萱場 豊(カヤバ ユタカ)教授

萱場 豊 教授

萱場 豊(カヤバ ユタカ)教授
経営学科:行動経済学・実験経済学・応用計量経済学

略歴

  • 2002年:東京大学経済学部経済学科卒業
  • 2002 – 2004年:財務省理財局・国税庁札幌国税局
  • 2007年:東京大学大学院経済学研究科 経済学修士
  • 2012年:カリフォルニア工科大学人文社会科学研究科社会科学 Ph.D.コース修了
  • 2013年:東京大学大学院経済学研究科 助教
  • 2015年:一橋大学 社会科学高等研究院 特任講師
  • 2017年:東京大学大学院経済学研究科 特任講師(のち講師)
  • 2025年:学習院大学経済学部経営学科 教授

連絡先

E-mail:add_yutaka_kayaba.png

研究分野

行動経済学・実験経済学・応用計量経済学

主要業績

  • “Two Experiments on Trading Information Goods in a Network,” 2024, Games and Economic Behavior 145, p1-18 (with Nobuyuki Hanaki, Jun Maekawa & Hitoshi Matsushima)
  • “The Effect of Framing in Sealed-Bid Auctions: Theory and Experiments,” 2023, CARF Discussion Paper, CARF, CARF-F-567 (with Jun Maekawa & Hitoshi Matsushima)
  • “Accuracy and Retaliation in Repeated Games with Imperfect Private Monitoring: Experiments,” 2020, Games and Economic Behavior 120, p193-208 (with Hitoshi Matsushima & Tomohisa Toyama)
  • “How Do People Procrastinate to Meet a Deadline?,” 2016, HIAS Discussion Paper, HIAS, HIAS-E-33
  • 「チームか、個人か:インセンティブが子どもの学習生産性に与える効果」 2016, RIETI Discussion Paper, RIETI, 16-J-028 (with Makiko Nakamuro)
  • “Nonparametric Learning Rules from Bandit Experiments: the Eyes Have It!,” 2013, Games and Economic Behavior 81, p215-231 (with Yingyao Hu and Matthew Shum)
  • 「日本の食料問題を考える生産者と消費者の政治経済学」2002,(第1章 『誰がための農業予算』, p.p. 39-102, NTT出版)

学外での活動

  • 所属学会:Econometric Society, Game Theory Society, 日本経済学会, 行動経済学会
  • 東京大学大学院経済学研究科社会的共通資本寄付講座と連携

講義・演習の方針

  1. 学部の講義について
    「経済原論」を担当いたします。現代の経済学の標準的な分析ツールを、ミクロ経済学(ゲーム理論の導入を含む)・マクロ経済学・ファイナンスの基礎を学ぶことを通じて身に着けていただきます。今日の経済学は、幅広い分野における様々な意思決定を、経済合理性の観点から研究する学問です。経済学の基礎的な分析ツールを学ぶことで、毎日の経済ニュースが理解できるようになるだけでなく、様々な場面での意思決定の質や燃費、すなわち、合理性を向上させることができます。是非、社会の問題を経済学の切り口で分析する視座を身に着けてみてください。

  2. 学部の演習について
    演習は、行動経済学に関する事象で、ゼミ生が関心を持ったテーマについて学習や調査・研究を行います。行動経済学は幅広い社会問題と多かれ少なかれ関係するのでテーマの選択の幅は広く、きっと各人の関心が高いテーマを見つけることができるかと思います。問題をよく調べる能力、それを多角的に深く掘り下げて考える能力、そして、考えたことを資料にまとめて他人に伝える(プレゼンテーションする)能力(及び、必要に応じて簡単な統計解析や数値シミュレーションで分析する能力)を身に着けることを目的としますが、こうした能力は就職活動や社会に出てからきっと役に立つでしょう。他のゼミ生と様々な形で交流しながら、是非、こうした能力を身につけてください。また、そうした交流の中で、グループで協力して何かを成し遂げることの喜びも学んでください。

  3. 大学院の講義・演習について
    「経営科学特殊研究」では、経済学による金融理論(金融経済学)でのCAPMの導出とその実証結果、及び行動ファイナンスについて講義します。また、実証論文をしっかりと理解するために、最低限、統計分析(計量経済学)の基礎的な技術を習得しておく必要があることから、統計(計量経済学)の理論、モンテカルロ・シミュレーションを用いた理論の検証、及びそれを実装するプログラミングをまとめてカバーする演習(「データ解析演習」)も設けています。

研究テーマ

私の研究分野は行動経済学全般になります。行動経済学は、人々の実際の意思決定の背後にある要因を明らかにする研究分野になります。これまで、人々の様々な意思決定を、被験者を募って行う経済実験や現実のデータを通じて実証的に明らかにする研究に取り組んできました。
これから取り組もうと考えていることは、社会的責任を果たそうとする営利企業とそれを支える市民の活動やその動機についての調査・研究、及び活動の支援です。社会のサステナビリティが強く意識されるようになった現代社会においては、元来は自己の利益追求を第一としてきた営利企業であっても、環境保護や貧困の削減、地域社会の活性化等、社会全体の利益を積極的に志向していくことが求められています。そして、このような自社の利益を超えて社会全体に利益をもたらす活動の原資については、銀行を通じた与信や政府を通じた補助金ではなく、それぞれの課題に関心の高い市民からクラウドファンディングで調達する時代へと変化してきています。また、今後、サステナブルな経済を築くためにはサーキュラーエコノミーの考えが非常に重要になってきますが、消費者がそのような活動に積極的に取り組むようになるため、すなわち、消費者の行動変容を促すために、企業や行政がどのような施策を行うのが効果的であるか明らかにしていく必要があります。東京大学大学院経済学研究科の社会的共通資本寄付講座や協力企業と連携して、社会全体の利益を志向する営利企業の新しい取り組み・経営のあり方や、それを支える市民の活動やその動機について調査・研究、及び活動の支援を行っていきたいと思っています。

メッセージ

私は大学2年生まであまり熱心に勉強をしてこなかったのですが、大学2年生の終わりに経済学に触れて、人生で初めて学問に魅せられて本格的な勉強を始めました。所属していたサークルで、研究者を目指して熱心に学業の魅力を伝えてくれる友人が多くいて、彼らから受けた影響も少なくなかったと思います。おかげで、今でも経済学を勉強することは大変な喜びです。勉学には限らずとも、学生のうちに様々なものに触れたりひとに出会ったりすることで自分の興味関心を広げることができたならば、きっと充実した人生を送れるかと思います。あなたが一生を通じて打ち込めるものが見つかるといいですね。学生のうちに見つけることができなくとも、きっとその後の人生で見つける切っ掛けになることでしょう。様々な人々と交流し、様々なものに打ち込んでみて下さい。それが学業であるのであれば、講義や演習を通じてできる限りのお手伝いをさせていただきます。

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