2019.10.24 Thu

児童文化研究会

手づくりの人形劇で子どもたちを笑顔に。~児童文化研究会インタビュー~

手づくりの人形劇で子どもたちを笑顔に。~児童文化研究会インタビュー~

後列左:金久保洸史さん 文学部哲学科 3年
後列中:佐藤美彩喜さん(2018 年度 委員長)文学部哲学科 3 年
後列右:磯部友梨子さん 経済学部経営学科 2 年

子どもたちの笑顔のために、"人形劇"を介して活動する児童文化研究会。
脚本の執筆から人形づくり、演技まですべて自分たちの手で行い、子どもたちを楽しませている。
子どもと接することが好きだという人はもちろん、そうでない人も大歓迎。抜群の仲の良さが光るサークルだ。

"子どもが好き"だけじゃない。このサークルで知った
人形劇をつくる楽しさと、頼もしい仲間

このサークルに入ったきっかけを教えてください。

練習風景

佐藤:年の離れた弟がいたこともあって、昔から子どもと一緒に遊ぶことが好きでした。何か子どもと関われるサークルはないかなと探していて、児童文化研究会の部室に来てみたところ、先輩方の雰囲気がとてもよかったので決めました。
他にも子どもと関われる団体はありますが、決め手となったのはやはり先輩方がとても優しくて、居心地がよかった点ですね。
 
磯部:私も子どもがすごく好きで、子どもと関わるボランティア活動ができるような団体はないかなと思っていたところ、偶然勧誘していただいたのがきっかけです。部室へ行ってみて、自分のやりたかったこととぴったりだったので、入部を決めました。
 
金久保:人形劇をやるサークルがあるんだということは、新歓の時期に初めて知ったんですが、自分が子どもの頃に人形劇に親しんでいた記憶もあって、あれを自分たちでつくれるなんておもしろいな、やってみたいなと思って入りました。何よりも、サークルの雰囲気がとてもよかったことが決め手でした。
 
佐藤:必ずしもみんな、子どもが好きだということはないんです。「どちらかというと苦手だけど、人形劇をつくること、演じることが楽しい」という人や、単に「サークルの人間関係が最高だから、続けている」という人もいるんです。

みなさん、人形劇に関わるのは初めての経験でしたか?初めてでも、できるようになりますか?

練習風景

3 人:初めてです!
 
佐藤:演劇の経験がある人もほとんどいませんし、人形劇をやっているサークルがあること自体みんな知りませんでした。人形劇をやろうと思って大学に入ってきた人は一人もいないですね。
 
金久保:人形自体はすぐに動かせるようになります。最初は自分のセリフの時に手を動かす、という基本的な動きだけをやります。4 月入部なら6月公演がデビューになりますが、その後から人形の手を動かすだけでなく、体の向きを変えてみたり、お辞儀をさせてみたりという風に、少しずつ複雑な人形の動きを習得していって、より伝わりやすいよう工夫します。とても優しい先輩たちが丁寧に教えてくれるので、必ずできるようになりますよ。

練習風景

練習風景

脚本を書き、人形劇をつくる。十人十色のつくりかたがおもしろい

サークルの年間スケジュールと、普段の活動の内容について教えて下さい。

公演風景

佐藤:1 年に5 回ほど、学内外で公演を行っています。豊島区の区民ひろばでの公演や、福島の幼稚園での公演、そして学園祭などが大きなイベントです。1回の公演で複数演目を行うときもあるので、演目数でいうと1年間に8〜10 の劇をつくり発表しています。普段の活動は公演に向けて劇の脚本を書いて配役を決め、脚本に沿ってひたすら練習を積んでいます。3年生の11 月で引退なのですが、それまでに必ずひとつは脚本を担当できるようにしています。
 
金久保:毎週火・木曜に行っている練習では、木枠を組み立てて本番と同じような動きをやるんです。毎回1時間くらい、練習時間の半分を木枠の組み立てや解体にかけていますね。
 
磯部:この木枠が、けっこう重いんです(笑)。久しぶりだと、筋肉痛になったりもします。
 
金久保:演じる前にちょっと疲れます(笑)。それでも人形の扱い方や、舞台に登場させる感覚をつかみたいので、できる限り木枠を出して練習するようにしていますね。

舞台設置

脚本のテーマはどのように決めているんですか?

