卒業生の声

自動車メーカーの海外営業の仕事がしたい。自分で決めた明確な目標を叶えるために選んだ生き方

子供の頃から乗り物が大好きで、スクールバスの中から車やバイクを眺めて、いろんな車種を覚えていくうちに、将来は自動車メーカーで働きたいと漠然と思った。さらに高校時代のニュージーランドのホームステイ、ベトナム修学旅行、大学での10ヶ月のタイの交換留学を経て、海外を飛び回る仕事がしたいと心に決めた。大畠悠太郎さんは、“自動車メーカーの海外営業”という明確な目標を叶えるために、なぜ国際社会科学部に入り、どんな4年間を過ごしたのか。

自動車メーカーの海外営業の仕事がしたい。自分で決めた明確な目標を叶えるために選んだ生き方
大畠 悠太郎

2016年に国際社会科学部入学。
2020年国際社会科学部国際社会科学科卒業。

1997年東京都生まれ。2017年8月~18年6月、タイ・アサンプション大学に留学。末廣昭教授*ゼミ(アジア地域研究)で学び、2020年にスズキ株式会社入社。部品管理部海外部品販売グループに勤務。
*2021年3月退職。現在は後任として久保教授がアジア地域研究の講義・ゼミを担当。

自動車メーカーの海外営業の仕事がしたい。自分で決めた明確な目標を叶えるために選んだ生き方

自分の将来の夢は子供の頃に育まれた

父とよく鉄道で旅行に行ったりしていて、幼い頃から乗り物が大好きでした。車やバイクが好きになったのは中学生ぐらいから。八王子にある中高一貫校に通っていたのですが、スクールバスの中から車やバイクを眺めて、「あの車かっこいいな」とか、「あのバイクの車種はなんだろう」とか、見て調べるのが好きだったんです。高校生の時には漠然と自動車メーカーに入りたいという思いを抱いていました。

実は高校に入学するぐらいまで、英語がすごく苦手でした。しかし高校1年生の時に3週間ほどニュージーランドの南島のクライストチャーチという町にホームスティに行ったことで変わりました。ホストファミリーがすごくよくしてくれて。英語は全然話せなかったのですが、私の拙い英語に合わせてくれて、散歩に行ったりスーパーに買い物に行ったり、毎日コミュニケーションを取ってくれたのがすごく楽しかったんです。それから英語の勉強に力を入れるようになって、英語がどんどん好きになって、高校3年生の時には英語が一番得意な科目になっていました。

国際社会科学部を選んだ理由は2つあって、1つは大学時代にもう一度、今度はちゃんと長期留学して英語をもっと上達させたかったこと。もう1つはそれでも4年で卒業できることでした。英語を上達させたかった理由は、自動車メーカーに就職して、海外の人と関わる仕事をしたいと思っていたからです。4年で卒業するというのは父との約束でした。その条件で大学を探していたところ、学習院大学の国際社会科学部を見つけたんです。新しくできる学部でまず英語を徹底的に学んで、2年目からは英語でほとんどの授業を受ける。つまり否が応でも英語は絶対に自分のものになるはず。そして留学は全員必修で、留学先の大学で単位が取れるということなので、こんなに自分にぴったりな学部はないと思いました。

国際社会科学部には無事入学できたものの、授業についていくのは本当に大変でした。英語が得意科目になっていたと言っても、リーディングとライティングができるようになっていただけなので、大学1年生の最初の頃は、ネイティブの先生方が何を言っているのかがわからなかったんです。授業の最後に先生が出した課題がよくわからず、周囲のクラスメートに聞いてもみんなわかっていなくて、先生に聞きにいったり、推測で課題をやるということもよくありました。

東南アジアの社会に身を置くためタイの大学へ

留学は大学2年の夏から10ヶ月間、交換留学プログラムでタイのアサンプション大学に行きました。タイを選んだ理由は、高校の修学旅行でベトナムに行ったことに加え、大学1年生の時にタイ研究の第一人者である末廣昭教授(2021年3月退職)の授業が面白くて、東南アジアに興味を持っていたからです。末廣先生は、「地域社会を理解するには、現場に入ってローカルな視点に身を置かなければいけない」ということをおっしゃっていました。そのためこの留学には生きた英語を身につけるとともに、東南アジアの社会を理解したいという思いがありました。

英会話はその時点ではまだ未熟だったのですが、寮で仲良くなったタイ人のルームメイトがとても上手で、彼と話をしているうちにだんだんとスピーキングとリスニングのレベルが上達していきました。その大学は留学生がたくさんいて、中国やネパール、ラオス、ミャンマー、ブルキナファソなど、あちこちから来た人たちと一緒に英語を上達させていきました。

