ワクワクする選択を重ねた私の原点。 変化を楽しむ姿勢で未来を切り拓く。
掲載日:2026/01/30
みなさんは「カスタマーサクセス」という仕事を知っていますか? 導入した製品やサービスを通じて、顧客が本来の目的を達成し“成功体験”を得られるよう支援する、近年注目を集める職種です。その最前線に立つのが、山下斐央さん。「迷ったら、ワクワクする方へ進む」という価値観を軸に、変化のある環境へ飛び込み続ける中で、多様な仲間と学んだ学習院ISSでの経験が、現在のキャリアの原点になっているといいます。今回は、学生時代のエピソードや、現在の仕事のやりがいについてお話を伺いました。

2017年に国際社会学部入学。
2021年に国際社会学部卒業。
卒業後は一橋大学国際・公共政策大学院に進学。
愛媛県生まれ。高校3年時にアメリカ・オハイオ州へ1年間留学。学習院大学 国際社会科学部に進学し、乾友彦教授のゼミで経済学・データ分析を専攻。在学中は、ミクロ経済学の授業をきっかけに、自主的に勉強会を主催し、相手の理解に寄り添う姿勢と、知識の橋渡し役としての視点を育む。2021年に国際社会科学部を卒業後、一橋大学国際・公共政策大学院に進学し、政策立案や計量経済学 を中心に学ぶ。現在は株式会社ブレインパッドのプロダクトユニットで、カスタマーサクセスとして、企業のデータ活用支援に従事。プロダクトを通じた課題整理や活用提案を行いながら、意思決定を後押しする役割を担っている。

知らない世界へ飛び込んだ高校時代。どんな環境でも成長できると実感
私が初めて大きな変化の中に身を置いたのは、高校3年の夏でした。親の勧めで、アメリカ・オハイオ州へ一年間留学することになったのです。実は、当時の私は英語が得意だったわけでも、海外に強い関心があったわけでもありません。むしろ成績は振るわず、英語の授業で赤点を取ったことも。
現地の高校ではすべての授業が英語で、電子辞書を片手に毎晩遅くまで宿題に向き合う日々。授業についていくだけで精一杯で、目の前の課題に淡々と向き合い続けました。
そこで気づいたのは、人とコミュニケーションをとる上では、英語を流暢に話せるかどうかよりも、まず"好かれること"のほうが重要だということです。クラスメイトとは言葉が通じないからこそ、関係性を構築するために自分から挨拶したり、お菓子を配ったり......。小さな気遣いや姿勢の積み重ねが、結果的に困ったときに助けてもらえることにつながる。コミュニケーションの本質はそこにあると感じました。
文化も言語も異なる環境で過ごした一年は、自分の中で大きな転機となりました。実際に足を踏み入れてみると、意外となんとかなるものですし、人はどんな状況でも成長できる----そう実感しました。大切なのは「やるか・やらないか」で、だったらやるしかない。この言葉は、今の私にとって大切な指針になっています。

複雑な学びをかみ砕き、誰かの前進に関わる。勉強会で見つけた自分らしさ
ISSを選んだ理由は、社会科学5分野を広く学べるところに魅力を感じたからです。経済学部や経営学部にも興味がありましたが、当時の自分には"これを学びたい"とまでいえるものがありませんでした。そんな中で、選択肢が広く、法学・経済学・経営学・社会学・地域研究といった分野を横断的に学べる環境は、迷っていた当時の自分には理想的な場所でした。また、英語だけは比較的点数が取れたので、そこを強みにできるという点でもISSは合っていると感じました。
三年次からは乾友彦先生のゼミに所属し、経済学・データ分析をテーマに学びました。将来の選択肢を広く持ちたいという思いがあり、その中で最も"潰しが利く"と感じたのがデータ分析の領域です。経済学には「理論」と「実証」がありますが、実証は実際のデータを使って仮説を検証していく分野で、文系の自分でも取り組みやすく、日常の課題に近い形で考えられる点に魅力を感じました。
ミクロ経済学の授業をきっかけに始めた勉強会も、自分の中では大きな経験でした。友人から「教えてほしい」と頼まれたのが始まりで、回数を重ねるうちに口コミで人数が増え、テスト期間には最大で20人ほど集まったこともあります。誰かが「わかった」と顔を上げてその場で「ありがとう」という言葉が返ってくる。誰かの前進に関わることに、自分は強く惹かれるのだと気づきました。