佐藤:私たちの公演では、ひとつの演目で必ずひとつ、子どもたちに伝えたいメッセージを入れるようにしています。「きちんとあいさつをしよう」「お友だちと仲良くしよう」といった感じです。内容は子ども向けであって難しくなければ、基本的になんでもOK。自分の好きなアニメやキャラクターの世界観を引用する子もいますし、作り方はさまざまです。16 人メンバーがいますが、16 通りのアプローチがありますね。
 
磯部:私が脚本を担当した演目は、1 年の始まりの時期だということを意識して「お友達に話しかけるのが少し恥ずかしい」というお話を書きました。ちょっと勇気を出して話しかける場面を入れて「ちゃんと仲良くなれるよ。お友だちができるよ」というメッセージを込めました。そんなふうに、公演の時期を意識してテーマ設定することもあります。
  
金久保:僕は自分の体験がもとになっていることが多いです。幼稚園時代はあまり周りになじめない子どもでしたが、ある友達のおかげでみんなの輪に入ることができて、それがとても嬉しかったんです。その体験から「ひとりひとりと向き合って、みんなで仲良くしようね」というテーマに結びつきました

他の人がつくる脚本に取り組むのも楽しみですね。

ミーティング風景

3人:楽しみですね!!(即答)
 
佐藤:脚本って書く人の個性がすごくよく出るんです。セリフには普段の口調がそのまま出たりして、登場人物は私が書いたら私っぽく、磯部さんが書いたら磯部さんぽくなります。
 
磯部:読めばだいたい、これは誰々の脚本だねってわかりますし、みんなでよく言い合っています。

脚本は、練習の中で変えていくこともあるんですか?

台本

佐藤:はい、あります。脚本を書く段階では自分の頭の中だけで組み立てていくので、実際に演じたときにどうなるかまで想定しきれていないことも多いんです。こっちから人形が入ってくるとやりづらいから右左を変えてみよう、小道具の出し方を変えよう、セリフの言い回しを変えてみようなど、やっていくうちによりよいと思われる方向に変わっていきます。
 
磯部:上下関係もあまりなく仲のいいサークルなので、部員同士みんな好きに言い合うことができるんです。

公演を通じて、多くの学びと喜びを経験

練習と本番では、勝手が違うこともありそうですね。

公演

佐藤:練習と本番のギャップはかなりありますね。声が届きにくい会場の場合もありますし、何より観客が子どもたちなので予想がつかないんです。泣かれてしまったり、集中力がきれるとしゃべったり動き回ったり......。ただ逆に自分のセリフのときに静かだと、集中して聞いてくれているんだなとわかって嬉しいです。
 
金久保:子どもたちによりよく伝わり、興味をもってもらえるような工夫もしています。僕の場合は人形同士というより、人形が子どもたちに話しかけているかのように人形を動かしたり、声を届けたりするように演技しています。脚本を書くときにも、できるだけやさしい言葉を使うように意識しています。
 
佐藤:私が脚本を書いた劇では、子どもたちに声を出してもらう場面を入れました。「桃を探しているんだけど、どこにあるかな?」と呼びかけて、子どもたちが「あそこー!」と反応してくれると、見てくれているんだなって嬉しくなりますね。
 
磯部:ひとつの公演を終えると、次の公演に向けてやりたいことも出てくるんです。今回は女の子の役だったから、次は男の子の役をやってみたいとか。同じ女の子の役でも、お母さん、妹、お姉ちゃんなどキャラクターが違うので、演じ分けられるようになっている人もいます。

今後、達成したい目標はありますか?

準備風景

佐藤:引き続き、子どもたちやお母さんたちに楽しんでもらえる劇をつくっていきたいと思っています。私は3年生なので今年の11 月で引退なのですが、後輩たちやこれから入ってくる人たちには、脚本づくりも演技も「どうすればもっと楽しんでもらえるか」を追求していってもらいたいなと思っています。

興味がなくても絶対楽しめる! 部室訪問大歓迎

最後に、高校生や新入生へメッセージをお願いします。

メンバー集合写真

佐藤:最初は人形劇に興味がなかったり、子どもは苦手だという人でも参加して楽しいサークルだと思います。演技なんて、劇なんてって思うような方でも大丈夫です。人形劇は顔が見えない分、人前で緊張しやすいという人にもぴったりかもしれません。雰囲気の良さや先輩の接しやすさは本当にピカイチです。その雰囲気は外からはなかなかわからないと思うので、まずは気軽に部室に遊びに来てみてください。お待ちしています!