堤 麻由子 (つつみ まゆこ)
サントリー株式会社 スピリッツ本部 リキュール・スピリッツ部 課長
PROFILE
学習院女子中・高等科を経て、学習院大学へ進学。学生時代はラクロス部の活動に打ち込む。2007年、経営学科を卒業後、サントリーに入社。現在は国産のジンやウォッカなどのマーケティングを手がける部署で、グローバル向けの新商品開発を担うグループの課長としてブランドイノベーションの推進を担当している。
堤 麻由子 (つつみ まゆこ)

学生時代は部活一筋だったという堤さん。現在のキャリアのきっかけにもなった「ある気付き」と、少人数の学習院大学だからこそ可能な「生きた学び」についてお話をうかがった。

現在のお仕事についてお聞かせください。

サントリーの「スピリッツ本部 LS部」という部署で働いています。Lはリキュール、Sはスピリッツの略です。そこでイノベーション推進グループの課長をしています。具体的にはマーケティングをメインに担当しており、新商品の開発に携わっています。主なブランドは「ROKU」というジンや「HAKU」というウォッカなどのグローバルを中心とするブランドの製品化を担当しています。また過去には2020年3月発売の「翠(SUI)」というジンのブランドの開発も携わりました。

現在の会社を志望されたきっかけは何だったのでしょう?

大学時代は体育会系のラクロス部に所属していたのですが、試合が終わった後によくチーム全員で打ち上げをしていました。普段から部員同士コミュニケーションはとっていましたが、普段は緊張して話せないような先輩に対してもお酒の席だからこそ、本音で話せるという経験を何度かすると同時にメンバーの士気がだんだんと上がっていってチームの雰囲気が良くなってきたのを実感しました。その際に、お酒はとても素晴らしいコミュニケーションツールだなと興味を持ったのが、この業界を志望したきっかけです。

ラクロス部はとても活発な部活という印象なのですが、かなり力を入れて活動していらっしゃったのでしょうか?

私の大学生活はもう、部活一筋でしたね。早朝はグラウンドが空いているので、朝6時の開門と同時に学校に行って、6時半から練習を開始するという生活を4年間続けました。おかげで朝の時間も有効活用できましたし、1時間目の授業にも遅刻せず出席できました(笑)。

まさに文武両道ですね。ラクロス部を選ばれた理由は何だったのでしょうか?

学生時代までに何かしらスポーツで日本一になる経験をしたかったのですが、体育会のグループ競技として女子ラクロス部は、学生1部リーグに所属しており、本気で日本一を目指せる部活だと考えたから、というのが純粋な理由です(笑)。中高時代はバスケットボール部に所属していたのですが、その経験を生かしながら、新しい競技にチャレンジして自分の幅を広げてみたいという思いもありました。

ラクロス部での活動のお写真  22番のユニフォームが堤さん(写真中央)

ラクロス部での活動に熱中していたという堤さん。経済学部ではどのような勉強をされていたのだろうか。

経済学部を志望された理由は何だったのでしょう?

大学進学時にマーケティングに興味があったのが経済学部を志望した大きな理由です。高校の授業の中でも特に経済や経営の授業に面白味を感じていたのと、マーケティングは社会人になった後すぐに仕事に直結するスキルだと思っていましたので、経済学部の中でもよりマーケティングに近い経営学科に決めました。

経済学部、ひいては学習院大学の強みとは何でしょう?

やはり「生きた学び」と、先生方の質が非常に高いことだと思います。経営学科に絞って言えば、教授としての業務の傍ら、自ら会社を経営されている方もいるので、生きたマーケティングを教えていただけることが一番の強みです。加えて授業でのインプットだけでなく、アウトプットの場も大事にしているのが学習院大学経済学部の魅力だと思っています。

 私が所属していたゼミは「経営組織論」がテーマで、「創意工夫しながら、マーケティングを考えなさい」と常々教わってきました。例えば、学園祭でゼミのブースを出店するのですが、先生からは「起業家になったつもりでビジネスをやりなさい」と言われまして、ゼミ生で話し合い、私たちの代は学園祭で唯一の“団子屋”を出店しました。お店にまつわる原価の計算、売価の設定、売上や利益の見込みなど、他の飲食出店ブースと差別化しながら強みをアピールし、最終的に儲けるためにはどうしたらよいか?を考えて実行するのは非常に面白かったです。授業や講義でマーケティング理論をインプットして分かったような気になっていても、そう簡単に実践できるものではありません。このような実践・アウトプットの場で、気軽に経営にチャレンジできたことは私にとって今でも記憶に残るとても素晴らしい経験でした。

大学時代の友人や先生方と今でも関わりはあるものでしょうか?

中学からの友達に会うこともありますが、学習院大学にはいろいろなコミュニティがあるので、そういった場に顔を出すこともあります。私は「学習院沼津游泳会」という卒業生助手で構成する団体に参加しており、初等科・中等科で毎夏に行われる伝統ある臨海学校において、児童・生徒への遊泳指導および行事のサポートをしています。

 さまざまな年齢の卒業生が世代を超えて、1つの行事に真剣に取り組むので、社会で活躍している大人と一緒になって何かをするという経験は貴重ですし、鋭い洞察力、組織の協調性、1人1人の人間力を磨く場にもなっていると思っています。幅広い世代がつながり続けるなど、まさに学習院だからこそのつながりですし、ここに学習院の魅力が詰まっていると思います。

まさに少人数ならでは、「オール学習院」ですね。

ほかにも、外部から講師を呼んで、社会で活躍する方たちの生の声を聞く授業があります。私も社会人になってから何度か講演をさせていただいたことがあります。学生たちが、将来の理想の姿を具体的に描けるような授業やゼミの設計になっているので、学生たちに刺激を与えることを常に考えている学校だなといつも感じています。

これから学習院大学を目指す方、そして在学生にメッセージをお願いします。

私は「悠々として急げ」という言葉を大切にしています。これはサントリーの宣伝部にも在籍されていた作家、開高健さんの言葉とされています。人生は有限ですし、現実として競争社会がある中で、急ぐことはとても大事ですが、急ぎすぎても空回りしてしまうので、腰を据えて取り組んだほうが、結果的に近道になるという意味です。空回りしたことで出てしまった無駄をどうしたら省けるか?というと、やはり経験がものをいうと思います。いろいろな経験をして、学んでいくことで、少しずつ自信をつけて、周囲の力を借りながら、自分の決めた道を進むことで最終的に必ず目標や、やりたいことが達成できると信じて日々考動しています。

 学生のうちは可能性を無限大に広げられる時間があり、いろいろな蓄積ができる時期だと思うので、恐れずにいろいろなことに挑戦してほしいです。部活動、サークル、ゼミ、アルバイト、旅行などできる限りのことは思う存分経験してほしいです。そうやって自分の中でさまざまな自信を持って社会人になることができれば、目標を持って楽しく仕事に取り組むことができ、自分の強みを発揮しながら働くことで会社だけでなく、社会全体に自分の成果が還元・貢献できると思っています。

自身の糧となった「生きた学び」を後輩たちにも伝え続けている堤さん。お酒というコミュニケーションツールとの出会い、そして一貫して学び、実践してきたマーケティング、そのすべてが彼女の今を輝かせている。

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