椋 寛(ムクノキ ヒロシ)教授

椋 寛 教授

椋 寛(ムクノキ ヒロシ)教授
経済学科:国際貿易論、通商政策

略歴

  • 1997年3月:横浜国立大学経済学部経済学科卒業
  • 2002年3月:東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学
    日本学術振興会特別研究員(PD)を経て、2003年4月に本学に赴任
  • 2006年1月:博士(経済学) (東京大学)取得
  • 2008年9月~2010年8月:ブリティッシュ・コロンビア大学(カナダ)客員准教授
  • 2022年9月~12月:ニューサウスウェールズ大学(豪州)客員研究員
  • 2023年1月~8月:トロント州立大学(カナダ)客員教授

研究分野

国際貿易と海外直接投資に関する理論的・実証的研究

主要業績

直近3年の論文

  • "Friend-shoring, Near-shoring, and Reshoring in Factories America, Asia, and Europe amid Rising Geopolitical Tensions" (with Mitsuyo Ando, Kazunobu Hayakawa, and Fukunari Kimura), European Journal of Political Economy, Vol.93, 102804, 2026.
  • "Optimal Trade Policies on a Monopoly Platform in Two-sided Markets" (with Kazunobu Hayakawa and Kuo-Feng Kao), Review of International Economics, Vol.33(3), pp.783-795, 2025.
  • "Wake Not a Sleeping Lion: Free Trade Agreements and Decision Rights in Multinationals" (with Hirofumi Okoshi), Review of International Economics, Vol.33(3), pp.505-518, 2025.
  • "Foreseeing Potential Trade Effects of Additive Manufacturing: Evidence from Trade in Sound Recordings" (with Kazunobu Hayakawa), International Economic Journal, Vol.38(4), pp.591-604, 2024.
  • "The Trade Effect of Regional Trade Agreements in the Presence of Duty Drawbacks" (with Kazunobu Hayakawa and Nuttawut Laksanapanyakul), The World Economy, Vol.47(9), pp.3681-3708, 2024.
  • "Negotiating over the Rules of Origin in Regional Trade Agreements in Asia" (with Kazunobu Hayakawa, Fukunari Kimura, and Shujiro Urata), The World Economy, Vol.47(7), pp.3097-3119, 2024

 

主要論文

  • "Tariff Elimination versus Tax Avoidance: Free Trade Agreements and Transfer Pricing" (with Hirofumi Okoshi), International Tax and Public Finance, Vol.28(5), pp.1188-1210, 2021
  • "Parallel Imports and Repair Services" (with Jota Ishikawa and Hodaka Morita), Journal of Economic Behavior and Organization, Vol.172, pp.137-160, 2020
  • "Impact of Free Trade Agreement Use on Import Prices" (with Kazunobu Hayakawa, Nuttawut Laksanapanyakul, and Shujiro Urata), World Bank Economic Review, Vol. 33(3), pp.643-660, 2019
  • "Individual Characteristics, Behavioral Biases, and Trade Policy Preferences: Evidence from a Survey in Japan" (with Eiichi Tomiura, Banri Ito, Ryuhei Wakasugi), Review of International Economics, Vol.24(5) , pp.1081-1095, 2016
  • "Trade Liberalization and Aftermarket Services for Imports"(with Jota Ishikawa and Hodaka Morita), Economic Theory, Vol.62(4, pp.719-764, 2016
  • "FDI in Post-Production Services and Product Market Competition"(with Jota Ishikawa and Hodaka Morita, Journal of International Economics, Vol.821, pp.73-84, 2010
  • "Economic Integration and Rules of Origin under International Oligopoly"(with Jota Ishikawa and Yoshihiro Mizoguchi, International Economic Review, Vol.481, pp.149-174, 2007
  • "Multilateralism and Hub-and-Spoke Bilateralism"(with Kentaro Tachi, Review of International Economics, Vol.144, pp.658-674, 2006

著 書

その他の研究業績は個人HP を参照して下さい。

学外での活動

所属学会:日本経済学会、日本国際経済学会(常任理事)、AEA, CEA, IEFS Japan

講義・演習の運営方針

国と国との経済関係がますます密接になっている現在、一国の経済は海外との経済取引を抜きに語ることはできません。毎日のニュースをチェックしただけでも、国際経済に関わる報道があふれている事が確認できるでしょう。しかし事実を知るだけでは、その裏に潜む経済メカニズムや政府の政策の是非までを考えることはできません 。日本はなぜ農産品の輸入に厳しい制限を課しているのでしょうか。日本を含めた各国がFTA(自由貿易協定)を締結する理由は何でしょうか。企業の海外進出や、外国人労働者の増加の良い面と悪い面はなんでしょうか。そして、米国のトランプ関税は、 世界経済にどのような影響をもたらしたのでしょうか。

国際経済学は、これらの疑問を解くために有用な分析ツールを多く提供してくれます。海外直接投資・関税・セーフガード・アンチダンピング・貿易摩擦・WTOFTA・貿易と環境・グローバルバリューチェーン…例えばこれらのキーワードに興味を持ったなら、私の講義・演習に参加してみてください。

