2026.06.03 Wed

和楽器サークル玉緒

ゆるく楽しく、厳しくゆるく ~和楽器サークル 玉緒~

ゆるく楽しく、厳しくゆるく ~和楽器サークル 玉緒~

和楽器サークル玉緒は、2014年に任意団体として発足後、現在は文化系同好会の公認団体として活動。2025年度は約40名の学生が地唄三味線、津軽三味線、箏、尺八に分かれ、夏と冬の演奏会や秋の大学祭「桜凛祭」のほか、新歓期間のミニ演奏会でも多彩な曲を披露してきました。"ゆるさ"が魅力だと話す3年生(取材当時)の松原さんと、2年生(取材当時)の岩田さんに"その心"を聞きました。

写真左:松原 もも香さん(2025年度 副部長)文学部日本語日本文学科 3年(取材当時) 埼玉県・私立淑徳与野高等学校出身
写真右:岩田 教圓さん(2026年度 津軽三味線 楽器リーダー)文学部心理学科 2年(取材当時) 東京都・私立学習院高等科出身

文化庁「邦楽普及拡大推進事業」採択団体

――お二人が「玉緒」を選んだ理由から聞かせてください。

松原:私は何の音楽経験もなかったのですが、自宅に三味線があったことを思い出し、どうせなら弾けるようになりたいと思って、2年生になってから入りました。学習院では、玉緒以外に大所帯の和楽器団体もあるのですが、ゆるそうな雰囲気で私に合うと感じたのが玉緒でした。先輩にも2年生から入った方が1人か2人かいて、今年も2年生で入った後輩がいますし、私のときも入りやすい雰囲気がありました。

玉緒で三味線をするとなると、地唄三味線か津軽三味線のどちらかで、私が選んだのは地唄三味線です。まったく知識のない状態からのスタートで、活動日は週1回金曜日だけですが、活動日以外に「部屋取り係」の学生が練習場所を確保してくれることもありますし、部室でも音を出して練習ができますので、無理なくコツコツと練習を重ねていきました。

――岩田さんはなぜ「玉緒」に入ったのですか?

岩田:私は高校2年の夏に、『ルパン3世』のテーマ曲を和楽器で演奏する動画を観たことがきっかけで、個人で津軽三味線を始めました。その頃は三味線の種類も全然知りませんでしたが、調べて最初に見つけたのが津軽三味線でした。大学では音楽団体に入って続けようと思って探したところ、津軽三味線ができる唯一の団体が玉緒でした。高校時代は、プロの奏者が個人で運営している教室に入り、月1回のペースでお稽古がありました。現在も所属していて、年に1回は演奏会もあります。高校時代は学校の部活動もあったので出ませんでしたが、大学入学後は、この教室が主催する演奏会にも出ています。ちなみに、三味線界は狭いようで、その先生と、玉緒で教わっている先生は知り合いでした。

松原:玉緒でも楽器ごとにプロの先生が来てくださって、指導を受けられます。お稽古日は先生と各パートの学生で調整していて、基本的に月1回、約1時間です。また、外部とのつながりという点では、先輩が過去に文化庁の「邦楽普及拡大推進事業」に申請して採択団体になり、楽器もお借りできるようになっています。2025年度は、地唄三味線、津軽三味線、琴、尺八を1台ずつお借りしています。

"習うより慣れろ"とは限らない

――経験者も未経験者もいる玉緒はどんな雰囲気なのでしょうか?

岩田:個々が目標を立てて練習しながら、難しいポイントがあれば経験者や先生に教わる程度の"ゆるい"雰囲気です。個々のペースを認め合い、尊重し合い、仲良く楽しく音楽に向き合っています。ただ、お稽古が基本的に月1回ですので、普段は経験者や上級生が、未経験で入部したばかりの学生に教えています。ちなみに、私が高校時代に習い始めた頃は、「これがどうしてもできない」という難所がありました。ただ、それをどう克服すべきか質問しても、「みんないつの間にかできるようになる」といった答えでした。確かに"習うより慣れろ"という言葉はありますが、私自身がどのようなプロセスで克服していったのかを記録しておいたことで、現在の未経験者への指導にも活かされています。「自分はこうしてみたら演奏しやすくなった」と実体験ベースで伝えられますし、当時のことを思い出しながら教えています。

