教員紹介

河合 亜矢子教授

Ayako Kawai

研究分野
経営情報システム、オペレーションズマネジメント、サプライチェーンマネジメント

自己紹介

サプライチェーン・マネジメント(以下、SCM)を主な研究テーマとしています。研究の目指すところは、生産計画と統制のための情報システムを企業間で効果的に統合するためのSCM原理を明らかにすることです。SCMに関する数理分析研究は、その複雑さ故に、極端に単純化されたモデルを用いて論じられる事が多いのですが、こうしたモデルでは表現できる情報量が限られるため、得られる情報も実践適用にはほど遠い観念的ものとなってしまいがちです。ところが、現代のSCMにとって情報システムは欠かす事のできない重要な要素であるだけでなく、研究においても情報システムによるフィードバックを含むモデルと、それが簡略化されたモデルでは、プロセスの挙動やパフォーマンスに極めて大きな違いがあることが分かっています。したがって、計画情報の流れとモノの流れの相互作用に着目したSCMモデルを数理的に分析し、変化への柔軟性が高く、持続可能なSCM原理を追求することが必要だと考えています。社会の喫緊の課題である、つながる工場、工場のスマート化を始めとする情報通信技術を用いた産業のネットワーク化・高度化には不可欠であるという使命感を持って、研究しています。

メッセージ

目の前に泡のように現れる庶務をこなしながら毎日を忙しく暮らすうちに、1日、また1日と年月だけが通り過ぎて行きます。自分の強みとなる知識を身に付けたいという想いはあっても、なかなかその時間をとることができない人も多いのではないでしょうか。大学院は、キャリアアップのための通り道であるだけでなく、一度立ち止まって、自分のための時間を贅沢にとるための場でもあります。私にとっても、大学院時代は素晴らしい宝物です。日常から離れ、思い切り抽象的なことを考えたり、仲間と訳の分からない本を読みながら時間を忘れて議論したり。役に立つのか立たないのか分からないことに夢中で取り組むのですが、それが確かに、キャリアや人格形成の貴重な礎になります。答えどころか、問題すら明確に見えない。大学院ではそういう苦境を乗り越えなければなりません。確かに苦しいことではありますが、現実社会も実はその繰り返しですよね。大学院では、現実社会の問題状況から、解こうとする部分を概念世界に切り出して、構造を正して現実社会に戻す、という、ものの見方、アプローチ方法について、トレーニングを多いに積んでほしいと思います。

最近の研究テーマ

サプライチェーンプロセスの最適設計

研究室

研究室では、オペレーションズマネジメント、サプライチェーンマネジメントの基礎的な知識を身につけるため、関連の論文や外国語書籍の輪読をします。ひとつひとつ、丁寧に確認し合いながら知識を定着させるとともに、つい専門的な言葉を使ってしまいがちな場面でも、分かりやすい伝え方ができるよう、伝え方のトレーニングも並行して行うようにしています。
 また、現在大学院生が取り組んでいるテーマは、サプライチェーンマネジメントにおける組織間協働戦略に関する研究です。組織間でどのような知識・情報を共有し、チェーン全体でどういったポリシーを持って発注行動をとることによって、サプライチェーンを最適化することができるか。これを、ゲーミングシミュレーションと、コンピューターシミュレーションとの併用によって明らかにすることを狙っています。サプライチェーン研究は歴史としては長く、これまでにも膨大な素晴らしい研究の蓄積があります。その一方で、問題の大きさから、まだまだ明らかにすべきことも山積みです。取り組み甲斐のある、刺激的な分野ですので、院生と強力なタッグを組んで挑戦していきたいと思っています。