卒業生の声

学外で学んだプログラミングと、大学で得た"データ分析の知識"と"英語を使うスキル"が、未知のキャリアを切り開いた

浪人時代に切り替えた人生の目標。高校時代の2週間の海外生活の楽しさが忘れられず、大学ではデータ分析の知識と生きた英語を身につけ、自分らしい生き方を見つけようと舵を切った大橋紗姫さん。世界の共通言語は、英語とプログラミング言語だということに気づき、その両方の学びを深めていきました。その目の前に、全く知らなかったQAという仕事への道が開かれました。

学外で学んだプログラミングと、大学で得た
大橋 紗姫

2016年に国際社会科学部入学。
2020年国際社会科学部国際社会科学科卒業。

1996年、アメリカ・マサチューセッツ州生まれ。2歳半までアメリカで育つ。2017年2月~3月、カナダ・トロント大学に短期留学。2017年8月~12月、ハワイ大学ヒロ校に留学。心理学、天文学、経済学、データ分析等を学ぶ。乾友彦教授(経済学)のゼミで卒論執筆。2020年4月、バルテス株式会社入社を経て、2022年LINE株式会社(現在はLINEヤフー株式会社)入社。現在、LINE GAME の Quality Assurance (以下QA)チームを統括するQAプロジェクトマネージャーを務める。

学外で学んだプログラミングと、大学で得た

突然のオファーから知ったQAという仕事

就職活動をしていた時はいくつかのサービスを使っていたのですが、その中で、私が登録しているプロフィールを見て企業側からオファーをいただけるサイトがあって、QA(クオリティアシュアランス)専門のバルテスという会社からオファーをいただいたんです。その時初めてQAという言葉を知って、なんだろうと興味を持ちました。

QAは簡単に言えばソフトウェアの品質保証です。銀行のシステムや電話のシステムが数時間シャットダウンすると大パニックになりますよね。そんな事態が起きないように、新たに開発したシステムやサービスを公開する前に、仮想環境の中で、ありとあらゆる動作を行って検証を行い、バグがないかチェックするんです。バグが見つかれば開発部門にフィードバックして直してもらい、またチェックする。そうしてシステムにある問題をなるべく減らし、品質を保証するのがQAの仕事です。

入社後、私はクライアントである大手IT企業の開発部門に常駐し、先方の開発部隊と大阪にある本社の検証部隊との間を取り持つブリッジエンジニアという役割をしていました。クライアントの開発チームは多国籍で、日本人よりも外国人の方が多く、現場の会話はほとんど英語。バルテスには当時英語が得意な人があまりいなかったため、私は通訳の役割を担っていた面もありました。新入社員なのに進捗管理をするような立場になり、もちろん大変でしたが、それがすごく私にとってプラスでした。ビジネス英語がメキメキと伸びていったのです。それまでは専門的な会話は少しできる程度だったものが、海外の開発の現場でも働けるぐらいの自信がついたことはとても大きかったですね。


その後、LINEに転職しました。転職理由は2つあって、1つ目はキャリアアップにつながること。LINEはLINE GAME のQAプロジェクトマネージャーを募集していたので、採用されれば前職での私よりもう一つ上のレイヤーの仕事ができることになります。2つ目は少し専門的ですが、LINEがアプリ利用者の利用履歴などのログを分析するデータQAを募集していたこと。大学時代にデータ分析を専攻していたことや、前職の仕事の中でQAプロジェクトの管理業務に興味を持ち、経験を積める会社を探していた私にとっては願ってもない仕事だったんです。実際に入社後はプロジェクトの進捗管理をするチームの中で、アプリが収集したデータの加工・分析を目的とするデータQAという分野をメインで担当しています。プログラミングの知識があると業務が捗る場面が多く、またサーバーやDB(データベース)などの知識が必要になることもあるので、毎日勉強の日々です。数ヶ月前に勉強した内容が思わぬ場面で役に立つこともあり、楽しみながら現在も勉強を続けています。昨年ヤフーと合併して、また個性の違う人たちと一緒になったので、これからどうなっていくのか楽しみです。

新たに芽生えた思いから選んだ国際社会科学部

もともとは、医師である父の影響もあって医者になりたいと思っていました。医学部を目指していましたが、現役の時は不合格で、浪人しているときに医学部志望をやめました。2歳半まで育ったアメリカで日本語よりも先に覚え、そこから勉強し続けた英語をもっと使えるようになりたいという思いの方が強くなってしまい、次第に医者を目指す熱意が減ってしまったんです。

そうして進路について悩んでいた時、塾の先生から英語で授業をする国際系の学部を受けてみてはどうかと勧められました。そして学習院の国際社会科学部を受験し、合格したので入学したというのが流れです。社会科学が何かというのはわかっていなかったんですが、留学が必須というのが魅力的でした。高1の時に2週間カナダに留学して現地の中学校の授業を受けたことがあって、それがすごく楽しくて、もっと本格的に留学したいなと思っていたんです。ただ、結局受験勉強などで忙しく、高校の時は行けませんでした。今度は絶対に海外行けるんだと思ったら、すごく希望が湧いたんですよ。


