院生インタビュー 詳細

第一線で活躍する教授陣と自由度の高い研究環境で
CSRの実証研究を深めたい

博士後期課程修了生
遠藤 業鏡 Kazumi Endo
プロフィール
大学卒業後、政策金融機関に就職。2005年、社費による大学院派遣で修士号を取得。2016年4月学習院大学大学院入学、2020年博士号を取得。現在は私立大学の教授として学生の指導に当たる。

取材:2023年1月17日

このインタビューはスタディサプリに掲載された記事を再構成したものです。
身分・所属についてはインタビュー日における情報を記事に反映しています。

企業の社会的責任の実証研究と博士号取得のため大学院へ進学

「政策金融機関で融資、調査・研究などの業務に携わる中で関心を持ったテーマが『CSR(企業の社会的責任)』です。当時は日本におけるCSRの実証研究が少なかった時期。専門性を深めながら研究に従事できる環境を求めて学習院の門を叩きました」

そう語る修了生の遠藤さんは、政策金融機関在職中に社費で大学院に派遣された経歴の持ち主だ。数ある大学院の中から同研究科を選んだ理由について、日本の無形資産研究の第一人者である宮川教授に師事できることが大きかったという。

「CSRと無形資産の研究は親和性が高いと感じていたんです。仕事と研究の両立を考えていた私にとって、アクセスの良さも決め手でした」

自由度の高い研究を実践できる少人数制の学修・研究環境

JR山手線の目白駅を降りると、すぐに広がる自然豊かなキャンパス。時間的な制約の大きい社会人学生にとって、アクセスの良さを進学理由のひとつに挙げる方は非常に多い。それと同じくらい理由に挙がるのが、少人数制の学修・研究環境だ。

「手厚い指導体制のもと、自由度の高い研究を進められました。先生方から懇切丁寧なアドバイスを数多くいただけたので、研究をさらに深めることができましたね。仕事と研究を両立しながら書き上げた博士論文をもとに研究成果をまとめた書籍も公刊。現在は銀行を退職し、都内の私立大学で教鞭を執っています」

高度な専門性と手厚い指導、そして継続しやすい研究環境。これらが全て合わさり、効率よくキャリアを飛躍させることに成功した遠藤さん。その研究意欲は、とどまるところを知らない。
「今後はジェンダーなど新たな切り口を付加して実証分析の数を増やしながら、日本のCSRに関する研究を続けていきたいと考えています」

役立ったおすすめの科目

これから大学院で学ぼうと思う方に向けて、遠藤さんがおすすめしたい科目について尋ねてみた。

『経済成長論特殊研究』
「経済成長にとって重要な概念のひとつ「生産性」の議論を踏まえ、マクロ経済、産業レベル、企業レベルの実証分析を学修。多彩な生産性の概念を学べ、生産性の問題が日本経済に与える影響に関する理解も深まりました」

『景気循環論特殊研究』
「ミクロデータを用いた生産性に関する実証分析の手法を具体的に学修できた科目です。生産関数推計に関する輪読を行い、研究動向やさまざまな分析手法を体系的に把握。その分析方法を研究活動にも応用できました」

『経済成長論演習』
「経済成長を牽引する要素として注目されている「無形資産投資」に着目し、その概念と経済的影響を理解できた科目。関連する書籍や論文を通して国内外の最新の研究に触れられ、博士論文の作成にも役立ちました」

経済的な負担軽減のため、学習院独自の奨学金を活用

大学院でいざ学ぼうと考えたとき、どうしても頭をよぎるのが研究経費の問題である。学生の経済支援を重視する学習院からは、独自の奨学金制度という形で背中を押してもらったという。

「研究図書や学会の出張費用に充当できる「院生特別研究費」など経済的な負担を軽減できる制度を活用しました。学習院独自の推薦制による奨学金をいただけたことは、その後のモチベーション向上にもつながりました」

社会人大学院生時代の一週間のスケジュール

仕事と研究を両立させる生活とは、実際どのような毎日なのだろうか。これから大学院進学を考える方への助言を含めて、遠藤さんが大学院生だった頃の一週間を振り返ってもらった。

月曜日
「博士課程3年目からは地方の国立大学へ客員准教授として出向。週2~3日ほど授業を担当していました。授業のない日は授業準備のほか、博士論文の研究を進めていました」

火曜日
「大学で授業を担当。知識のアウトプットを重視する博士課程の授業は論文指導が中心です。3年目には単位修得も終えており、指導教員とのやり取りはメールで行えたため、通学できない状況でも不安はありませんでした」

水曜日
「大学で授業を担当。3年で博士論文を仕上げる予定でしたが、教壇に立つこととなり、論文完成を1年遅らせることにしました。想定した年数で博士号を取得できる環境も考えた大学院選びが、社会人には必要だと思います」

木曜日
「大学の授業の準備。指導教員である宮川教授は、経済産業政策に関する研究所でも活躍している先生です。研究会に参加させてもらい、多くの研究者の方々と知り合えたことは貴重な財産となりました」

金曜日
「大学で授業を担当。博士課程3年目と4年目に書いた論文が国際的な学術雑誌に掲載(アクセプト)されました。在学中に査読付き論文2本を書き上げたことが博士号取得として結実したと思います」

土曜日
「博士論文の作成。博士課程1・2年目は週1回論文指導がありましたが、3・4年目は進捗状況や相談事項を教授とメールでやり取りし、対面指導は半年に一度ほど。院生の事情に合わせた対応も少人数制のメリットです」

日曜日
「博士論文の作成。同じ時期に博士課程に在籍していた先輩が在学中に新書を公刊されたことは、とても刺激になりました。切磋琢磨できる環境も研究を深めてくれたと思っています」

一つ一つの行動に明確な目的意識を持ち、あらゆる刺激をモチベーションに変えて研究を継続させた遠藤さん。成し遂げたことへの自信と、同じ志を持つ研究者との出会いが、かけがえのない財産となった。大学院生時代に得たこれらの価値が、遠藤さんのキャリアをゆるぎなく、支え続けている。


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記事に反映しています。

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