2017.09.27 Wed

籠球部

二人の主将〜強さの裏側〜 籠球部インタビュー

二人の主将〜強さの裏側〜 籠球部インタビュー

バスケ部? いいえ、籠球部です。呼び名からも伝統のわかるこの部を率いて、奮闘している二人がいます。強豪校に勝利し、歴史的快進撃を続ける男子部の主将と、全治6ヶ月の大怪我を乗り越え、女子部をまとめた主将。この二人の主将が語る強さの裏側には、かけがえのない「仲間」の存在がありました。

荻野さんと木下さん

左:法学部政治学科4年 荻野駿さん
右:経済学部経営学科4年 木下璃子さん

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壁を突破し続ける男子部の快進撃

どんどん強くなっているそうですね。

荻野駿さん

はい、そうです。今年の春、関東大学バスケットボール連盟の1部〜5部リーグの所属チーム132校が入り乱れて戦うトーナメントで、昨年1部リーグ所属の強豪校に僅差で勝ち、関東15位という成果を残すことができました! これは長い籠球部の歴史の中でも、初なのでは......という成果です。このほか、6月の四大学定期戦では4年連続で全勝優勝、7月の甲南大学定期戦では昨年30年振りの優勝を果たしたのに続き、今年も優勝しました。

まさに快進撃ですね! 今はどのような大学と戦っていますか?

練習風景

私が1年生の時に4部リーグで優勝し、2年生の時に3部リーグに昇格して今に至ります。3部リーグから上は、どこもスポーツ推薦枠のある大学ばかり、という状況です。4部と3部では、レベルが全く違っていて、特にフィジカルと戦術的な規律の面で差があると感じました。フィジカルで言うと、190センチ以上の選手が複数いるチームもあります。そんな中、学習院大学にはスポーツ推薦枠がないですし、190センチ以上の選手が1名しかいない、という不利な状況ですが、規律はOBのコーチと一緒に考え、フィジカル面の不利は粘り強いディフェンスで勝つという、学習院大学の伝統を武器に戦っています。それが自分たちの勝てる戦術なのかな、と思っています。

不利な状況でも勝つために、どのような練習を行っているのですか?

週5回、3時間程度の練習を行っています。平日は4年生が引っ張って締まりのある練習をしていますし、土日はコーチが指導に来てくださいます。またフィジカルの課題については、大学内のトレーニングルームなどを利用し、各自工夫して自主練習をしています。

荻野さんは、最初から主将を目指していたのですか?

荻野さん

いいえ、最初は違いました。私が2年生の時、4年生のプレーヤーが3人も抜けて、チームのレベルが下がってしまいました。その時、「どうチームを育てるか」と、初めて強く「チーム」を意識したのがきっかけです。そこで率先して新入部員にアドバイスを行ったのですが、私自身、指導する側の人間は誰よりも練習しないといけない、と考えているので、練習も人一倍やりました。そうした姿を同級生たちも見ていて、バスケやチームに対する情熱が一番熱いのではないか、ということで主将に選ばれたのだと思います。

主将になって、ご自身が変わったと感じたことはありますか?

以前はプレー中にミスをすると、自分が腐ってプレーに出てしまう選手でした。同期からも「腐るなよ」とよく言われて。でも主将としてそういう態度を見せると、チーム全体の士気も下がりますし、実際に負けた練習試合もあったので、その姿勢を変えたのが一番ですね。腐る時だけでなく、熱くなる時も自分で制御できなくなるタイプなので、それを止めてくれる仲間がいる、というのは心強いです。

逆に主将として仲間を支えた、というエピソードがあれば教えてください。

伝統的に毎年行っている7日間の合宿では、朝・昼・夜の3部練習を行うのですが、長く厳しい練習で、精神的にきつくなってくることもあります。そういう苦しい状況を、みんなで声がけをして、乗り越えた、ということはありました。でも私が主将として目立っているというよりは、7名の4年生が交互にその役割を果たし、まとまっているチームだと思います。

主将から見て、今のチームワークはどうですか?

(すこし間をおいて)良い、と思います。でもできれば4年生は、お互いがもっと意見を出して、強い言葉を発してほしい。そしてそれに対してのフォローができれば、さらに良いチームになっていくのではないかと思いますね。

チームメイト

3部昇格や大金星に満足していないということですか?

今、チームの目標は2部リーグ昇格なのですが、正直、危機感を感じています。一昨年はじめて3部に昇格したとき、12チーム中4位という成績が残せて喜んだのですが、逆に昨年はそれが驕りになったのか、9位に終わってしまいました。3部は、どのチームも戦力の差はあまりないと思うので、上位にもいければ、下位もあり得る。つまり、最下位になったら4部との入れ替え戦もあるわけです。常にチャレンジャー精神を忘れず、3部の中で一番気持ちの強いチームだ、と言われるようなプレーを、全員でしていきたいと思っています。

練習風景

高い目標を掲げているのですね。これから入部する新入生に、伝えたいことはありますか?

