「真剣勝負の中にこそ成長がある。」 臼井教授ゼミ(国際マーケティング)
掲載日:2024/05/08
国際社会科学部―学習院ISSにおける魅力の1つ、ゼミ。ISSでは「専門演習」「卒業演習」という名称でゼミを開講しており、2年生までに学んだ社会科学の基礎知識をベースに、興味のある分野の専門家のもと研究に取り組みます。
ゼミとは何をするものなのか?個性豊かな各ゼミの魅力とは?
今回は、国際マーケティングを専門とする臼井教授と、そのゼミ生にお話を伺いました。
臼井先生のゼミ(専門演習・卒業演習)で扱うテーマは何ですか。
国際マーケティングと国際ビジネスに関する研究課題を、ゼミ生自らが主体的に決めて研究を進めます。
例を挙げると、2023年度の「専門演習」のグループ研究では、「多様な美を訴求する広告の効果の国際比較」を扱いました。これまでグローバル企業はいわゆるファッションモデルやセレブに代表される画一的な美のアイコンを広告塔として採用してきました。しかし多様性の重要性が認識されている現代社会においては、必ずしも画一的な美が消費者による評価につながるとは限りません。とくに若者間では多様な美が求められています。そこで多様な美を訴求することによる広告効果につき、どんな効果がなぜ生じるのか、国や文化の差にも注目しながら、明らかにしていくことに挑戦しました(論文のダウンロードはこちら)。
ゼミではどのような活動を行っているのでしょうか。
専門演習では、3~4名程度のグループをつくり、英語による学術論文の執筆にチャレンジします。論文執筆では、文献を読み込むと同時に、企業の担当者や消費者へのインタビュー等を通じて、現実の問題にとって意味ある問いを立て、仮説を構築し、アンケート調査を用いて検証することに取り組みます。
研究成果は、ビジネスパーソンへのプレゼンや国内外の大学との交流を通じて発表します。そしてその集大成として、毎年12月に開催される国内最大の国際ビジネス系論文大会「IBインカレ」に出場し優勝を目指します。2023年度は初出場にして見事、第3位に入賞しました。
卒業演習では個人で卒業論文を執筆します。文献のみならず、インタビューやアンケート調査など、さまざまな方法を統合して、自ら立てた問いに対する答えに迫っていきます。今後は海外の大学生との交流や海外のビジネス現場の調査にもゼミ生の皆さんと出かけたいですね。
「専門演習」「卒業演習」の魅力、醍醐味とはなんでしょうか。
とにかくゼミ生自身が研究テーマを決定し取り組むことに醍醐味があると考えています。どんなテーマであっても、自分自身が本当に疑問に思うこと、社会の役に立つと信じるものに真剣に向き合うことは素晴らしいことです。また自らの足で稼いだデータ(インタビュー、アンケート等)を活用することも醍醐味の1つですね。このデジタル時代に、個人や組織の真の行動原理をビジネスの現場で探っていくことは、とてもエキサイティングですね。
臼井ゼミでは、「自らが決めた道にチャレンジする文化」の共創を目指しています。教員である私も含めて皆で切磋琢磨することが大切であり、真剣勝負の中にこそ成長があると信じています。
ゼミ生インタビュー(林 乃采さん)
臼井ゼミに所属し、「日本企業における人材の最適配置のための雇用制度」をテーマに卒業論文を執筆しました。研究では、読むべき論文の決定から企業へのアポ取り、インタビューまで、基本的には全て自分で行います。先生は「常に自分で考え、立てた仮説をもとに行動し、振り返り、改善する」というプロセスを、時には軌道修正をしながら、的確なご助言と共に見守ってくださいました。
卒業論文執筆を経て感じる自分の変化は、1つのものごとを深く考えるようになったこと、そして忍耐力の面での成長です。新しい知識が増えれば増えるほど分からないことはかえって増えますし、アポ取りでも依頼先に快諾いただけるのは良くても1割程度です。時にはゴールが見えない中で走っているような感覚になることもありましたが、「少しでも前進させるためにはどうすればよいか」を常に考えていました。一朝一夕にはいかないことだったからこそ、前進していることを実感できたときは、本当に嬉しかったですね。
今後も目的意識を持ち続け、いかなる状況でもその問題に対処するためには何が必要なのかを、根拠をもとに自分の頭で考え続けることができる人間、そしてその状況を楽しめる人間でありたいと思います。
※掲載内容は取材当時のものです。