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学部長挨拶

Message from the Dean
学部長 神戸 伸輔
「正解のない問題にどう取り組むか」

大学が高校までの教育と一番大きく異なることは何でしょうか。
それは、「正解のない問題にどう取り組むか」を学ぶことです。高校までの教育では、歴史の知識や数学の解法など、教科書に書かれていることを効率的にかつ正確に覚えることが求められていました。もちろん大学でも知識の獲得は重要です。しかし、知識だけでは社会で活躍することはできません。急速な技術発展や国際化の進展で、変化の中で対応していく能力が現代の社会人には求められています。大学はそのための準備をするためのいわばトレーニングルームです。

いきなり正解のない問題といわれてもイメージが湧きにくいでしょう。例を挙げて説明します。20世紀の後半には高度成長を成し遂げ、世界経済のトップに迫る勢いであった日本は、21世紀に入るころから労働生産性が伸びなくなり、一人当たりGDPは他の先進国に比べてかなり低くなってしまいました。これに対し、アベノミクスなどさまざまな対策が提案されてきました。しかし、残念ながら低成長が目立つようになってから30年ほどたった今でも顕著な改善は見られません(失われた30年)。

なぜこのようなことが起こるかというと、それはこれが典型的な「正解のない問題」だからです。正解のない問題の特徴の一つは、そもそも「何が最も重要な問題か」すらわからないことです。低成長の原因は、デフレなのか、それとも、産業空洞化なのか、あるいは、働き方なのか。どこに取り組むべきかがはっきりしません。このような時に、「何が最も重要な問題か」を見つける力を「課題発見力」といいます。

正解がないどころか、そもそも取り組むべき課題さえはっきりしない。これが、現代の社会で起こっていることです。そのような状況で、よくわからないからとか正解がないからとか言ってあきらめてしまうのでは、前に進むことができません。ポイントは、「よりよい答え」を見つけようと努力することです。

課題を発見したらそれを解決するためにどうしたらよいかを考える必要があります。これが「課題解決力」です。課題発見力や課題解決力は、正解のない問題に求められているため、教科書はありません。自分でそれらの力を身につけなければなりません。そのためには、これまでの学問の蓄積が大きく役立ちます。学問とはそもそもよくわからないことを整理し、自然や社会の仕組みを理解することでした。その手法を使えば、正解のない問題に取り組むとっかかりを見つけることができます。大学は、まさにこれを練習する場所です。教科書がない以上、これらは経験でしか身につけることができません。大学での学びを通して、少しでもこれらの力を伸ばし、社会で役立つ人材になってくれることを望んでいます。
学部長 神戸 伸輔
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