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キャリアデザイン、人材マネジメント
これまで日系企業や米国の特定非営利法人に身を置いて、組織における経営資源としての人材について考えてきました。人材という重要な資源の特徴の一つは、個人のモチベーションや継続的な成長(時には停滞)により生産性が上がったり、下がったりすることです。社員がいかに生産性高く、やりがいを持って働くことができるかは企業経営の中心テーマであり、私自身も実務家として働く環境を整備したり、人事制度を設計したり、人材育成施策を展開したり、組織文化を変革する取り組みを先導したりしてきました。
昨今のダイナミックな社会変化のなかで、組織と個人の関係性が改めて問われ、個人のキャリアの捉え方も変わり、会社や組織に自身のキャリアを委ねる時代から主体的に自身のキャリアを考える時代へと変化しています。組織も個人もそれらを取り巻く社会や環境からの影響は逃れられません。今という時代背景を踏まえつつ、組織の競争力と社員のキャリア開発という観点に立って、組織と個人はそれぞれ何をすべきか追求していきたいと思います。
常態として起こる環境変化の中でも、学生一人ひとりが自分らしい働き方、生き方を考え、構想し、決定し、時には修正し、前進する力を修得することがテーマです。人は未来を確実に見通すことはできませんが、授業で扱う長年の研究成果の結実としてのキャリア理論、先輩たちの個性あふれるキャリアの物語、多様な背景をもつ同級生の独自の視点などは未来を考えるにあたって大いに参考になります。また、キャリアの主人公が自分である限り、自身を主観的、客観的に捉え、深耕理解する力や理論や事例を自分と照らし合わせて考え、応用できる力は重要です。そのために授業では、理論と実践の統合を基盤として、自分との対話(内省)、他者との対話(1on1)、グループディスカッションなど複数のコミュニケーション手法を活用し、学生の学びを支援します。
また、副次的テーマとしてグループワークやディスカッションを通して、協働の中でリーダーシップを発揮し、異なる意見を論理的に整理し、意思決定や合意形成に導くといった社会人として重要なスキルセットの習得を扱います。
学生生活を存分に楽しんでください。勉強や研究による知の追求はもとより、学内外のコミュニティ活動への参画、アルバイトなど働く経験、新しい人々との出会いや仲間づくり、趣味への没頭などそれぞれの関心や好奇心に基づいて、やりたいことにうまく時間配分しながら、時には広く、時には深く、色々な経験をして欲しいと思います。
そして、学生時代の知的で社会的な活動、心身の鍛錬や挑戦、友情などを通して自らを育んでいくことに、本質的な楽しみを見いだして欲しいと思います。