主に雇用領域における、公共政策を担当し、省庁や業界団体など社外のステークホルダーとの対話を行っています。
これまでのキャリアを通じて、日々働き手である学生や社会人、雇用する企業の経営者や人事、更には大学や行政など様々な方と出会い、「働く」に関する期待や希望、または不安・不満・負担などを沢山見聞きしてきました。その中で目の前の実態とデータから物事を構造的に捉え、少し先のみらいを見立て示唆・提言し、よりよい方向に変わっていくことが仕事の醍醐味になっています。その背景には学生時代の体験含めて「多様な個人と組織が対等な立場で、お互いを生き活かされる関係でありたい」という想いがあり、仕事の役割や立場、働きかける対象が変わっても、向き合っているテーマが一貫していると感じています。
きっかけのひとつは大学時代のゼミと就職活動にあります。ゼミは非常にユニークな先生と外に開かれた場でフィールドワークや社会人との交流が盛んでした。これまでの狭い世界で生きていた自分を実感するともに非日常で新たな価値観に触発される体験ができた機会でした。もう一つは学習院大学の名物「面接対策セミナー」への参加。大学内の繋がりが多くなかった自身がこの機会を通じてOBOGとの繋がりが一気に増え、こんな人に会いたいと言えば、すぐに繋いで頂き、気づけば3か月で60人近くの方と出会い、時に叱咤激励してくださるなど、豊かな経験をさせていただきました。特にやりたいこともなく、悶々と学生時代を過ごしていた自分にとって十人十色な価値観や働くリアルを感じ取る体験は、社会に出て働くことをポジティブに転換させてくれました。
ただ、魅力的な社会人に出会い、自分自身がどうありたいか?を考え抜く時間は有意義だったものの、目の前の就職活動で繰り広げられる企業とのやり取りは、どうも企業>学生という関係が見え隠れし大変窮屈なものでした。「自社で具体的に何がしたいか?第一志望なのか?など執拗に聞いてくる。聞いてくる割に情報は出していない、聞いてもわからない」とか幾つも腑に落ちない体験もあり、周囲を見ても“選んでもらう”ための振る舞いに委縮しているような感じが苦痛でした。このような体験も、学生(個人)と企業(組織)の関係はより対等であってほしいという働く想いや仕事選びにも繋がっています。
最後に、今でも面接対策セミナーやOB訪問等で現役の学生の皆さんともお会いしますが、入学後から感じていた相手の立場に立ち、優しく誠実な方が多い印象は変わりません。キャンパスの立地も含めてとても居心地の良い場だと思います。ただ、もっとリーダーシップを発揮してもいいのに!積極的に一歩踏み出せばいいのに!と思うことも。外の世界に目を向けて、心地の良い環境から少し抜け出し、熱中できる体験を一つでも作って欲しいです。今の自身にとって非日常な体験は今後に活きる力をつけ、今の学びを深めてくれると思います。
※ 本メッセージは、2023年9月に寄稿いただきました。