学生が中心となって行う部活なので、自分が主体的に動きたいと思う人や、現状維持ではなく、一つや二つ、三つくらい上のレベルで自分を高めていきたい、という人に向いていると思います。

籠球部は、荻野さんにとってどんな存在なのでしょう。

日常の生活の中で一番長く関わっているので、「第二の家族」といって良いと思います。そのくらい信頼は置いています。卒業しても、できればここでコーチとして後輩たちを教えたいと考えていますね。

荻野さん

数々の困難を乗り越え深まった、仲間との絆

女子部は今、どのような位置で戦っているのですか?

木下璃子さん

女子は関東大学女子バスケットボール連盟の1部〜4部リーグまである中の、3部で戦っています。2部昇格を目指し、週4回、1日3時間の練習に励んでいます。土日は試合なので、ほぼ毎日バスケをやっている感じですね。毎年7月に行われる甲南大学定期戦では優勝し、また一つ成長することができました。

今は元気にプレーされている木下さんですが、以前に大怪我をされたそうですね。

練習風景

はい、3年生の11月に練習で。プレー中に捻って、右膝の前十字靭帯を切ってしまい......。手術から復帰までに、6ヶ月くらい時間がかかってしまいました。じつは怪我をした時はそんなに大きな怪我だとは思わなくて、病院で検査をしたら最悪な状況だとわかりました。

それはショックだったでしょう。

そうですね。怪我をした時が4年生最後の秋季大会の前だったので、大会に出られなくなってしまったのはショックでした。ただ、私の姉もバスケで同じ怪我をしていたし、1学年上の主将も同じ怪我をしていたので、意外に冷静でした。先輩は「自分を信じて頑張れば大丈夫」と常に声をかけてくださいましたし、治っていく過程を見て知っていたので......。

練習風景

主将に任命されたのは、その怪我の治療中というタイミングだったのですね。

はい、プレーができなかったので、コートの外でみんなを引っ張るにはどうしたらよいかを考えました。まず、一人一人の具体的な目標を聞くために、ご飯に誘うなどして場を作り、ノートにつけて把握しました。その目標に対してどんなアドバイスが良いか、考えたりしましたね。仲間が頑張る姿を見て、とにかく自分も頑張らなきゃと、そう思っていました。

主将としてアドバイスした中で、印象に残っている出来事はありますか?

本当は技術的に高いプレーができるのに、メンタル面が弱くて、自分の実力が発揮できない、という後輩がいたんです。簡単に言えば、自信がない状態。私はその子がこれまで努力しているのを見てきたので、自分を信じて力を出せばいいんだよ、と背中を押すことをしました。ただやはり、1回の話だけでは変化が生まれなくて、その子もがんばろうとして壁にぶつかる、ということの繰り返しに。でも今年、私が4年生になって、その子とプレーできるのもラストだから、「気持ちを入れてがんばって!」と熱い想いを伝えたときに、お互いに感極まって泣いてしまって。そこからはブレずに、ちゃんと勝ちにこだわってやってくれています。そして信頼関係が築けたな、と感じた瞬間でもありました。

練習風景

長いリハビリを終えて、久しぶりにプレーできたときの気持ちは覚えていますか?

もうずっとコートの外でリハビリをしていたので、やっと戻れたときは、やはりうれしい! 楽しい! という気持ちが一番でした。私がリハビリ中も、後輩達から「自分のできることを最大限やっていて、本当に凄いと思う」と声をかけられて励みになっていたのですが、実際に復帰できたときも「よかったね!」と言ってもらえて。その一言が、今でも泣きそうなくらいうれしかったです。それに、同じ怪我をした先輩が復帰戦を見に来て喜んでくれたりと、本当にいろんな方々に支えられました。

練習風景

怪我を乗り越えたことで、チームとしての絆も深まったのですね。

他にもいろんなことがありました。すごく辛かった時期も......。でもそれらを乗り越えたからこそ、今の仲間たちがすごく大好きで、信頼関係もより強くなりました。

今のチームの手応えとしてはどうですか?

女子部はメンバーが少ないのですが、そのぶん練習時間がたくさん取れると、ポジティブに考えています。去年に比べて走り込みやフィジカル強化をやって、当たりにも強くなったと感じています。通用するのではないか、チャレンジできるのではないか、という思いを強くしています。

メンバー集合写真

最後に、新入生にメッセージをお願いします。

木下璃子さん

大学ではもちろん勉強が最も大切ですが、団体組織の中で得られる人間関係もまた良いものです。バスケの好きな方はぜひ籠球部に入ってほしいですが、籠球部に限らず、組織に所属して、4年間で大切な何かを見つけてほしいな、と思います。