石井 晋(イシイ ススム)教授

石井 晋 教授

石井 晋(イシイ ススム)教授
経済学科:日本経済史

略歴

  • 1992年:東京大学経済学部卒業
  • 1997年:東京大学大学院経済学研究科を経て、学習院大学経済学部に着任
  • 2000年:経済学博士取得
  • 2002-04年:Visiting Scholar, Stanford University

連絡先

E-mail:add_susumu_ishii.png

研究分野

日本経済史(近現代)

主要業績

  • 『経済団体連合会五十年史』(共著)、1997 年
  • 「研究ノート-大分の石油・鉄鋼コンビナート建設をめぐって」学習院大学『経済論集』第38巻1号、2001年
  • 『三菱ガス化学30 年史』(共著)、2002 年
  • 『戦後日本の資金配分』(共著、東京大学出版会)、2002 年
  • 「転換期のアパレル産業:1970-80 年代の歴史」『経営史学』第39 巻3 号、2004 年
  • 「戦後日本の銀行経営-銀行間競争と大衆化-」下谷政弘・鈴木恒夫編著『講座 日本経営史 5 「経済大国」へ
     の軌跡』ミネルヴァ書房、2010年『
  • 日立事業発達史- 100 年の歩み-』、2011 年(共著)
  • 「第2部 プラザ合意・内需拡大政策とバブル(1985 ~ 1989年を中心に)」内閣府経済社会総合研究所監修
  • 小峰隆夫編『バブル/デフレ期の日本経済と経済政策(歴史編)1 日本経済の記録 第2次石油危機
     への対応からバブル崩壊まで(1970 年代~ 1996 年)』佐伯印刷、2011 年
  • 「流通-流通過程の革新と小売業の発展」武田晴人編『高度成長期の日本経済 高成長実現の条件は何か』有斐閣、
     2011年「
  • 消費者保護と企業―パロマ工業事故判決に対する理工系学生の反応―」学習院大学『経済論集』第48
     巻2 号、2011 年(共著)「
  • 市場開放及び規制緩和政策」通商産業政策史編纂委員会編・阿部武司編著『通商産業政策史2 通商
  • 貿易政策 1980-2000』第Ⅰ部第2章第2節、通商産業調査会、2013 年(共著)
  • 「原子力発電の効率化と産業政策―国産化と改良標準化―」RIETI Discussion Paper Series 14-J-026、
     経済産業研究所、2014年
  • The Japanese Apparel Industry and Consumer Society from 1950 to the 1970s, Haruhito Takeda Ed., Micro-Performance During Postwar Japan's High-Growth Era, Springer, pp3-37, 2016 年
  • 『日本経済の構造と変遷』(共編著、日本経済評論社)、2018年

所属学会

社会経済史学会 経営史学会

講義・演習の運営方針

日本経済史の授業は、19世紀後半から1970年代までの日本経済の歴史を取り上げます。できるだけ図表、映像などを交えながら、「歴史的に思考する方法」を身につけてもらうことを目ざします。高校までの歴史とは異なり、細かなことを覚えるよりも、歴史の複雑な因果関係を理解することが目標です。
演習では、資料収集、プレゼンテーションの手法を磨きながら、現代の日本のさまざまな社会問題・経済問題を取り上げ、歴史的に理解し、考えることを目ざします。

研究について、そのほか

私は、近現代日本の経済史を専門としています。
経済史は、歴史学と経済学の間にあり、実際の歴史の経済的な側面を解明したり、歴史の流れを経済学のツールを使って解釈したりすることで、時代を超えた長期的な視点、社会全体を包括するような大きな視点から、人類のさまざまな営みについて理解することを目ざしています。
経済史研究の具体的なテーマはとても多様で、私も大学院生の時以来、さまざまなテーマを取り扱ってきましたが、最近は特に、「知識は、社会をどのように豊かにするのか?」、あるいは、「知識は、社会を豊かにし得るのか?」といった問いを立てています。
このような問いを発するようになったきっかけは2つほどあります。一つは、日本は技術開発立国だと言われ、さまざまな研究開発に継続的に取り組んで来ているにもかかわらず、20世紀末頃から経済が停滞しているように見え、社会的にも閉塞感が蔓延しているように感じられるからです。世界的にも、格差が広がり、アメリカでは「分断」が進行しているといわれるように、多くの人々が経済的な豊かさを享受できていないように思われます。原始・古代以来、人類は多くの知識を蓄積してきたにもかかわらず、また、近現代には研究開発が加速してきたにもかかわらず、なぜ、このような事態が生じてしまっているのか。そうしたことをあれこれ、考えています。
問いのきかっけのもう一つは、2011年3月の東日本大震災の時の、東京電力・福島第一原子力発電所の事故です。この発電所は、アメリカや日本の重電機メーカーの設計によって、その時々の先端的な技術を駆使することによって建設されました。しかし、巨大地震・津波に対しては安全性が十分でなく、津波襲来時にはさまざまな問題が複合的に重なり、人類史上最悪の事故の一つを引き起こしてしまいました。原子力発電そのものの技術だけでなく、それを取り巻く安全管理の技術、バックアップ体制、ヒューマンエラーを防ぐためのノウハウなどさまざまな技術を総合的に取りそろえ、全体として合理的なシステムを築く必要がありましたが、それが十分にできていませんでした。原子力発電によってつくられた電力によって、社会は豊かになってきたかも知れませんが、爆発によって、多くの人々の生活や思い出が奪われてしまいました。そして、事故の影響はまだまだ続いています。
技術や知識の蓄積が、経済的な豊かさに結びつかなかったり、深刻な事故を引き起こしてしまったりした背景の一つとして、関係者の間で知識の共有が不十分であったり、知識が不適 切に利用されたりしていることが挙げられます。日本経済や企業 経営の歴史をたどりながら、このような、知識の蓄積と活用をめぐる課題を常に念頭に置いて、研究をしています。
研究以外では、音楽活動をしています。クラシック・ピアノ演奏、地元の小学生・中学生たちとの楽しくバンド活動などやっています。

メッセージ

みなさんが社会に出て、企業や組織に属するようになったとき、ただひたすら組織内のマニュアルやルールを覚え、組織の論理に従うことを求められることがあると思います。だいたいの場合は、組織に従うという行為に問題はないでしょう。しかし、時として、組織の論理に従った行動が社会的な害悪をもたらす場合もあり得ます。そのときは、なんとかして組織の論理に従わないで、生き抜く方法を見つけ出してください。
大学では、何も考えずに企業や組織に従う生き方ではなく、人類や社会にとって何が有益なのかという基準で、徹底的に考える習慣を身につけてください。

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