ワクワクする選択を信じて。データ活用の現場へ挑む
ちょうど4年生のときにコロナ禍となり、企業の採用状況が不透明だったこともあり、就職以外の選択肢を現実的に考えるタイミングでもありました。そこで公共政策大学院へ進学し、政策立案や計量経済学 を中心に学びながら、より実践的な視点で社会の課題と向き合う経験ができたと思います。
就職活動では、データ活用に関連する企業を志望していました。ただし、自分が大学時代にやってきた分析は基礎集計や回帰分析レベルのもの。高度なプログラミング技術が求められる領域では理工系出身者に太刀打ちできないと感じる一方で、大学時代の勉強会でやってきたように、複雑な内容をかみ砕いて伝え、人の理解を助ける役割なら、自分らしく価値を発揮できるのではないかと考えていたところ、大学院の先輩から紹介されたのが、企業のデータ活用支援を行う株式会社ブレインパッドでした。
会社説明会で、データを扱いながら顧客の課題解決に伴走するというコンサルタントの仕事を知り、自分の経験との接点を強く感じて、直感的に「ここだ」と思えたことが、選考を受けてみようと思った理由です。結果として現在の会社に入社し、コンサルタント職を経て、現在はカスタマーサクセスを担当しています。
当社では、専門人材によるデータ分析・活用支援と、SaaSプロダクトによるデータ活用の2面でサービスを提供しています。 カスタマーサクセスは、そのSaaSプロダクト をお客さまが使いこなし、成果につなげられるよう伴走する役割です。単なる操作説明にとどまらず、課題の整理や活用方針の提案まで踏み込んで支援します。担当する企業は複数にわたり、業界も課題もさまざま。前任者のやり方を引き継ぎながら改善したり、別の企業の成功事例を応用したりと、常に自分自身をアップデートし続ける姿勢が求められます。その分だけ視野が広がり、失敗も成功も含めて、現場でしか得られない経験が蓄積されていく、そんな実感があります。

選んだ道を正解にする。ISSで築いた土台が今の仕事に通じる
いまの時代、多くの企業がデータを重視していますが、その一方で、それをどのようにビジネスに活かすかという点では、まだ難しさを感じている企業も少なくありません。データを扱うだけではなく、人が理解できる形に整理し、意思決定につなげるサポートをすることが大切だと感じています。そうした役割こそ、カスタマーサクセスの価値だと思っています。
学生時代を振り返ってみると、ISSでの経験は今の仕事の大きな土台になっていると感じます。例えば、英語が得意だったとしても、ただ話せるようになるだけでなく、経済やデータ分析を英語で学ぶことで、自分の"強み"を研ぎ澄ませていけることを実感しました。
また、ISSには多様なタイプの学生が集まっており、背景も性格も価値観も異なる人たちと関わる中で、考え方の違いを"面白がれる"ようになったことは、大きな財産です。そんな仲間とのディスカッションを通して、自分の考えを言葉にして届ける力が鍛えられたとも感じています。さまざまな刺激に触れながら視野を広げたいと思っている方にとって、ISSは最高の環境だと思います。
正解がわからない選択を迫られる場面は、これから何度でも訪れるはずです。そんなとき、周りの期待ではなく、自分が心から面白いと思えるほうを選んでほしい。大切なのは、正解のある道を選ぶことではなく、選んだ道を正解にしていくこと。そのために必要なのは、結果だけを恐れず、変化を楽しむ姿勢だと思います。迷ったら、ワクワクする方へ進む。その気持ちこそが、未来を切り開く力になるはずです。
※所属・仕事内容など掲載内容は取材当時のものです。

4年間の流れ
ミクロ経済学の授業を通じて、経済学の考え方やインセンティブ設計の面白さに触れる。学びを仲間と共有する勉強会を始めるきっかけとなる。
英語を母語としない人同士で協働する経験を求め、ベトナムでインターンシップに参加。言語は手段であり、伝えたいことをどう伝えるかを考える時間になった。
乾友彦ゼミに所属。データ分析や回帰モデルの基礎を学び、現実の課題を構造的に捉える視点が身につく。仲間との議論を重ねる中で思考が磨かれる。
企業の生産性をテーマに英語で卒論を執筆。より深く学ぶため一橋大学国際・公共政策大学院へ進学。大学院での学びを通して、データを実務に活かす道を志す。