竹原 有吾(タケハラ ユウゴ)教授

竹原 有吾 教授

竹原 有吾(タケハラ ユウゴ)教授
経営学科:企業家史、経営史、ユダヤ史

略歴

2017年: 東京大学大学院 経済学研究科 博士後期課程修了(博士(経済学))
明治学院大学 法と経営学研究所 研究員を経て
2018年:学習院大学 経済学部 准教授
2024年:学習院大学 経済学部 教授
 なおフンボルト大学(2014年10月〜2015年3月)、ルートヴィヒ・マクシミリアン大学(2015年4〜9月)、ハーバード大学(2024年8月〜2025年1月)において客員研究員。

連絡先

  • E-mail:add_yugo_takehara.png

研究分野

企業家史、経営史、ユダヤ史

主要業績

  • 「市民的な統合と宗教的マイノリティの企業家精神:19 世紀末ベルリンのユダヤ教徒の同化・解放と大会社AEGの成立」『経営史学』第50 巻第1 号,27-49 頁,2015 年。
  • 「19 世紀半ばベルリンの市民社会における利害関係の世俗化:ユダヤ教徒の解放のはじまりからベルリン商業銀行の設立まで」『社会経済史学』82 巻3 号,115-133 頁,2016 年。
  • 「18 世紀プロイセンの絹織物業の発展とユダヤ教徒の企業家活動:商人の工場主化による『国家的共同体』の基盤形成」『経営史学』第52 巻第3 号,3-25 頁,2017 年。
  • 「16 ~ 19 世紀ベルリンのユダヤ教徒の企業家精神:ドイツの経済発展と世俗化」博士論文(東京大学大学院経済学研究科),2017 年。
  • 「16~18世紀ベルリンのユダヤ教徒の企業家活動と貨幣鋳造業-都市と国家の世俗化の差-」『経済論集』第56巻第1・2合併号, 119-135頁,2019年。 
  • 「17~18世紀ドイツの宮廷ユダヤ教徒台頭の社会・経済的な要因」『経済論集』第60巻第2号,159-178頁,2023年。
  • 「AEGのペーター・ベーレンス雇い入れの歴史的な背景-経済市民層のユダヤ教徒の同化と教養-」『経済論集』第60巻第3号,217-234頁,2023年。

学外での活動

経営史学会、社会経済史学会、政治経済学・経済史学会、企業家研究フォーラム、日本ユダヤ学会

講義・演習の運営方針

 学生の皆さんには経営史(企業家史)の講義や演習を通して、これから社会で生きていくうえで指針となるような「哲学」を見出していってもらいたいと考えています。せっかく経済学部に進学したのですから、経営学の科目では、企業や銀行の経営に関する技能や戦略的な見方を身に着けたいと思う方が多いのではないかと思います。しかしいくら経営に役立つ技能を身につけ、ライバル企業を負かす戦略を構築できるようになったとしても、それだけではあまり意味がありません。長期的な視野に立って企業や銀行の進むべき方向を確定できなければ、高度な技能があっても宝の持ち腐れになり、ライバルの意表を突くような戦略は市場をざわつかせるだけの喧嘩の道具にしかなりません。そうした状況に陥らないように皆さんに関心を持ってもらいたいのが、経営史(企業家史)や経済史といった歴史研究になるわけです。
 私たち人間が積み重ねてきた歴史を振り返ることには、大きな意義があります。歴史の流れをできるだけ正確に捉えようとすることで、物事が現在の状態に至る過程が明らかになるだけでなく、人々が歩んでいくべき方向も自然と見えてくるのです。歴史を丁寧にたどっていけば、短期的には逆行するような事例や現象がいくつかあったとしても、長い時間軸で見ることで、そこに大きな歴史の流れがあることに気付くことでしょう。経営史(企業家史)の講義や演習を通して、皆さんにはそうした歴史の流れをできる限り正確に読み解けるようになってもらいたいと思います。そのうえで、自分自身もまたその歴史の流れの一部を形づくる存在であることを自覚し、これからの社会の発展に積極的に貢献できる人間へと成長していってもらいたいと考えています。
 講義や演習では、歴史の流れを把握しやすい事例として、さまざまな企業家を扱っていきます。

研究の概要

 経済発展の重要な担い手である企業家が、これまでの長い歴史の中でどのように生み出されてきたのか。私はとりわけ19世紀以降の欧米において、さまざまな分野で卓越した人材を数多く輩出してきたユダヤ人に着目し、その研究を進めてきました 。
 企業家研究の中には、企業家が生み出されるメカニズムを歴史的な時間軸から切り離して明らかにしようとするものが少なくありません。企業家史と呼ばれる分野においても、歴史の教訓のみに注目したり、歴史上の企業家を類型化するにとどまったり、企業家を生み出した歴史的な背景への十分な考察を欠いたまま、史実の記述に終始している研究が目立ちます。こうした研究方法で企業家精神の原動力を高い精度で明らかにすることは、容易ではありません。私は企業家が生み出されるメカニズムを解明するために、企業家が現れる社会的な背景に着目する歴史学的な分析方法を採用し、経済発展やビジネス成長の根源となる企業家精神の本質を明らかにすることに注力してきました。
 ユダヤ人を対象とする企業家史の研究を行うのは、ユダヤ教の教えやユダヤ人の経済活動が資本主義の発展やビジネスの成功と結びつけて論じられることが、国内外を問わず今日まで広く見られてきたためです。しかし、そのような言説には、たとえ学術研究の成果として社会に発信されたものであっても、偏見を含んでしまっているものがありました。研究者本人に差別的な意図がなくても、偏見を含む議論は、結果としてユダヤ人を否定的に捉える思想や運動に学問的な正当性を与えたり、人々の間にユダヤ人への不信や反感を広げたりするようなことが起こりえます。ユダヤ人の企業家精神を正しく評価することは、企業家を生み出す社会のあり方を歴史的に明らかにするだけでなく、ユダヤ人差別の原因について理解を深めていくことにもつながると考えています。このような考えにもとづき、ユダヤ人の企業家精神に関する歴史研究に多面的な視点から取り組んできました。

メッセージ

身の丈に合わない大きな野望を抱いて生きていると、人生はなかなか思い通りには進まないものです。しかしそうした夢や希望を妨げる障害や困難を一つ一つ取り除いていくと、その過程で今までできなかったような経験を積めたり、新たな視点や考え方に気付かされたりすることが多々あります。自分自身の将来を決めつけず、理想を高く持って、互いに切磋琢磨していきま しょう。

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