海外研修

海外研修レポート(リトアニア・Vilnius University)

海外研修レポート(リトアニア・Vilnius University)
戸川 凜香さん
  • 研修期間:長期(2学期間)/2022年8月31日~2023年6月30日
  • 研修種類:学部授業履修
  • 留学先国名:リトアニア
  • 留学先:Vilnius University

Q.どこへ行きましたか?研修先および宿泊先について少し教えてください。

リトアニアの首都であるヴィリニュスで海外研修を行いました。宿泊は寮です。アパートやシェアハウスの方がきれいな部屋で広々としていますが、寮の魅力は価格です。1カ月、ダブルルームは約14000円、トリプルルームなら約9000円です。日本では考えられない価格です。その分、きれいではないですし、プライベートな空間はほぼありません。しかし、1年間と限られた期間ですし、多国籍の学生と寝食を共にできるのは人生でそうありません。私は絶好の機会だと思い、迷わず寮生活に決めました。きれい好きの方や自分の時間をしっかり確保したいという学生は難しいと思いますし、実際に退寮した学生も多くいました。それでも、寮生活を通して、バックグランドが異なる学生と自国の料理を作ったり、毎日1日の出来事をシェアしたりした時間は私にとって特別でした。

【写真】オールドタウンキャンパスの風景・学食スペースはとってもおしゃれ!

Q.リトアニアを海外研修先に選んだ理由を教えてください。

理由は2つあります。

1つめは異国の地での生活を経験したかったからです。リトアニアは私にとって馴染みのない国であり、渡航前はどんな生活が待っているのか、どのような国民性を持っているのか、未知の世界でした。だからこそ先入観がなく、すべての経験や出会いが学びだと思い、渡航できました。

2つめは歴史や地政学を学びたかったからです。リトアニアは複雑な歴史を持っています。他のヨーロッパとの関係性や苦い記憶であるロシアとの国交について興味がありました。さらに、現在のウクライナ戦争により、移民を多数受け入れています。地理的背景がどのように政治や情勢に影響を与えているのか、この目で確かめたく、留学を決めました。

Q.授業や授業後の経験で、一番楽しかったことはなんですか?

グループ活動の努力が評価された時です。
授業に関して、経営や異文化コミュニケーションについて学んでいました。ディスカッションやプレゼンテーション、他大学との交流活動などが多かったです。毎週グループで集まり、パワポを仕上げ、プレゼンの練習に追われていました。しかし、その経験がスピーキング能力の向上だけでなく、協調性なども身につけられたと思います。

1学期時間割

2学期時間割

Q.週末はどのように過ごしましたか?リトアニアの祝祭やフェスティバルに参加する機会はありましたか?

週末は寮の友達やクラスメイトと外食をしたり、イベントに参加したりしていました。カジューカス祭りといった伝統的なお祭りがあり、世界中のバイヤーが来国し、伝統工芸品などが売られています。手作りのマフラーや天然素材を使用した家具、個性的な絵画など、お土産にぴったりなものがたくさん売られています。
さらに、3連休や長期休みなどはヨーロッパ旅行をしていました。リトアニアは物価が他国と比べて安いですし、格安航空を使って34時間で移動できます。私は、23カ国旅行してきました。

【写真】市内中心の大聖堂前の豪華なクリスマスツリー

Q.海外研修期間で、外国語コミュニケーションに関して学んだ最も重要なことは何ですか?

コミュニケーションに関して、人を惹きつける話し方があることを学びました。流暢でネイティブに近い発音で話すことではありません。たとえ、完全文で話すことができなくても、単語を繋ぎ合わせ、ジェスチャーを用いて熱意を表現することで人は惹きつけられます。私は英語力が拙かったですが、諦めず伝わらなくても伝わるまで話す努力をしました。その努力は相手に伝わり、交友関係を広げることができたと思います。

【写真】 授業後の至福の時間

Q. 困ったこと、あるいは難しかったことがありましたか?行く前に準備しておけばよかったことがありましたか?

寮生活で困難に直面することはありました。食文化も生活習慣もまるで違うルームメイトと共に過ごすため、意見の相違も多々ありました。私のルームメイトはモロッコ人でイスラム教徒であったので毎日礼拝をし、断食の時期もありました。礼拝をしている時は音を立てない、断食中はルームメイトの前では食事をしないなど、気遣いを心がけました。異文化を持つ学生との共同生活は相手への敬意と思いやりが全てだと思います。苦労はある反面、お互いが生活を尊重し合い、共同生活ができたことは貴重な思い出です。
準備しておくべきことは英語力も大切ですが、相手を思いやる気持ちだと思います。

Q.日本とホスト国の「国際的」な違いとして気づいたことはありますか?

日本とリトアニア間での違いは多々ありますが一番感じたことは、歴史が人々の生活に大きく影響している点です。リトアニアはかつてソ連の占領下だったので、ロシアに対する姿勢はとても冷酷に感じました。その一方で、ソ連の建物が残っていたり、ロシア語が飛び交っていたり文化の継承も見受けられ、とても複雑でした。忘れられない過去と現在起きているウクライナ戦争とが混ざり合い、緊迫した雰囲気を感じることもありました。
もう一つは世界に目を向けている人が圧倒的に多いことです。日本人でリトアニアに関して精通している人は少ないと思いますが、リトアニア人は日本について詳しい人が多くいました。日本だけでなく、他のアジアやアフリカなど他国に興味を持ち、言語などを学んでいます。私はその行動に刺激を受け、改めて日本を超えて世界各国の情勢や文化について教養を広げたいと思いました。

Q.社会における多様性について、気がついたことがありますか?

一つの国の中でも様々な宗教や歴史観を持った人々が暮らしていることに気づかされました。また、お互いの当たり前が違うからこそ、とにかく話し合いや意見交換が大切だと痛感しました。私は、"日本人だったら"や"日本なら〇〇なのに"といった思いは消しました。そこは日本ではないので、日本を基準に物事を考えることは間違っていると思ったからです。多様性があり、価値観が様々であるからこそ、議論し、相手の想いを引き出し、行動することが必要だと感じました。

Q.海外研修の体験をどのようにこれから活かすつもりですか?

私のキャリアと結び付けると、国際感覚や異文化コミュニケーションの学びを活かし、海外進出に力を入れている企業に貢献したいと思います。
それだけでなく、リトアニア留学の魅力をさらに伝えていきたいです。馴染みのない国に留学をすることにためらいがある学生や行きたい国は決まっていないが留学に意欲がある学生に、私の学びを広めていきたいです。

Q.次の参加者へのアドバイスはありますか?

留学で必要なことは主体性です。自ら行動することではじめて、情報が手に入り、学びが深まり、交友関係を広げることができます。留学前は英語力に時間を割くと思います。それ以上に、渡航前は「何があっても自分から行動するといった覚悟」を準備して臨んでみてください。

【写真】国技はバスケットボール!・迫力満点のキリスト像