「まだ知らない自分」に出会えた4年間。自分の殻を破り、未来を拓いたISSでの学び
掲載日:2026/01/15
好きなアーティストの英語の歌詞を理解したい──そんな素朴な想いから英語に興味を持ったものの、「間違えるのが怖くて話せない」「自分が英語を話せるようになるなんて想像もつかない」という葛藤を抱えていた高校時代。戸田健太郎さんは、社会科学5分野を英語で学ぶ学習院ISSの門を叩き、主体的に学び続けるなかで、英語力と自信の両方を大きく伸ばしていきました。その結果として出会えたのが、まだ知らなかった自分。現在はエアライン系総合商社で半導体ビジネスに携わり、英語で海外パートナーとの調整や交渉を行っています。ISSでの経験がどのように戸田さんの成長と現在のキャリアを形づくったのか、お話を伺いました。

2016年に国際社会学部入学。
2020年に国際社会学部卒業。
2016年に国際社会科学部へ入学。社会科学を英語で学ぶ環境のなかで主体的に学び、2年次の短期留学をきっかけに英語への苦手意識を克服。入学時はTOEIC換算530点だった英語力を4年次には715点まで伸ばす。2020年に卒業後、エアライン系総合商社の全日空商事に入社。現在は半導体製造の後工程(OSAT)事業に携わり、日本メーカーと海外工場をつなぐ調整・交渉業務を担当。新規ビジネス開拓プロジェクトにも参画し、前工程まで含めた広い領域で価値創出に挑んでいる。

英語は好き。でも"話す勇気"が持てなかった高校時代
高校の頃の私は、部活一筋の陸上少年でした。勉強は部活の合間にこなす程度でしたが、英語だけは少し特別でした。きっかけは、小学生のときに校内放送で流れた、日本のロックバンド・ONE OK ROCKの曲。あまりのかっこよさに衝撃を受けたものの、英語の歌詞の意味がまったくわかりません。この体験が、「英語を理解したい」という想いの原点でした。
高校では英語が一番得意な科目ではあったものの、それはあくまで机上での勉強ができるというだけの話。実際に話すとなると、間違えるのが怖くて口が動かない。英語は好きなのに話せない自分が、どこか引っかかっていました。
大学進学を考えるようになったときも、「英語に触れられる学部に進みたい」という想いは変わりませんでした。しかし、英語そのものを学べる学部や、文化や文学を中心に学ぶ国際系の学部には、ピンと来なかったんです。英語を「目的」として学ぶのではなく、英語を使って何かを成し遂げたい----そんな感覚が高校時代から少しずつ育っていたからです。英語を話す勇気がない自分を変えたい、自らの可能性を決めつけることをせず、まだ知らない自分に出会いたいという願いもありました。
そんなときに出会ったのが、学習院大学の国際社会科学部(以下、ISS)でした。ISSは、法学・経済学・経営学・社会学・地域研究からなる社会科学5分野を英語で学ぶという、他大学にはない実践的なカリキュラムが特徴です。英語を単なる教養で終わらせずに、活きた学びとして身につけられる点に強く惹かれました。当時は就職実績もない一期生の募集に戸惑いがありましたが、それ以上に「ここなら自分が変われるかもしれない」という直感が勝ち、ISSの門を叩きました。あのときの選択が、英語への向き合い方も、自分自身への向き合い方も変える大きな転機になりました。

英語の殻を破った短期留学。主体的に取り組むことで英語力が大幅にアップ
入学した当時は、英語を読む・書くことに比較的自信がありましたが、いざスピーキングとなると言葉に詰まってしまうタイプでした。授業で発言する際には、「間違えてはいけない」「完璧に話さなければならない」という思い込みが強く、必ず原稿を用意するほど。
その殻を破るきっかけになったのが、2年次に自己手配で参加したアメリカ・サンディエゴでの短期語学留学でした。日本人がほとんどいない語学学校で、まわりは英語圏出身の学生ばかり。英語で話すことをためらっている私を見て、担任の先生は「あなたの英語は間違っていない。考えがあるなら遠慮せず伝えなさい。完璧でなくていいし、話せないことを責める人は誰もいない。どうしてそこまで自分に厳しくするの?」。その言葉が強烈に刺さり、翌日からは拙い英語でも積極的にディスカッションに参加するようになりました。完璧ではない表現であっても相手はきちんと受け止めてくれるし、議論にも自然に入っていける。「話すことを怖がっているのは自分だけだった」と気づいた瞬間でした。
日本に戻った後は、ISSの授業でも原稿に頼る必要がなくなりました。「完璧でなければ話せない」という思い込みを手放し、主体的に授業へ向き合えるようになったことで、学びの吸収が着実に早まっていったのを実感しています。
さらに私は、自分に対して「英語の課題には必ず取り組む」「1授業につき必ず1回は意見を述べる」というルールを課していました。流暢さよりも、まずは自分の考えを伝えてみることを大事にした結果、英語を使うことへの抵抗が薄れ、理解力・表現力の両面で自然と伸びていきました。ISSでは、英語の得意/不得意は大きな差にならず、自分を信じて取り組めば大きく成長できる環境だと、胸を張って伝えたいです。

