コーポレート・ファイナンス
(論文)
"Competitive Position and Cash Holdings: Evidence from Japanese Listed Firms",金融経済研究, 2021
"Expansionary monetary policy and credit allocation: Evidence from China", China Economic Review, 2021
(その他の研究業績)
Measuring Market Power in the IPO Underwriter Industry. WINPEC Working Paper Series No.E2108 (査読なし)
Orihara, M., Ogura, Y., & ○ Cai, Y. (2020). Borrowing in Unsettled Times and Cash Holdings Afterwards. Available at SSRN 3447083.
(所属学会)
・2018 年 4 月 1日、日本ファイナンス学会(現在に至る)
・2018 年 4 月 1日、日本金融学会(現在に至る)
(学会発表)
・Measuring Market Power in the IPO Underwriting Industry 2021年5月30日 日本金融学会
・Expansionary Monetary Policy and Credit Misallocation: Evidence from China 2019年11月8日 第14回応用計 量経済学コンフェレンス
・Expansionary Monetary Policy and Credit Misallocation: Evidence from China 2019年5月25日 日本金融学会
・Belief Updating on Bank Credit Availability and Cash Holdings 2019年3月20日 第3回TCER金融シュニアワークショップ
・Expansionary Monetary Policy and Credit Misallocation: Evidence from China 2019年3月14日 日本経営財務研究学会ファインナンスキャンプ
・Belief Updating on Bank Credit Availability and Cash Holdings 2018年11月23日 第13回応用計量経済学コンフェレンス
・Competitive Position and Cash Holdings: Evidence from Japanese Listed Firms 2018年6月24日 日本ファイナンス学会
・Competitive Position and Cash Holdings: Evidence from Japanese Listed Firms 2018年5月26日 日本金融学会
これまでコーポレート・ファイナンスの問題を取り扱い、コーポレート・ファイナンスと実体経済の相互作用に焦点を当ててきました。
単著論文“Expansionary Monetary Policy and Credit Misallocation: Evidence from China“は、2008年金融危機への対応として中国で実施された金融緩和が、生産性の低い企業の資金調達を相対的に増加させて、資源配分の歪みを深刻化させたことを中国企業の財務パネルデータから実証的に明らかにしています。以上の実証結果は、金融緩和が企業間の資源再配分に影響することを示唆しており、金融政策を評価するに当たって無視できないチャネルであることがわかりました。
単著論文“Competitive Position and Cash Holdings: Evidence from Japanese Listed Firms“は、産業内における各社の競争優位性と現金保有の関係を実証的に明らかにしたものです。競争劣位にある企業は倒産リスクに直面する可能性が高いため、これに備えて現金を厚く保有する傾向があることを日本企業の財務パネルデータから明らかにした実証研究です。企業が製品市場に合わせて財務政策を調整するという観点から現金保有という行動を経済学的合理な行動として捉えることができます。
今後については、金融仲介機関や金融市場に重点を置いて金融経済学・産業組織論の分野横断的な研究に注力したいと考えています。最近は、公募増資の競争環境について研究しています。
講義では、受講生が講義で学んだ知識を習熟し、活用することを重視しています。主に、
1)講義の主体とする受講生の思考を引き出す、
2)応用の観点から出発し、授業内容を理解してもらうという二つの視点から目標を達成したいと考えています。
学生には、授業内容をただ与えられた事実として捉えることが望ましくないことです。その代わりに、論題となっているモデルや理論の仮定と論理的整合性を明確にして、授業の中で批判的に議論できるようにしていきたいと思います。単なる聞いている時間が延長されることで、学生の集中力が落ちる可能性が高いです。それを防ぐためにも、一方的に聞くのではなく常にやりとりがあるよう工夫します。また、学生が経済理論と現実世界の応用を結びつけ、可能であれば学生自身が経済分析を行う機会を提供することを目指しています。
経営学における実証研究の比重が高まり続けていることを考えると,理論を実証的な視点から考察することも重要です。講座で教わった実際のデータやその分析・推計結果を、グラフや表という形で多く講義資料に入れます。説明する際に、理論の仮定が何であるか、その仮定が事実と一致しているか、理論の結果が現実をどの程度説明しているのかを学生に考えさせるように気をつけたいです。
皆さんと一緒にまだ答えが分からない社会課題について考えて、新しい知識を生産するという作業に挑戦したいと思います。