授業では経済学と経営学を学びました。経済学ではタイの日本車を事例に研究発表をしたり、経営学ではバンコクの中心街にあるデパートがどう発展したかといった事例を学びました。私がタイでとても衝撃を受けたのは、街中を走る車のほとんどにトヨタやホンダ、スズキのマークがついていたこと。街中にある整備工場にも日本の自動車メーカーのマークのついた看板がついているんです。日本のクルマが海外の人の足になって、生活に役立っている姿を目の当たりにして、自動車メーカーに勤めたいという気持ちがより強くなっていきました。

帰国後、アジア地域研究のゼミに入り、タイの観光業をテーマに卒論を書きました。東南アジアは多様性がすごく魅力的なんですよね。どの国も文化が違うし、母国語も違う、料理も違う、歴史的背景も違う。バラバラの個性がある国々、人々がごちゃ混ぜになっている中に中華系の人、日本人、欧米人が入ってきて、さらにメーカー、商社、金融、いろんなセクターの人が入って、さまざまなビジネスを作り上げているところがすごく面白いんです。

憧れの自動車メーカーに入社し海外営業に配属

就職活動は日本の自動車メーカーを全て受けました。スズキに入社したのはご縁をいただけたからですが、私はそもそもKATANAやマイティーボーイ、ジムニーなど、スズキの旧車・バイクが大好きなんです。また就職したら東京圏以外の地域に住みたいという思いもあり、静岡県浜松市に本社があるスズキの志望度はとても高かったので本当に幸いでした。入社後は絶対に海外に携わる仕事がしたかったのと、新興国に興味があったので「新興国に携わる部署に配属させてください」と志願しました。

入社後は志望通り部品管理部海外部品販売グループに配属され、車の補修部品を世界中に販売する仕事をしています。入社と同時に新型コロナウイルスが蔓延し、ほぼ2年間は海外に行くことはできませんでしたが、海外出張が解禁されるといち早く、オセアニアや東南アジアに出張し現地市場をリサーチしたり、販売店を回ることが出来ました。2023年の4月から8月には社内研修でインドに滞在していました。今、メールやテレビ会議では見えなかった世界がどんどん見えてきています。末廣先生が地域研究の講義でおっしゃっていた、"現地に入り込むことで初めてその社会を理解出来る"ということをつくづく実感しています。

海外代理店とのコミュニケーションは苦労していますが、やりがいがあります。市場の情報把握や社内調整等を密接に行う必要があり、文化も考え方も異なる人達と日々連絡をしながら業務にあたっています。それぞれの国でコミュニケーションやビジネスの仕方、いろんなものが全く違って、いろんな国の人と一緒にビジネスをしていくというのはとても面白いです。

アジアの国々は今すごく人口が増えていて、日本に比べて若い人たちが圧倒的に多いんです。私とそんなに年齢の変わらない人がビジネスをガンガン動かしていて、すごいエネルギーを感じますね。

特に、日本の10倍以上の人口がいるインドは熱量がものすごいですね。1981年にインドの国営会社との合弁会社マルチウドヨグを設立し、現地で製造販売の一環体制を作ったスズキはインドで自動車のシェアでトップを走り続けています。マルチスズキはインドの国民車みたいなものなんです。今、その市場を狙って韓国のヒュンダイ、インドのタタ・モータース、中国のBYD、他日系メーカーが入り込んで熾烈な争いをしています。社内研修ではマルチがどうシェアを拡大していくかというのを日々真剣に議論している様子を伺うことが出来ました。会話はもちろん全て英語ですね。

いろんな個性を持った仲間に出会い、ともに成長できた

英語力だけじゃない、いろんなものを培ったこの学部にすごく感謝しています。大学時代、授業では仲間とお互い助け合い、励まし合いながら授業に臨んでいました。英語だけでなくさまざまな授業でグループワークをしたり、グループでプレゼンテーションをしたりすることも多かったので。個性が強い人が多い学部なので、本当に多彩な個性を知ることができましたね。

国際社会科学部は"よく遊んで、よく学びたい"人に向いているんじゃないかと思います。さまざまな分野の先生がいて、多様な授業があって、広く社会の仕組みを学ぶことができるし、海外研修では現地で自分の身をもって体験し、リアルな知見を得ることができる。それらは将来、大きな決断をするときに大切な自分の軸を作ってくれると思います。

※所属・仕事内容など掲載内容は取材当時のものです。

4年間の流れ

1年次

一限からアカデミックな英語を学び午後は経済学や地域研究の基礎を学んだ。夜まで課題をすることが多かった。

2年次

基礎演習で出会った教授の授業アジア経済学を受講。より地域研究に力を入れていく。前期終了後に留学へ。

3年次

現地では経営学・経済学を中心に受講、現地経済の知見を得て帰国。後期はゼミや経営・経済学を中心に学ぶ。

4年次

就職活動と卒論に勤しむ。卒論はタイの観光業がテーマ。アジア新興国でイニシアチブを持つスズキへ入社。