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マクロ経済学、日本経済論
[著 書]
[論 文]
[講義の考え方]
これまで、私は基礎マクロ経済学とマクロ経済学を交互に担当してきましたが、2020年度からはマクロ経済学を続けて担当しています。マクロ経済学に関しては、基礎マクロ経済学の講義で一通り、基礎的な概念を修得しているので、それを前提として、消費行動、投資行動、景気循環、景気安定化政策、経済成長を中心に授業を行う予定です。現在教科書(グラフィックマクロ経済学)の改訂作業を行っていますので、従来の教科書に加えて新たなトピックを加えていきたいと考えています。
アインシュタインは、「重要なのは知識よりも想像力だ」と述べています。マクロ経済学は、必ずしも身近な経済取引を説明するわけではないので、この想像力を必要とする学問分野です。実際、大学を卒業して社会に出ると、必ずしも身の回りの仕事をこなすだけでは十分ではなくなります。自分を取り巻くより広い環境を踏まえて意思決定する場面が多くなります。その際に必要なのは、合理的な思考に支えられた想像力です。
マクロ経済学の学習を通して、経済に関する想像力を養ってください。
また私は日本経済論Ⅱの講義も担当します。こちらは、ミクロ経済学やマクロ経済学で得られた考え方を、日本経済の様々な側面に応用していく講義です。経済学の利点は、学問の内容が単に概念や論理の記述に終わらず、現実を記述したデータで確認できる点にあります。したがって日本経済論IIの講義では、アベノミクスやコロナ禍での日本経済など、より最近の日本経済の動向について多くの経済データを使いながら授業を行います。
昨今データサイエンスという言葉が流行っています。
しかし、ただ単にデータを見てその変動を叙述するだけでは、現実の判断に役立ちません。データを見て、そのデータの動きを解釈し、様々な判断につなげていくためには、判断基準が必要です。
ミクロ経済学やマクロ経済学の理論はこの判断基準を提供してくれます。したがって、ミクロ経済学やマクロ経済学の理論をしっかり学んだ上で、経済データを利用する応用科目を学ぶことによって、実践的なデータサイエンスの考え方を身に着けることができると言えるでしょう。
[演習の考え方]
普段の演習では、マクロ経済学または日本経済論に関する本を数冊選び、それを読む過程で、疑問点等について議論をしていく方針をとっています。そして最終的には選んだ書籍に関するテーマでレポートを書き上げることを目指しています。また演習期間中に、工場見学などを行っています。2022年度は環境関連のテキストを使っていたので、品川の火力発電所を見学しました。
私は学習院大学に赴任して、20年余りをこの大学で過ごしました。
この間の研究分野は、主に生産性をめぐるトピックスです。経済の成長要因は、労働力の増加、資本蓄積、そして生産性の上昇によって支えられています。日本では、長らく低成長が続いていますが、これは単に少子化で労働力が増加していないだけでなく、生産性が低下していることも大きな要因となっています。生産性の問題は、経済学の祖であるアダム・スミス以来多くの経済学者が取り上げてきましたが、最近ではその計測方法が標準化され、国際比較も行えるようになっています。2018年に、「生産性とは何か日本経済の活力を問い直す」という新書を筑摩書房から出版しました。この本では、生産性に関する様々なトピックを平易に書いていますので、興味のある方は読んで下さい。
私は、人が成長する段階で、「好奇心」、「想像力」、「大局観」という3つの要素が大事だと考えています。
大学時代は、このうち「好奇心」を思う存分発揮して、様々なことに挑戦する時期だと思います。多少の摩擦は気にせず、臆することなく、いろいろな体験をして下さい。