宇野 舞(ウノ マイ)特別客員教授

宇野 舞 特別客員教授

宇野 舞(ウノ マイ)特別客員教授
経営学科:マーケティング(特に、BtoBマーケティング、営業・販売組織に関する研究)

略歴

  • 2015年3月:一橋大学商学部 卒業
  • 2015年4月〜2018年3月:ITサービス企業勤務
  • 2020年3月:一橋大学大学院経営管理研究科 修士課程 修了 修士(商学)
  • 2023年3月:一橋大学大学院経営管理研究科 博士後期課程 修了 博士(商学)
  • 2023年4月〜2024年3月:一橋大学大学院経営管理研究科 特任講師(ジュニアフェロー)

連絡先

  • E-mail:add_mai_uno.png
  • 研究室:東2-1122

研究分野

マーケティング。特に、BtoBマーケティング、営業・販売組織に関する研究。

主要業績

(学術論文)

  • 宇野舞・グェン フォン バオ チャウ・趙雅欣・六嶋俊太・福川恭子 (2022) 「マーケティング研究領域におけるパラダイムの現状と課題 ―より活発な理論発展へ向けて―」『一橋商学論叢』 Vol.17, No.2, 14-30. (査読なし)
  • 宇野舞 (2022) 「戦略的営業とは何か ―営業組織と市場感知能力に関する議論の統合―」『一橋商学論叢』 Vol.17, No.1, 42-54. (査読あり)

(その他の研究業績)

  • 宇野舞 (2023) 「ジーニーラボ:小規模ITサービス企業が推進する間接材購買取引の標準化」『一橋ビジネスレビュー』 Vol.71, No.3, 136-149.
  • Uno, M., Yamashita Y., & Fukukawa K. (2023). Investigating the main and interaction effects of customer relationship termination and customer involvement on the new product development outcome, The 2023 Global Marketing Conference, Seoul, Korea, 20-23rd July 2023. (Peer reviewed)
  • 宇野舞・山下裕子 (2022) 「市場感知能力を基軸にした営業主導型組織の戦略的営業組織への進化 ―ITサービス企業の事例分析」 一橋大学イノベーション研究センターワーキングペーパー, WP22-04.
  • 宇野舞・山下裕子 (2020) 「戦略的営業とマーケティングケイパビリティの両研究における市場感知能力の比較検討戦略的営業への進化の理解のために」日本商業学会第10回全国研究報告会, オンライン, 20201213.
  • 宇野舞 (2020) ITサービス企業における価値創造」日本商業学会第70回全国研究大会, オンライン, 2020919.
  • Uno, M. & Yamashita, Y. (2019). Problem of marketing costs behind the transformation of marketing-sales configuration in IT service companies, International Marketing Trends Conference, Venice, Italy, 17-19th January 2019. (Peer reviewed)

学外での活動

所属学会:日本商業学会、日本マーケティング学会

講義・演習の方針

 受講生がマーケティングの様々な活動に関心を持ち、講義外においても積極的にマーケティングについて学び、考えることのできるような講義を行うことを目指しています。マーケティングと一口に言っても非常に多様な領域をカバーしています。例えばマーケティング・リサーチの中には定量的なデータ分析もあり、定性的な消費行動の理解も含まれています。また、マーケティング・コミュニケーションには新聞・雑誌・テレビ・ラジオなどの古くから存在するマス・メディアから、最新技術を用いたWebメディアの使用まで含まれています。このような多彩な領域を紹介し、その中から受講生が自分の興味を持つ分野を見つけ、興味を持ったものに対して実際に試してみたり、探求したりできるような講義を提供するよう心掛けていきます。

研究テーマ

 これまでの研究活動では、主としてbusiness-to-businessBtoB)市場において顧客の声を適切に取り入れ、新製品開発の成功に貢献する営業・販売組織の特徴と行動についての実証研究に取り組んできました。
 近年のBtoB市場では、競争優位を獲得するために顧客企業と長期的・協力的な関係を築き、共に新たな価値の創造に取り組むことの重要性が増しています。その際、企業はどの顧客と協力し、どの製品やサービスに力を注ぐべきかを意思決定しなければなりません。このような顧客企業との関係構築や意思決定において、営業・販売組織は大きな役割を果たすことを期待されています。なぜなら、営業・販売組織は市場(顧客や競合他社)と直接的な関わりを持ち、その関わりを通じて様々な知見を企業内にもたらすことができるからです。しかし、学術研究では、製品開発やイノベーションの領域における営業・販売組織が果たす役割についてはあまり注目されてきませんでした。また、一般的なマーケティングの教科書においては、営業・販売組織に焦点が当てられることは少ないですが、実際にはマーケティング活動の多くをマーケティング組織の従業員ではなく営業・販売組織の従業員が担っているような企業は珍しくありません。したがって、営業・販売組織は今後も研究の余地が大いにある興味深い領域であると言えます。 
 具体的な研究成果を取り上げてご説明すると、例えば、営業・販売組織が顧客関係の終結を上手くできることは、新製品開発の成果に対して正の効果を持つことが分かりました。また、新製品開発に対して顧客を関与させることも、新製品開発の成果に対して正の効果を持ちます。しかし、「終結」と「顧客関与」の間には次のような関係があることも分かりました。まず「終結」の準備(関係を終わらせるべき顧客を選定すること)は「顧客関与」と相乗効果を持ちます。一方で「終結」の実行(選定した顧客との関係を実際に終わらせること)は「顧客関与」とトレードオフの関係にあります。この結果から企業の営業・販売組織に対してどのような知見があるかというと、第一に、どの顧客との取引が利益を生んでいるのかを正確に把握しておくことと、好ましくない顧客に関する明確な基準を企業内部に設定しておくことに力を注ぐ必要があります。第二に、顧客ポートフォリオの考え方に従えば長期的・戦略的に考えて利益を生む顧客に集中し、望ましくない顧客との関係は終わらせるべきですが、実際に終結に取り組む際にはそれが予想外の副作用をもたらす可能性に注意が必要です(2023年発表のInvestigating the main and interaction effects of customer relationship termination and customer involvement on the new product development outcomeより)。
 今後の研究については、BtoB市場だけでなくbusiness-to-consumer市場へも研究範囲を広げ、均一的に捉えられてきた営業・販売組織の類型化と類型ごとの事業成果との関係を明らかにしようとしています。

メッセージ

 近年ではマーケティングの適用範囲は企業活動に留まらず、様々な分野に拡大しています。マーケティングについて学習することは、今後どのようなキャリアを歩むとしても、きっと役に立つはずです。皆さんと一緒に様々な社会課題に興味を持ち、どのような形でマーケティングを適用できるかを考え、学んでいきたいと思います。

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