2019.11.12 Tue

世界とテーブルをシェアしよう!食べることで国際協力 ~Anchor(アンカー)・TFTプロジェクト班~

世界とテーブルをシェアしよう!食べることで国際協力 ~Anchor(アンカー)・TFTプロジェクト班~

なにかとシェアすることが日常となっている昨今。今年で11年目を迎えるTFT(TABLE FOR TWO)という活動をご存知だろうか。
学習院大学では2014年から、輔仁会館1階の学食を通じてTFTのメニューを提供し、現在はAnchor(アンカー)全体で37名が在籍者しており、多様なフィールドで活動を行っている。

学食でのメニュー試食会の様子 左:高橋沙英さん (2018年度 副代表)文学部教育学科3年生

学食でのメニュー試食会の様子
左:高橋沙英さん (2018年度 副代表)文学部教育学科3年生

日常のなかで、"国際協力"というハードル

"国際協力"という言葉から私たちはどんなイメージが想像されるだろうか。
どこか自分の生活とは全く切り離れた、遠い世界の出来事のように感じるだろうか。あるいは、海外の問題よりも優先すべき事など山ほどあるのではないかと、懐疑的な気持ちすら起こるだろうか。

フィリピンでのスタディツアーにて

フィリピンでのスタディツアーにて
中央左側:山下桃佳さん 文学部心理学科 3年生

「私たちはこの活動が楽しいから、TFTの取り組みを行っています。それは、例えば野球部が試合や練習を行うことと何ら変わりありません。"国際協力"という言葉についてまわる敷居をもっと取り払えたらと思っています。」
 
今回お話を伺った中で、最も印象的なコメントである。
国際協力をもっと身近に。そしてTFT活動を通じて、社会人・国際人としての振る舞いを見に付けている。それが、Anchor・TFT班への率直な印象である。
今回のインタビューでは、副代表の高橋沙英さん(3年生)、海外プログラムを体験した山下桃佳さん(3年生)を中心にメンバーの方からお話を伺った。

まずはTFT(TABLE FOR TWO)について教えてください

提供:TABLE FOR TWO International

提供:TABLE FOR TWO International

高橋:TFTの仕組みはとてもシンプルなんです。私たちが提供しているTFTメニューを1食注文していただくごとに、支援先の学校給食1食分になります。

海外の子供達の食事風景

山下:もともとは、NPO法人としてのTFT Internationalの事務局(以下:事務局)が存在していて、日本人が始めた活動です。それが今は、韓国や香港をはじめヨーロッパにも広がり、世界14ヶ国で公式に活動しています。支援先も事務局が決めているんですが、アフリカを中心に現在は6ヶ国に支援先の学校があります。アジアではフィリピンですね。
といっても、私たちも現地に行ってみて、初めてここに支援しているだという実感が沸いてきました。

学習院では学食の期間限定メニューがお馴染みですよね

食事風景

高橋:1つのオリジナルメニューを提供するまでに、だいたい3週間くらいを要しています。私たちが案を出したメニューを、学食の店長さんと打ち合わせします。それから商品化するメニューを決定し、試食会を行って最終決定を行います。
 
山下:私は広報班なので、試食会でメニューの画像などを仕入れてポスターや、デジタルサイネージ用の画像を作成しています。twitterなどのSNSも広報として活用します。キャッチコピーを考えたり、売り上げを伸ばす工夫は欠かせません。

試食会

パソコン

高橋:集まった寄付金額は事務局に振込みをしますが、私たちでは実際のお金の移動が難しいので学習院の蓁々会に委託して行っています。学食や蓁々会との打ち合わせは、渉外班で行っています。普段から社会人の方とのやり取りが多いので、日々勉強になることばかりです。

部分的ではありますが、まるで飲食店経営者のような活動ですね

高橋:今年度は10月までに3つのオリジナルメニューを提供することができました。しかも、前年比で売り上げが飛躍的に増えたんです。昨年の寄付金額が25,140円、今年は37,140円なので、約1.5倍かと。10月の竜田揚げ丼が、沢山の方に食べて頂けたのも大きかったと思います。
 
山下:TFTオリジナルメニューは期間限定(約1週間)ですが、通常メニューでもTFTメニューを用意しています。これはあまり知っている方が少なくて、もっと広報に力を入れたいところです。オリジナルメニューの提供も、もっと頻度を増やせるよう今後の課題ですね。
 
高橋:次年度の予定ですが、青山学院と学習院のTFTチームが共同で、一般のカフェにメニューを提供するプロジェクトも進めています。まだまだ計画の段階ですが、こういったコラボ企画も展開していく予定です。

