教員紹介

白田 由香利教授

Yukari Shirota

研究分野
Webデータの可視化、ソーシャルメディア解析、経営数学の視覚的教授法

メッセージ

大学院の講義では、ブラック=ショールズ方程式のデリバティブ理論、マーコビッツらの平均・分散理論などの数学を、可視化教材によって、教えています。(内容は、学部のほうの教員紹介を参照してください)簡単な内容の数学を可視化教材によって分かるのでは可視化教材の効果とは言えません。理解不能な複雑な関係を、可視化によって理解可能とする、ところに意味があります。
「今まで、英語日本語両方のファイナンスの書籍を何冊も買ってはみたが、理解できなかったが、白田の講義でブラック=ショールズ方程式の意味が、始めて理解できた」と言ってくれる社会人学生のかたもいらっしゃいます。院生にならずとも、1科目のみ科目等履修することが可能ですので、ぜひ、経済学部共同研究室等に問い合わせて下さい。

最近の研究テーマ

(1)Webデータの可視化
(2)ソーシャルメディア解析
(3)経営数学の視覚的教授法

(1)は、web上の経済指標データを集めて、ハイチャートのような対話的グラフで可視化し、多変数解析手法(主成分分析等)で分析をし、その結果を再び可視化する、という手法等を取ります。例えば、「震災後の東北経済復興を牽引する需要-株価上昇企業のwebマイニングによる分析-」という分析などを行いました。

(2)は、テキストマイニングの手法を用いた研究です。

MeCab等の日本語形態素解析手法を用いて、webのソーシャルメディア上の書き込みの日本語文章を解析します。例えば、以下がこの研究の成果論文です。

●橋本隆子、久保山哲二、白田由香利:「ソーシャルメディアを対象としたマーケティング解析 -時事問題をきっかけとした想定外の消費行動抽出-」、学習院大学経済論集, Vol.47, No.4, 2012年1月,pp.263-280.

このテーマでの研究は、日本語SNSだけでなく、タイのSNSも対象としています。タイ・チェラルンコン大学のSupavadee Aramvith 准教授、Teeranoot Chauksuvanit 教授の協力のもと、東日本大震災を対象とし、SNSにおけるタイランドと日本における反応の違いをWebテキストマイニングの技術を適用して比較し、文化的な考察を行うという研究です。例えば、สึนามิ มีนาคม 2554 というフレーズは、「2011年3月の津波」のことです。2012年度は、
1)対象とするタイランドSNS の調査(www.sanook.com、www.kapook.com等)、
2)タイ語の言語解析技術の調査、
3)タイ言語処理技術SWASHの試用(SNSへの適用)、
等を行いました。
2017年度は、村上春樹が世界でどう読まれているかについて、日本、タイ、インドネシア、アメリカ、イギリスなどの読者レビューの比較を行いました。

(3)経営数学の視覚的教授法

可視化教材データベースを構築しています。
可視化は、以下の3種類の可視化を扱っています。

(A)数式の3次元グラフィクスやアニメーションによる可視化
(B)一つの数学文章題(証明問題ではない代数学的解を求めるタイプ)を解く際の演繹推論過程の可視化
(C)数学公式間の関係のE-Rダイヤグラムによる可視化

研究成果は、(A)に関しては、eBook「感じて理解する数学入門」をオライリージャパンから出版(2012)。動くグラフィクス電子書籍を実現しました。(B)に関しては、学習院2012年度戦略枠システムweb:VisualEconoMathで実現し、数学講義で演繹推論を教える際に学習支援システムとして使っています。以下の論文も(B)に関するものです。

●白田由香利、橋本隆子、“経営数学問題解法のための演繹推論支援教材作成ツール”、 學習院大學經濟論集, vol. 48, no. 4, pp. 303-311, 2011.

常に言っていることは、「可視化によって、数学がわかりやすくなります」。「数学は解法暗記科目ではなく、推論力を高めるための科目です」この指針の下、各種の教材、及び学習支援システムを構築しています。

研究室

進学希望者に望むスキルは、ITスキルと、多変数解析手法で使う数学の理解です。例えば、数学ソフトウェアで、各種の確率密度関数を入れ替えて、3次グラフィクスのプログラムが組めて、時系列変化をスライダーによって動かしてプレゼンできるような能力です。
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