AI手法による企業分析
公益社団法人私立大学情報教育協会サイバー・キャンパス・コンソーシアム数学グループ運営委員会委員、日本経営数学会 常任理事(2021-2022)、オペレーションズ・マネジメント&ストラテジー学会 広報/WEB 委員、IJIRM(International Journal of Institutional Research and Management) associate editor
経営学において数学は重要です。数学の楽しさを伝えるため、講義では「役に立つ数学」を実践しています。又数学が苦手な人でも一目で経営数学を理解できるよう、コンピュータによる数学の可視化(ビジュアライゼーション)という方法で伝えています。経営数学1では、需要予測のための数学をメインテーマに、各種数学手法を教えています。経営数学2は金融数学です。世の中で、特にお金の計算で役に立つ、外貨両替、外貨預金、住宅ローン、リボ払い、外国債券のプライシングなどを教えています。ファイナンス関連のことはその数学を学ぶことで深く理解できます。また、社会にでたときに、その数学を知っていることが力となります。経営科学応用1では、需要予測を確率を用いて行います。何個仕入れるべきか決めるために、売れる数を予測します。また、味の好みに男女差があるか否かなど、経営問題における統計的仮説検定を教えています。ゼミ演習では、企業情報分析を、機械学習の手法で行います。2024年度のゼミでは、世界TOPのコンピュータ製造業の時価総額成長における重要な要素を機械学習による回帰分析などにより分析しました。希望者(ほぼ全員)はこの成果を学会発表もしました。2025年度も機械学習を用いた企業情報分析を行います。数学の細かい部分に引っ掛かり先に進めなくなることのないように、教師として全体のフレームを理解させることに注力し、データ分析の面白さを伝えていきたいです。
ゼミ、大学院のデータ分析の講義などで「パイソン・データサイエンス」として、株価分析を対象に、パイソンプログラミングを教えています。前半は、リターン値、マーコウィッツの散布図、ベータ値などの計算で、後半はAI回帰、クラスタリングなどを行います。実践的なので興味がもてるようで、受講者は熱意をもって勉強してくれています。
世界の自動車製造業の企業分析を機械学習の手法で分析しています。現在、インドの自動車メーカーに興味があり、インドの研究者と共同研究を行っています。研究成果詳細は科研B報告:機械学習による企業行動構造の分析の研究を参照してください。Shapley値及びSHAP値は、AI分析手法による回帰分析結果の説明可能性を高める手法として広く普及しています。我々はSHAPによって企業のパフォーマンス評価を行っています。2022年8月に行われた国際会議P&OM (Production and Operations Management)では、自動車製造業の分析で、栄誉あるDecisions Sciences Institute (DSI) 最優秀論文賞を受賞しました(https://jomsa.org/worldpom/conferenceawards/)。
SHAPを研究で使うと同時に、国内学会や国際会議などでSHAPの分析の普及のため、チュートリアル講演を行っています(インドネシア大2024、IIAI2023, JOMSA等)。自分の研究では、企業分析にSHAPを用いる他、インド及びインドネシアのSDGsの達成度の比較分析もこのSHAP手法を用いています。2024年8月には、SDGsの共同研究の結果のワークショップを開催しました。2023年にはインドで同様のワークショップを開きました。
生成AIの普及により、私たちの生活はますます便利になりました。
AIアシスタントに計算などの作業を任せることで効率は向上しますが、AIを使いこなし、その結果を理解するためには、機械学習の基本的なフレームワークを理解することが不可欠です。例えば、AIを活用して利用可能な資産の全組み合わせを評価し、最適なポートフォリオを計算することは可能です。しかし、何が「自分にとって」最適であるかを判断し、明確な指示を出せるのは、最終的にはあなた自身です。そのため、コンピュータの本質を理解する一環として、Pythonを使ったデータサイエンスの学習は非常に重要です。特に、経営学科の学生にとって関心が高い「株価データ」を教材に、実践的なコースを展開していきます。ぜひこのコースを履修し、AIを活用する目的を経営的な視点から問い続けながら、経営科学の探究を深めてください。