サプライチェーン・マネジメント、オペレーションズ・マネジメント、経営情報システム
日本経営情報学会、日本オペレーションズマネジメント&ストラテジー学会
背伸びをして、少し手を伸ばせば届くくらいのところに目標を設定して講義をします。座って聞いているだけではなく、手と頭をしっかり動かしてください。理解への一番の近道は、実際に自分自身でやってみることです。周りの人と議論する時間もどんどん取っていきます。手応えを感じながら、「なるほど!」と腹に落ちる経験をたくさんして、新しいことを学ぶ喜びを知ってもらいたいと思っています。講義では、皆さんの頭の中に、考える枠組みや、物事を見る眼鏡を植え付けるお手伝いをします。いろいろな興味深い事例を見て聞いて、「へー」と思っているだけでは雑学で終わってしまいます。自分の身近なところから、社会で起きていることまで、様々な事象・事例を、講義で得た眼鏡を通して理解し、枠組みに当てはめて考えることによって、「へー」の先に、学びや気づきを得ることができるようになります。自分自身の内側から得た学びや気づきが、皆さんにとって一生物の武器となっていくことを期待しています。
学生時代、私はいく人もの恩師からいくつもの宝物をもらいました。その宝物のひとつが「問題を正しく定義できれば、その問題の80%は解けていると思っていい。」という言葉です。私たちが生きていくのは、予め問題が丁寧に提示され、その上、巻末をめくれば解答が示されているような世界ではありません。私たちは日々、何が問題なのか分からない、そこに問題があるのかもよく分からない、そんな問題状況の中で生きているのです。演習では、こうした複雑な問題状況から解くべき課題を抽出し、自分たちで扱うことのできる問題として定義するところから、丁寧に行っていきます。設定された問題にどう立ち向かうか。ここにはAならばB、BならばC、と積み重ねていく論理性が必要ですので、論理的に考えを展開するトレーニングもしっかり行います。とはいえ、出発点となるAを正しく、そして魅力的に設定するための感性は、教室にこもって、本やパソコンとにらめっこしているだけでは磨かれません。現場、現物、現実を自分自身で、見て、感じて、聞いて、仲間と語らい、考えながら、経験を通して感性は磨かれていくのではないでしょうか。様々なことに積極的に挑戦して、たくさんの成功や失敗を経験してください。心が大きく小さくゆさぶられるような、琴線に触れる多くの体験をしてください。演習でも、そうしたきっかけを提供していきたいと思っています。
サプライチェーン・マネジメント(以下、SCM)を主な研究テーマとしています。人ひとりでできることが限られているのと同じように、どんなに頑張っても、企業が個社でできることには限りがあります。モノやサービスの提供プロセスを効率化し、顧客への提供価値をより向上させるためには、サプライチェーンで繋がる企業同士の協働が必要とされます。さらには、同じ業界で競争する競合企業との資源共有、プロセスや情報交換方式の標準化なども不可欠です。企業の強みを伸ばす競争領域での取り組みと、生み出す価値を異次元に引き上げるための業界協働領域での取り組み。デジタル化とビジネスプロセスの再設計が急務の課題となっている今、ダイナミックに変わろうとするSCMは大注目の分野です。最先端の事例を捕捉しつつ、古典的な理論を掘り返し、そこから消費者の新たな生活スタイル、少子高齢化や環境問題といった社会的課題に応えるための新たな理論構築を目指しています。
「知っていること」と、「やったことがあること」とは、似て非なるものです。「知っていること」の棚を増やすことももちろん大切ですが、大学時代は「知っていること」→「やったことがあること」に変えるうってつけの時間です。機会を捉えて、どんどん挑戦して欲しいと思います。大学には、各分野のエキスパート、図書館、友人、ゼミ、コンピューター、ソフトウェアなど、挑戦するための資源が豊富に揃っていて、かつ、安心して失敗できる環境があります。何度も試行錯誤を繰り返すことができる最高の環境で多くの経験を積み、知っているだけでは得られない、勘を身につけましょう。