松原:そうやって私も最初はゼロから先輩に教わりました。地唄三味線と琴、尺八は、『さんさんさくら』という非常に簡単な曲から始めます。夏の定期演奏会に向けて、約3ヶ月かけてじっくり練習しながら、楽譜の読み方や、演奏方法を覚えていきます。その後、学生によっては桜凛祭に向けて複数の曲に挑戦するケースもありますが、私が1年目のときは、桜凛祭でも1曲しか演奏しませんでした。そこもまた"ゆるさ"というか、ゆっくりと同じ曲を練習していました。ただ、さらに和楽器熱が高まってからは、演奏会に向けて2・3曲練習するようにもなりました。なお、演奏会では独奏もありますし、琴・尺八・地唄三味線や、琴・尺八・津軽三味線といった組み合わせでの合奏もあります。ただ、あまりかしこまったミーティングはしていなくて、やはり"ゆる~く"「この楽譜あるんだけどやらない?」くらいのノリで決まっていきます。

――ゆるいとはいっても、みなさん真面目に取り組むんですよね?

岩田:玉緒は"ゆるくて厳しいサークル"だと思っています。「ゆるい」というのは、入りやすくて参加しやすい雰囲気もそうですし、伝統的な和楽器を気軽に始められることも、好きな楽器で好きな曲を演奏できることも、ゆるいからこその魅力だと思います。一方で「厳しい」というのは、自分に厳しくできる人なら、とことん和楽器に打ち込んで上達していける環境だということです。演奏会前になると、みんなクオリティを気にするようになります。「やばいやばい」と言って練習に励みますし、主体的に厳しく取り組む学生が多いと思います。

松原:和楽器への向き合い方を押し付けるような空気はありませんが、誰かが熱意を持って練習していれば、周りの学生も「やらなきゃ!」と雰囲気が締まりますし、演奏会前には適度な緊張感もありますね。

――演奏会ではどんな曲を披露するのですか?

松原:玉緒では、8月の「定期演奏会」と、11月の桜凛祭、2月の「冬の演奏会」が3大イベントです。披露する曲は、古典からポップスまで幅広いですが、2025年の桜凛祭で私が演奏したのは、『名探偵コナン メインテーマ』や『神のまにまに』というボカロ曲、『風のとおり道』という『となりのトトロ』の劇中歌です。

岩田:私は、毎回みんなで披露する合奏曲の『千本桜』や、『剣の舞』というクラシック曲のほか、『モンスターハンター』などのゲーム音楽にも挑戦しました。また、民謡の『津軽じょんがら節』を合奏用にアレンジして、みんなで演奏することも恒例になっています。

一生モノの技術を身につけられる

――演奏以外でも頑張ったことや成長を感じる部分はありますか?

松原:私が力を注いだのは、マニュアルづくりです。きっかけは、他大学の友人の愚痴。桜凛祭のときに前任者からの引き継ぎが何もなく、全部手探りで大変だったという話を聞いたことです。直感的に「玉緒では後輩たちに大変な思いはさせたくない」と思いました。こうして私は、演奏会に向けて「何月何日に何をして何を進めた」「こういう考えでメリットとデメリットを挙げ、結果的にこう決定した」といった流れをまとめました。2025年度は、幹部年代である私の学年が実質的に2人だけでしたので、多くの2年生に幹部として手伝ってもらいながら運営してきました。おかげで特に苦労を感じることもなかったのですが、もし今後人数が減ってしまっても、うまく運営していけるようにしたいと思ったんです。

岩田:松原さんのマニュアルづくりをはじめとして、「先輩は仕事ができてすごいな~」「自分にできるかな~」とも思いますが、なんとか先輩方の意志を継いでいきたいと思っています。私の成長ポイントは演奏の話になってしまいますが、高校のときは1人で練習していて合奏は経験してこなかったので、合奏で周りと合わせる力は磨かれたと思います。一人なら自分のベースで弾けるので当初は難しくも感じましたが、それを乗り越えて合奏の楽しさを味わえたことが、玉緒での最大の収穫ですね。

――最後にあらためて「玉緒」の魅力をアピールしてください。

岩田:まず、活動は週1回ですので、別の団体との掛け持ちもしやすくて、学業やアルバイトの時間もしっかりと確保できます。さらに2026年度からは、他大学の和楽器団体との「学生交流会」にも参加していく予定です。和楽器という新たなジャンルに挑戦したい方や、和楽器をとおして学内外で幅広く交流を深めたい方は、ぜひお越しいただければと思います。

松原:4月の新歓期間に来てもらえれば、ミニ演奏会で和楽器の音色を生で聴いていただけますし、実際に楽器に触れていただくこともできます。私のように和楽器どころか何の音楽経験もない学生でも大歓迎です。プロの奏者から指導を受け、コツコツと練習を重ねていけば、一生モノの技術が身につくはずです。演奏会が終わり、拍手に包まれた中で味わう達成感も格別ですよ。