文化も価値観も違う相手と向き合う。交渉を動かすのは人としての信頼
現在は、エアライン系の総合商社で半導体製造の後工程(OSAT)に関わっています。「半導体」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、半導体はスマホや自動車など、身近な製品を支える欠かせない部品です。私は日本の大手半導体メーカーと海外工場の間に立ち、納期調整・品質対応・新製品の立ち上げ支援・工場監査など、多岐にわたる業務を担当しています。
後工程は半導体の最終品質を左右するだけでなく、安定供給そのものを支える重要なフェーズです。だからこそ、日本メーカーが大切にしている極めて高い品質基準と、海外工場が長年培ってきたプロセスや価値観がぶつかる場面も多く、文化・背景・仕事観の違いからトラブルに発展することも。
改善の進め方や優先順位の認識が食い違うときでも、昼夜・休日を問わず両者の間に立ち、必要に応じて現地工場まで飛び、エンジニアやマネジメント層と対話を重ねました。ときには厳しい意見をぶつけ合いながらも、少しずつ理解を深め、最終的に双方が納得できる落としどころを探っていきます。
その際、私が何より大切にしているのは、お客さまの要望を「ただ伝えるだけ」の存在にならないことです。一方通行のままでは相手も心を開いてくれませんし、自分自身の価値も生まれません。文化も立場も違う相手と向き合うのは骨が折れますが、ときには家族や趣味の話など、さりげない会話をきっかけに信頼関係を少しずつ積み重ねる。それこそがこの仕事の難しさであり、何よりのやりがいだと感じています。加えて、このような「泥臭さ」が私自身を表しているようでもあり、自分の全身全霊を出し尽くせる環境であると強く確信しています。
海外工場の担当者とは英語でやりとりしますが、私自身は決して流暢ではありませんし、使っている表現の多くは中学レベルです。発音もネイティブのように滑らかではありません。それでも、自分の言葉で率直に話す姿勢さえあれば、しっかりと相手に届くことを実感しています。
この臆せず英語を使う姿は、ISSでの日々で培われたもの。短期留学で「間違ってもいい」と背中を押された経験や、授業で原稿を手放すようになった変化が、自分の英語に対する構え方を大きく変えました。社会に出たいま、海外工場との交渉や調整の場面で踏ん張れるのは、ISSで培ったその姿勢があったからだと感じています。

可能性に限界を決めず、"知らない自分"に出会ってほしい
私にとってISSは、まだ知らなかった自分に出会わせてくれた場所です。英語で社会科学を学ぶという環境は、主体性を持たずには取り組めません。課題の量や専門性の高さはもちろん、英語で理解し、考え、自分の言葉で発信していくプロセスのなかで、必ずどこかで壁にぶつかる瞬間が訪れます。
しかし、その壁こそがISSの醍醐味でした。視野を少し広げたり、勇気を出して一歩踏み出したりするたびに、成長のきっかけが日常のあちこちで顔をのぞかせる、そんな刺激に満ちた学びの場だったと感じています。英語が思うように話せず悔しい思いをしたこともありましたが、そのたびに乗り越えたことで、想像もしていなかった自分に出会えたと感じています。
私が仕事で大切にしているのは、「どんなに小さな仕事でもフルアクセルで臨む」という姿勢です。器用なタイプではないからこそ、ひとつの仕事に全力で向き合うことで、やりがいや面白さが生まれますし、全力でぶつかった分だけ得られる学びや成長に納得感がある、そう実感してきました。
こうした姿勢が評価され、現在は新規ビジネス開拓のプロジェクトに携わっています。これは、半導体製造の前工程(電子回路を作り込む工程)から後工程まで一連のプロセスすべてに関わるためのプロジェクトで、従来私が担当していた後工程(OSAT)よりも大きなスコープを持つ領域です。もちろん私一人で完結できるものではなく、社内外の多くの専門家と協働しながら進めているプロジェクトですが、基板となるウエハの調達から最終製品化まで全体を見渡し、価値を生み出す挑戦に関われていることに大きなやりがいを感じています。今後もこの姿勢を軸に、より広いフィールドで力を発揮していきたいと考えています。
進路に迷っている高校生のみなさんに伝えたいのは、今こうしてインタビューに登場している私を、特別な存在だと思わないでほしいということ。入学時の私は英語を話すことに強いコンプレックスがあり、スピーキングに関しては誰よりも不安を抱えていました。
それでもISSで主体的に学び続けたことで、英語だけでなく、自分の内側に眠っていた可能性にも気づけました。この学部には、まだ知らない自分に出会えるきっかけが、驚くほどたくさん転がっています。スタート地点の能力が高くなくても大丈夫。大切なのは、壁にぶつかったときに立ち止まったとしても決して折れないこと、そして自分を信じて踏み出す力です。4年後、いまは想像もしていない自分に必ず出会えると思います。その一歩を、ぜひ恐れずに踏み出してみてください。
※所属・仕事内容など掲載内容は取材当時のものです。

4年間の流れ
英語科目に全力で取り組み、社会科学ではマネジメント論という自身の行動指針になる分野と出会う。
恩師との関係性を深め「組織行動論」の領域にのめり込む。自分の殻を破るために1か月間アメリカに留学へ。
英語を話すことに尻込みしていた自分に勝利。ゼミでは恩師の指導を得ながら、リーダーシップについて研究。
「次代のリーダーシップ」をテーマに卒論に取り組み、優秀賞に選出。「会社に依存するのではなく、自分自身の価値を高め、どこでも通用する人間になりたい」という想いから、ANAグループの中でもユニークな全日空商事へ入社。