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消費者行動論。特に、消費者の購買意思決定プロセスに関する認知科学的な研究。具体的には、消費者の情報処理プロセスに与える関与や知識の効果に関する研究、店舗内における消費者の購買行動に関する研究、等に取り組んできました。現在は、種々のブランド関連問題(ロングセラー・ブランド、ブランド体系、地域ブランド、等)や消費者のライフコース研究にも関心を持っています。
日本商業学会、日本消費者行動研究学会、日本マーケティング学会
本学を卒業後、他大学の大学院に進学、その後、関西で就職し11年間勤めた後に、母校の学習院へ戻ってきました。関西では神戸に住んでいたため、阪神大震災に遭遇し、少なからず人生観が変わりました。そこで得た教訓は「今を生きる」(ロビンウイリアムズ主演の映画のタイトルと同じですが)ということ。これは決して刹那的な意味ではなく、今現在を悔いなく生きることが大事だということです。4年間という時間(ある意味では、猶予期間)を使って、一生の思い出、友人、等を創って欲しい。何事にも好奇心を持って積極的に取り組んで欲しい。出来れば、その中に学業・勉学が含まれんことを願っています。
学部の講義について
今年度は「消費者行動」と「マーケティング」、学部・大学院共通科目である「経営学特殊講義(現代消費論)」などの科目を担当しています。講義のスタイルは、各科目共通して、パワーポイントを使ったプレゼンテーションを基本とし(随時資料をPDFで配信)、これにゲスト・スピーカー(企業の実務家)の講演、商品開発や広告コミュニケーションの事例・実例を組み合わせ、出来る限り具体的且つ日常生活に結びつけた理解が可能になるよう努力しています。例えば、これまでゲスト・スピーカーとしては、トヨタ自動車、ソニー、花王、資生堂、マンダム、武田薬品、キッコーマン、セブン・イレブン・ジャパン、電通、博報堂、ADKといった企業の第一線で活躍するマーケターの方々にお話し頂いています。また、市販のビデオ教材に加えて、テレビ番組(各種報道番組の経済・経営関連の特集)を使用したり、ACC(全日本CM放送連盟)所蔵のテレビCF素材も随時提示しています。ただ、マーケティングは企業活動の中でも比較的目に触れやすい部分ですが、単なる身近な事例として表層的に捉えるのではなく、その背後にある論理や物事を捉える枠組みについても考えて頂きたいと思っています。
学部の演習について
例年、演習では、「消費者行動分析とマーケティング戦略」をテーマに、2年次、3年次の1年半は主にグループ単位、4年の半年間は個人単位で研究を進めていきます。具体的には、ゼミ生が特に関心を持ったマーケティング問題(新製品開発、広告コミュニケーション、ブランド戦略、等)をテーマに、最終的な報告書の完成と提出を目指して、グループや個人での調査研究と発表(プレゼンテーション)を重ねていきます。この過程で、インターネットを使った情報収集と業界分析、企業への取材やグループ・インタビュー、アンケート調査の設計・実施とデータ分析など、マーケターとして必要なスキル(情報収集力、分析力、企画力、プレゼンテーション力、等)を修得できるように配慮しています。また、ここ数年は企業とのコラボで商品開発や共同研究に取り組んでいます。将来的に企業のマーケティング部門に進むかは別として、知的好奇心と実行力に富む学生諸君の参加を切望しています。
大学院の授業・演習について
例年、「消費者行動特殊研究」、「消費者行動演習」などを担当しています。特殊研究では、学部・大学院共通科目として、現代消費社会の諸側面(大衆消費社会の成立過程、生活領域ごとの戦後消費の歴史、マス・メディアや通信技術の影響、ライフコース変化の影響、等)について議論していきます。
最近の研究テーマについて
冒頭の「研究分野」にも書きましたように、元々は、マーケティング論の中でも、「消費者行動論」という領域を専門としています。ただ最近では、特に、企業のブランド戦略に関心を持って研究を進めており、その関連で、広告コミュニケーションの研究にも取り組んでいます。マーケティングの世界では、一方で、他社の製品に対して十分に差別化できず「価格で勝負」せざるを得ない製品を「コモディティ」と呼び、他方、明確な差別化ポイントを持ち、その意味や価値を消費者が理解してくれている製品を「ブランド」と呼んで区別しています。ある意味で、マーケティングとは、製品の脱コモディティ化、更には、ブランド化のための活動に他ならず、表面的な見え方はともかく、結構本質的な問題に首を突っ込んで研究しています。
また、最近では、継続就業する女性の増大、晩婚化、晩産化の進展などを反映して多様化する女性の「ライフコース」(就学、就業、結婚、出産といった人生行路)と消費との関係についても興味を持って研究しています。