2025.10.15 Wed

トランポリン部

美しく高く跳べ! ~トランポリン競技部~

 美しく高く跳べ! ~トランポリン競技部~

学習院大学トランポリン競技部の部員数は、男女合計で 10名弱。ほとんどが未経験で入部し、月水金土の週4回、約2時間の練習に励んでいます。アットホームな雰囲気の中、伸び伸びとジャンプを楽しみながら、技術力の向上を目指し、部として掲げる目標は「全日本学生トランポリン競技選手権大会」、通称「全日本インカレ」での団体優勝。チームを引っ張る主将の髙樋さんと、選手兼主務の名波さんにお話を聞きました。

写真左:髙樋 春花さん(2025年度主将)文学部心理学科 3年 神奈川県 私立湘南白百合学園高等学校出身
写真右:名波 さくらさん(2025年度主務)東京都 私立多摩大学附属聖ヶ丘高等学校出身

跳べばわかるトランポリンの楽しさ

お二人の入部のきっかけから教えてください。

髙樋:私は小学生のときに通っていた体操教室にトランポリンがあり、当時は遊び感覚だったものの、跳ぶ楽しさを知りました。中学校ではソフトボール部に所属し、高校時代は個人的にアクロバット教室に通っていました。その経験から「大学でも体操系の競技がしたい」と考えるようになり、入学前からSNSでトランポリン部の活動をチェック。入部は最初から決めていて、別の選択肢はありませんでした。実際に練習に参加したのは新歓期間が終わってからで、"一応"体験という形でしたが、心は決まっていたので、新歓期間中の体験会には参加しませんでした。

名波:私は新歓期間中の体験会に何度も参加しました。小学生のときには体操教室に通いましたが、中学高校時代はダンスドリル部に所属し、アクロバティックなダンスではなく、床で踊るチアダンスに打ち込んできました。大学では新しいことにチャレンジしたいと思い、トランポリンに出会いました。宙返りなどはしたことがなく初めての動きばかりでしたが、体験会で夢中になり、私もトランポリン部以外の選択肢はありませんでした。

髙樋:入学時にはトランポリン部の存在を知らなかった人も多いんです。新歓期間中は体育館の外にトランポリンを出して体験会を行うため、実際に跳んでみて「楽しい!」と入部する人も少なくありません。

体験会の内容や、入部後の普段の活動内容を教えてください。

髙樋:体験会では、まず真っすぐ上に跳ぶ基礎的な技にトライしてもらいます。私の体験入部の際は、先輩方が明るい雰囲気にしてくれて、ジャンプするたびに褒めてくれたので、いろいろな技への挑戦意欲をかき立てられました。トランポリンには空中で足を抱える技や足を広げる技、背中やお尻で着地する技、お腹で着地する技などもあり、上級者になると回転技も加わるんです。

名波:体験会ではシンプルに上に跳ぶ基礎的な「ストレートジャンプ」やおしりで跳ぶ「シート」だけでなく、先輩に高く跳ばしてもらうこともできます。普段使わない筋肉を使いますので、最初は全身が筋肉痛になりますが、慣れてくると、集中力や体幹を鍛えることができます。

髙樋:入部後は、個別にメニューを決めてジャンプの練習をします。ストレートジャンプから始め、そこから別の基礎技や複数の基礎技をつなげる練習、さらには宙返りなどの難しい技の練習に段階的に移っていきます。

名波:ウォーミングアップでは、柔軟運動のほか、倒立や腹筋などの筋トレもします。トランポリンは美しく、ダイナミックですが時に危険も伴うため、柔軟や体づくり欠かせません。

髙樋:私も普段から自宅での柔軟運動は大切にしています。体の柔らかさは演技の美しさにつながり、怪我防止にもつながりますので、就寝前のルーティンになっています。

1年生は、いつ頃から大会に出るのですか?

名波:入部から約2カ月後の6月下旬に「東京都大会」があり、エントリーすれば出場できます。また、毎年ではありませんが、2024年には「イーストジャパン」という大会に12年生が出場しました。トランポリンはレベル別にABC3クラスで行われる大会が多いのですが、この大会にはCよりも難易度が低く、初心者でも出やすいDSクラスがあり、そこに12年生が出場して3人が入賞できました。

髙樋:トランポリンの大会では技を10本続けて行う必要があり、単発で技ができるだけでは不十分です。1年生はまずストレートジャンプや背中で着地するジャンプなど、基礎的な技を10本続けられるように練習します。経験が浅いと空中で安定せずフラフラしてしまいますが、最初から高く跳ぶ必要はなく、1年生の間はむしろ低く跳ぶように指導されます。空中でバランスを崩すと着地の際にケガをしやすいので、慎重に着実に、無理なく少しずつレベルアップを目指します。大会では高く跳べた方が得点は伸びますが、1年生の間は高さよりも10本続けられることに重きを置き、徐々に高さを上げていきます。

全員が全日本インカレに出場できる!

入部後は、どのようにレベルアップしていけますか?

