教員紹介

竹原 有吾教授

Yugo Takehara

研究分野
経営史、社会史、経済史、ユダヤ史

メッセージ

宗教とビジネスの成功を関連付けようとする試みは、今日でも多く見られます。ただそうしたものの中には、ビジネスの成功要因として企業家が信仰する宗教を取りあげ、特定の宗教の教義を広めようとしたり、意味のない宗教対立を煽り立てようとしたりするものがかなり含まれています。現代社会では、むしろ宗教とビジネスは切り離して考える方が適当でしょう。ただ歴史を少し学んでみればすぐわかることですが、わずか数世紀前まで宗教とビジネスは、きわめて密接な関係にありました。宗教とビジネスの関係がどのように変化してきたかを分析することは、現在の社会を正しく理解するうえで不可欠です。この課題に取り組むべく、ビジネスにおいて欧米のユダヤ教徒とキリスト教徒の関係がどのように変化してきたかを考察しています。

世界各地には、数え切れないほどさまざまな史料が存在します。しかしその中で本当に研究に役立つ史料というものは、ほんのわずかしかありません。当然、それを見つけ出すことは容易ではありません。適切な課題設定を行い、広く情報収集を行うことが必要です。また運よく研究を進展させられそうな史料に巡り会えたとしても、その史料を分析できなければ意味がありません。史料に応じて新たな分析方法を身につけることも求められます。それでも経営史は誰でもその気になれば簡単に取り組むことができる学問です。実際に成果を出すまでにはある程度、時間が必要になりますが、研究が進展すればするほど、世の中を見る目が磨かれていくことを実感できます。大学院生活を通して一つ成長した自分と出会いたい方は、ぜひ経営史の研究に挑戦してみましょう。

最近の研究テーマ

主に16~19世紀のベルリンのユダヤ教徒に、どのような企業家活動が見られたかを分析してきました。ユダヤ教徒を事例に、社会の歴史的な変化とビジネスの展開が、相互にどのように関係してきたかを明らかにすることを研究課題としています。

研究室

大学院の授業では、経営史や経済史の研究書や論文を一緒に読み進めていきます。経営史の基本的な知識を確認してもらうとともに、院生がそれぞれで進めようとしている研究が、学問的にどのような意義があるのかを、各自でしっかりと考えてもらえるように指導していきます。