部ならではの悩みを相談することも多いですね。「どうしたらたくさん新入部員が来てくれるか」など(笑)。「どこの茶室が借りやすいか」、「お稽古の際のお菓子はどこで購入しているのか」といった情報も交換しています。

茶道の初心者でも部活についていけますか?

お稽古風景

井上:僕もそうでしたが、初心者の方も半数ほどいますので安心してください。正座なども最初は慣れないと思いますが、そのうち慣れますし、少しずつ作法を覚え、だんだんとできるようになる喜びも得られると思いますよ。

お稽古風景

錦戸:茶道の道具としては、新入生には基本の8点だけ最初に揃えてもらっています。「扇子」の他、お点前中に茶器や茶杓などの道具をふき清める「ふくさ」、濃茶をいただく際や茶器を拝見する時に使う「こぶくさ」、お菓子をのせる時に使う「懐紙」、「菓子切」、茶碗を清める際に使う「茶巾」、茶巾を入れる「茶巾入れ」、これらの道具をしまうための「袱紗鋏」です。

井上:ちなみに、お着物は基本的には学祭の秋季茶会の時にだけ着ていますが、持っていない部員には、複数枚持っている部員が貸したりしています。

お稽古風景

茶道具

錦戸:それから、部活では経験の違いによってお稽古の内容をわけたりすることもありません。経験者といっても、別の流派や別の先生に習っていた方が多いので、中島先生に習うのは初心者も経験者も初めてだからです。みな、この部で一からスタートするんですよ。

茶道の魅力や奥深さについて感じること、また、新入生へのメッセージをお願いします。

井上さん

錦戸:所作を習う時は厳しく見ていただきますが、そうして厳しく教えていただいた所作こそが一番美しく、一番動きやすい所作であると感じます。座る位置なども畳の一目、二目違うだけで、お点前のやりやすさや見た目の美しさが変わってきます。それほど繊細で奥深いものなのだと日々感じています。

扇子

井上:僕は茶道の言葉などから学ぶことが多いです。千利休の教えをまとめた『利休百首』に、「志深き人には幾たびも憐れみ深く奥ぞ教ふる」という歌があります。熱心な弟子は先生に何でも問うからこそ、師匠は親切であるべきで、憐れみ深く細々と教えなさい、という意味です。それまでの僕自身が「志深き人ではなかったなぁ」と感じたと同時に、「志深き人になりたい」と気付かされた歌です。茶道は禅ともつながる、心の修練の場であるのも魅力ですね。

錦戸:茶道部では、お作法以外にも茶の歴史などを学ぶ学術ゼミを月1回ほど実施しています。お作法以外の茶の歴史や精神を学ぶことなども、茶道には必要なんですよね。少し話は変わりますが、茶道を学ぶことで日常生活でも、食事の際のお箸の扱い方とか、茶碗の拭き方が変化しましたね。

錦戸さん

井上さん

井上:確かに。食器をとても大切に扱うようになりました(笑)。

錦戸:新入生の方は不安もあると思いますが、所作に関しては、先生を信じてついていこうと思っていただければ大丈夫です。稽古の時は厳しく、稽古以外の時は楽しく。これまで先輩方が築いてきた茶道部の良さを、後輩にも伝えていけたらと思います。

茶道風景

井上:学習院大学の茶道部は、もうすぐ創部60周年を迎えます。伝統や歴史は後輩につないでいかないと途切れてしまうものなので、後輩を大事に育てていきたいと思います。僕自身も先輩方にお世話になりましたので、まずは仲良くなって、楽しめる茶道部にしたいですね。