髙樋 1年次の夏で基礎的な技の指導は一段落し、秋冬で基礎固めをして、私は1年次の1月頃に宙返りに挑戦しました。最初は何をどう意識してどの筋肉を使えばいいのか、また、着地のタイミングも全然わからず、回転しすぎてしまうこともあれば、回転が足りないこともありました。それでも練習を重ねれば、どんな速さで回り、どんなタイミングで脚を出せばうまく着地できるのかがわかってきます。空中での力の入れ具合で着地のしやすさも変わり、初めて宙返りが成功したときにはレベルアップを実感できました。日常生活では考えられないアクロバティックな技ですので、大きな達成感を味わうことができました。

名波 私も1年次の冬に宙返りに挑戦して、3月に初めて成功したばかりですが、空中でクルッと回転して着地することが純粋に楽しいです。跳んでいる最中は、「もう少しお尻を上げよう」「勢いを抑えよう」といった意識すべきポイントがあるのですが、あれこれ考えているともう着地しています。

髙樋 前転や後転を織り交ぜながら、ひたすら宙返りの練習を繰り返す先輩もいます。大会に向けて1人ひとりが10本の構成を考えて練習していくんです。規定演技では決められた技しかできませんが、自由演技では技の組み合わせは人それぞれ。大会によって変わるものの、一番の目標としている8月の「全日本インカレ」では最初に規定演技があり、その後に自由演技となります。そこで、まずは基礎的な技を確実にこなして、「最後の10本目で1本だけ宙返りをしよう」とか「最初に宙返りをして、中盤は基礎技。10本目でもう1回宙返りを入れる」など、それぞれが戦略を立てます。

名波 練習の様子は部のiPadや自分のスマホで撮影してチェックし、動画をコーチに送ってアドバイスをもらうこともあります。2人いるコーチはいずれも卒業生で、審判員として活躍されています。

高樋 全日本インカレには1年生を含めて部員全員が出場します。個人戦と 4 名での団体戦があり、団体戦は個人戦の出場者から 4 名を選抜。個人戦での得点が自動的に団体戦 の得点として計算されます。近年の学習院は全員が C クラスに出場していますが、男子は人数不足で個人戦のみ。女子はC クラスでの団体戦優勝を目指しています。

名波 ちなみに、全日本インカレの開催地は毎年変わり、2024年は滋賀県での開催でした。そのときは、大会後に京都観光も満喫。2025年は埼玉県開催なので、帰りにどこに寄ろうか考えています。

高樋 2年前は北海道で、そのときも観光してから帰京しましたね。

大会はどんな雰囲気ですか?

髙樋 演技は1人ずつ行いますので、会場全体からの視線を感じて緊張します。「いつもどおりに」と気持ちを落ち着かせて、練習してきた10本の技をやり切ろうという気持ちで臨みます。中学時代のソフトボールではエラーをしたらバッティングで取り返そうとか、挽回するチャンスもありました。でも、トランポリンは一発勝負。10本の演技の中で少しでもミスをしたら大きく減点されてしまうので、一瞬にかける緊張感、失敗できないという緊張感は強いです。小さなミスなら跳び続けて10本分採点してくれますが、大きなミスだとその時点で採点が打ち切られることもあるんです。

名波 私の場合、チアダンスは仲間と一緒でしたが、トランポリンは1人で審査されるのでとても緊張します。ですから私も「いつもどおりに」と心の中で唱えて気持ちを落ち着かせています。

髙樋 強豪は日本体育大学です。高校以前から本格的にトランポリンをしてきた選手が多く、大会では主にABクラスに出場しています。学習院は大学から始めた学生が多くCクラスが中心ですが大会で上手な演技を見て自分の演技と比較すると、とても勉強になります。

名波 今年の2月に慶応義塾大学のトランポリン部と合同練習をしたときも、すごく勉強になりました。練習や情報交換ができて貴重な経験になりました。

空中での無重力感や爽快感は格別!

入部後は、どんな点に成長を感じますか?

髙樋 自分の演技がそのまま得点になりますので、新しい技ができるようになって大会で得点が上がっていくと、技術面での成長を実感しやすいです。また、主将になってからは、練習方法をはじめとして、部全体にとって何がいいかを広い視野で考えて行動するようになりました。部員それぞれに意見や希望があって、すべてを取り入れることはできませんが、部全体を見渡して、部のためになる取り組みを主体的かつ多角的に考えられるようになったことも、私の成長ポイントだと思います。

名波 私は体験会で先輩のカッコいい演技を見て、それに少しずつ近づけている点に成長を感じます。また、通常は3年生が幹部を務めますが、部員数の都合上、2年生で主務を経験させてもらっていることで、技術面以外での成長も感じています。大会前には学生課への申請があり、大会後には結果報告もあるため、書類提出に必要な事務処理能力や、職員の方とのコミュニケーション能力なども磨かれてきた実感があります。

髙樋 名波さんをはじめ、後輩は基礎技もままならないところから見ているので、基礎技が身についてつなげられるようになり、さらに宙返りまでできるようになると、自分のことのようにうれしくなります。私自身も、基礎技から宙返りまで、先輩が一緒になって練習を盛り上げてくれましたし、初めて宙返りができたときには一緒になって喜んでくれました。部員数が少ないからこそアットホームですし、助け合いながら喜びを分かち合えるのがトランポリン部の魅力です。

最後にあらためてトランポリン部のアピールをお願いします。

名波 先輩が「マイナー競技のトランポリン部を選ぶ時点でちょっと個性的だよね」と言っていて、確かにそうだと思います。ただ、みんなに共通しているのは「跳ぶのが楽しい。好き」ということ。高校まで運動部での経験がなくても、練習すれば問題ありません。「跳びたくなったから入部した」という学生もいます。ケガを回避する方法もきちんと学べますので、安心してチャレンジしてほしいです。

髙樋 そうですね。トランポリンは「危ない!」と思って手を出してしまうと、手首や肘、肩などを痛める原因になるので、お腹や背中で着地してケガを防ぐ練習をします。実際にそれ自体が技になっているので、そこまで大きな痛みは感じませんし、何よりも空中での無重力感や爽快感は格別です。学習院には競技用のトランポリンが2基あって練習環境は恵まれています。初心者でも基礎からじっくりと練習できて、大会で入賞できる可能性も大いにあります。少しでも興味を持っていただけたら、まずは一度、体験会で跳んでみてほしいですね。