講義

2~4年次配当の国際経済学では、モノや資源の移動といった実物面を主に分析する「国際貿易論」を講義します。まず前半の講義では、特にモノの貿易を中心とした国際経済取引のメカニズムを明らかにすることを目的とします。講義は経済理論の解説が中心となりますが、国際経済学に限らず、理論という「道具」を理解するだけでは何も学んだことになりません。理論と現実とを適時対応させつつ、現実経済の動きを客観的に分析する能力を身につける事を第一の目標とします。実際、講義の中でも新聞記事の紹介やニュース映像を流すなどして、現実の数値や国際経済のトピックを適時取り上げていきます。

後半の講義では、前半に学んだ国際貿易のメカニズムを踏まえ、政府による対外政策のプラス・マイナスを明らかにし、日本や世界にとって最適な政策目標・政策手段を検討します。国際経済取引に関わる政府の政策には様々な利害が絡み、多くの議論がなされています。国際経済学が導き出す答えは一つではありませんが、客観的視点により根拠づけた上で望ましい政策を考えることは、皆さんにとって貴重な経験となると思います。

3・4年生を対象にした経済学特殊講義(国際貿易の諸問題)では、国際経済学の講義で身に付けた知識を応用し、「国際貿易と環境問題」「サービス貿易の自由化」「多国籍企業と海外直接投資」といったより高度なテーマについて解説しつつ、受講者と議論を行います。

全学年が受講可能な外国書講読(英語で学ぶ通商問題)では、通商問題に関する英文で書かれた新聞記事や雑誌記事を取り上げ、受講者が報告しつつ、全体で議論を行います。英語を学ぶ科目ではなく、記事をきっかけに世界経済の様々な課題に関して理解を深めることが目的です。

 大学院との共通科目である国際経済学(上級Ⅰ・上級Ⅱ)は、大学院への進学希望者を対象にした講義であり、数式やグラフを駆使しつつ伝統的な理論から最新のものまでを解説し、また参加者が専門書や専門論文をプレゼンし議論します。講義の理解にはミクロ経済学・ゲーム理論・計量経済学の知識とともに、英文の文献を読み英語でプレゼンする能力と意欲が必要です。

演習

少人数であることを活かしてテーマを絞った報告・討論をします。2年生の演習では問題意識を高めることとデータ分析の練習を中心にしつつ、参加者による報告と議論を行います。またゲスト講師を1度招きます(これまでの例:フランス大使館参事官、経済産業省交渉官・課長補佐、財務省関税局職員、内閣官房参事官、参議院事務局職員、国際弁護士、IT企業、ベンチャー企業、シンクタンク研究員など)。3年生の演習は、通常は年末の他大学(主な相手:青山学院大・岡山大・慶応義塾大・津田塾大・中央大・福島大・上智大・早稲田大)とのインターゼミや関西での大規模なゼミ大会、さらに学会の学生論文報告会や省庁における懸賞論文応募に向けて、前期はテーマを探す作業、夏合宿を経て、後期はゼミ論文としてそれをまとめる作業をします。これらのイベントでは、優秀な論文として受賞歴もあります。国際経済に関する機関への見学会を企画する場合もあります。ゼミ論文の作成は多くの時間を要し、またプレッシャーがかかる作業ですが、その苦労が今後の人生においてかけがえのない経験となる事を約束します。4年生の演習は、個々の興味にそってレポートないし卒業論文の作成に取り組んでもらいます(テーマは国際経済に限りません)。

 

1年生向けの入門演習(注:2年次に選考が行われる演習(ゼミ)とは別科目)では、経済に限らず賛否両論が分かれている社会問題や事柄について、グループに分かれてプレゼンと討論をします。1年次からプレゼンテーションを数回行い、意見を述べディスカッションする経験を積むことは、様々な場面で役立てることができます。

私の研究課題

近年 、世界各国はWTO FTAといった貿易協定の交渉を通じて貿易自由化を模索する一方、米中の貿易戦争やトランプ関税に代表されるように、 自国産業の保護や雇用の雑持を大義名分に一方的に高関税を課すなどの保護貿易主義的な政策も同時に行っています。またモノの貿易のみならず、海外サー ビス拠点の設立や外国人労働者の受け入れ等のサーピス貿易の自由化や、経済のデジクル化に伴うデジクル貿易の影響も大きな籍謡になっています。私の研究課題はこれらのトビックの問題点と解決策を、理論分析と実証分析により明らかにすることです。

メッセージ

経済学は様々な経済現象や経済政策の良い面と悪い面を、高度なデータ分析や理論モデルを通じて偏りなく整理し、その是非を冷静に考察できる魅力的な学問です。その学びは、世界経済や日本経済の理解のみならず、私たちの日々の選択や将来設計を考える際にも、有用な指標を提供してくれます。講義や演習を通じて、皆さんに経済学の有用性と面白さを伝えられるよう努力します。緑豊かな目白キャンパスで会えるのを、楽しみにしています。なお、(かわいい)娘たちには「経済学はなんか難しそう」となかなか興味を持ってもらえません・・・もっと頑張ります。

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