楽しみながら理解を深め、国際協力をもっと身近に

国際協力に漠然と興味のある方は多いと思いますが、普段はどんな活動をしていますか

勉強会

高橋:Anchorとしての活動は週に2回です。1回は全体ミーティングで、レクリエーションを行ってメンバー間の親交を深めたり、各班の活動報告会や、関心のあるテーマについて勉強会を行ったりします。もう1回はTFT班としてのミーティングで、実際にメニューを考えたり、販促の打ち合わせや、売り上げの分析をしています。週に2回なので兼部したり、アルバイトや留学など、自分の時間も有効に使えますね。

 山下:レクリエーションでは貿易ゲームなんかもやりましたね。各チームに材料や道具をばらばらに振り分けて、同じ条件の"製品"をどれだけ作れるかというゲームです。
 
高橋:けっこう有名なゲームらしいのですが、各々のチームで材料ばかりで道具がなにもなかったり、またその逆もあったりと他のチームとも協力して"製品"を作る必要が出てくるんです。しかも、作るだけではなくて、最後に"精算"するのですが。ロスを出してしまうと、そこもコストとしてマイナスになってしまったり。国際問題へのアプローチもできて、ゲームとしてもすごく盛り上がりますね。

多様な活動の場で、企画や交流も自在

大学間で活動しているTFT-UAについて教えてください

山下:TFT-UA (Table For Two University Association)は、大学連合の形をとっている団体です。実は加盟大学数日本一の学生団体でもあります。北海道から九州まで支部があり、それぞれの大学でTFTの活動をしている大学生の情報交換の場になっています。支部ごとに月に一度のミーティングや勉強会、TFTのイベントも多数行っています。また、イベントごとに統括メンバーを募集し、様々な大学から集まった統括メンバーを中心に運営を行っています。

集合写真

山下:具体的には1ゴールにつき10食が寄付されるチャリティフットサル大会。10月16日の世界食料デーに向けたイベント「おにぎりアクション」では、#onigiriactionをつけておにぎりの画像をインスタグラムや twitter などのSNSに投稿すると、1枚につき5食が寄付されるプロジェクトに参加しています。
この他、関東支部のメンバーと合宿を行ったり、国際協力に関心や興味のある仲間と出会える機会も本当に増えました。

プレゼンテーション

食事風景

その活動の中で実際に支援国の様子を見に行く、スタディツアーに参加されたんですね

支援国

子供たちとの交流

山下:フィリピンのバライバイ地域ピナツボ山噴火被災者再定住区にある、支援先の学校に行ってきました。そこでは、実際に支援を受けている小学生の家庭に滞在し、給食を作っているお母さんたちにインタビューしたり、自分たちの手で給食を作って交流することができました。

支援国での食事風景

カレー

山下:現地に行ってみて、率直に思ったことは、見た目では貧困が分からないということでした。
お金に困っていて、満足に食事が取れなくても、それを周囲に感じさせないよう衣服などは整っている子どもも多いんですよね。各家庭でも食事の栄養バランスや、食べる物にも関心が薄かったりして。

食事

山下:そうした現地の状況なども調査して、材料の調達や、インフラ面なども考慮しながら、現地でコーディネートを行うそうです。実際に給食を調理するお母さん達にも、栄養価の講習を行うなど知識を身につけることから始めるそうです。

Anchorはみなさんにとってどんな団体ですか。また新入生、在学生にメッセージをお願いします

ミーティング

山下:私は2年生から入部しましたし、少しでも「面白そう」と思った方はぜひ話を聞きに来てください。Anchorは、人助けがとても自然だと思っている人間の集まりです。日本を出なくても、自分を犠牲にしなくても、楽しんでやった活動が人助けになる方が、お互いにとってよいことだと思いますし、それが"国際協力"だと思っています。
 
そしてこれから私自身は就職活動が本格化していく時期なのですが、国際協力を職業として選択しようとは考えていないんです。Anchorの活動を通して日常とは異なる地域や、人々の生活に触れることで知識を得ることができ、自分自身の価値観やものさしを考える上でとても貴重な体験になったと思っています。

集合写真

高橋:"国際協力"へのイメージはまだまだ身近ではないかも知れませんが、少しでもこの活動に興味を持たれた方は気軽に見学に来ていただけたらと思います。
宣伝になってしまいますが、輔仁会館1階の学食を利用される際は、ぜひ「TFTメニュー」のご注文をよろしくお願いします。

【学習院大学 国際協力団体Anchor】

 【学習院大学 国際協力団体Anchor】
NPO法人フェアトレード学生ネットワーク関東正会員団体
Table For Two University Association 加盟団体