国際社会科学部はすごく自分に合っていました。私は中高が女子校だったのですが、自主性を重んじる自由な校風でした。いい意味で伸び伸びできて個性が育った気がします。学習院の中でもこの国際社会科学部はものすごく個性的な人の集まりで、みんな自由気ままに過ごしています。お互いがいろいろな個性を受け入れているので、自分がそこに溶け込もうとする努力をする必要がなくて、すごく楽だったんです。

学内で学んだデータ分析、 学外で学んだもう一つの世界の共通言語、プログラミング

高校生の時は受験する直前まで理系だったため、入学後「いかにも数学を使いそう」というなんとなくの理由でデータ分析の授業を取ったのですが、それが面白くて。そのまま恩師の乾先生のもと、卒論で活用する最後まで4年間学び続けました。他の学問を勉強していても必ずと言って良いほど「データ」という単語を聞いていて、それほど重要なものなんだろうと学生ながらに感じていました。現在在籍する会社でも意思決定の主軸になっているのはデータであり (Data Driven:データドリブン) 、そのデータの収集と分析に関わる仕事が出来ていることを嬉しく思っています。

また、2年次の頃から将来のキャリアについて考えるように。医者になるという夢を捨ててしまったので、新しい目標を見つけないといけませんでした。データ分析という学びたい学問に出会えていましたが、データサイエンティストになれるほど突き詰めたところまでは行けないと思いました。もう一度自分を見直したときに、私の軸にあるのは、海外に住みたい、海外で働きたいという思いでした。では海外でも通用するスキルとは何かと考えた時に、プログラミングだと感じました。英語も共通言語ですけど、プログラミング言語も全世界共通ですからね。


そうして2年次の夏から4ヶ月ほど、プログラミングスクールに通ったんです。そこは初心者を対象として、ウェブサイトを作るHTMLやCSS、JavaScript、PHPといった言語を教えてくれました。それが想像以上に面白くてハマってしまい、その4ヶ月のプログラムの教科書を1ヶ月で終えてしまったんです。そうしたら、先生に「好きなことやっていいよ」と言われたので、残りの3ヶ月、その時に最新の言語だと言われていたPythonなどの勉強をしました。


データ分析とプログラミング、この2つの経験から就職活動はSE(システムエンジニア)になることを視野に入れてはじめました。プログラミングはある程度できるようになったけれど、コーディングだけをするプログラマにはなりたくなくて。そのもう一つ上のレイヤーの、システム開発全体を見ることができる仕事がしたいと考えていました。それは開発におけるプロジェクトマネジメントを行うSEの仕事だけだと思っていたのですが、企業側からのオファーを受け、QAという知らない世界を知ることができ現在に至りました。

大変な大学生活をみんなと乗り越えた思い出

大学時代を思い返せば、国際社会科学部って、夢のキラキラ大学生活みたいな感じではないんですよ。ずっと授業が忙しくて、予習、復習をしないとついていけません。最初のうちの英語の授業は厳しくて、みんな怒るくらいでしたね。週に2回ある小論文の授業で「次の授業までに1本書いてきてください」という課題が出たり、その次の日の英語のスピーチの授業で「来週までにスライドを作ってきてください」と言われたり。毎日コンスタントにこなしていかないと課題が溜まってしまって大変なことになってしまう。4年間、ずっとそんな感じだから、大学でいっぱい遊びたいという人にはあまり向いていないかもしれないですね。

でも、私は本当に楽しかった。20人くらいの少人数クラスで、試験の前は自習室に集まって、ああでもないこうでもないってみんなで考えたり、苦手なところを教えあったりして、だから苦しくても続けられたんですよね。ここにいれば、嫌でも成長してしまう。


大学生活の間にクラスの仲間が世界のあちこちに留学に行くので、その留学先に遊びに行ったりして世界を旅できたのも国際社会科学部ならではかもしれません。今後も、海外に行って挑戦したいと思っているし、みんなももっと世界に散らばっていくんじゃないかなと思います。それも楽しみですね。

※所属・仕事内容など掲載内容は取材当時のものです。

4年間の流れ

1年次

英語の課題で毎日忙しい日々。選択授業でなんとなく選んだデータ分析の授業でその面白さを知る。

2年次

前期は変わらず英語の課題をこなす。後期はハワイ大学へ留学。心理学や天文学など別分野を学ぶ。

3年次

英語力が上がり専門科目の負担が減る。その時間を就活準備のインターンや旅行に充てた。

4年次

4年間勉強してきたデータ分析を用いて卒論を書く。空き時間はISS生達と海外旅行や内定先でのアルバイトに費やす。