Rtischev Dimitry(ディミトリ リティシェフ)教授

Rtischev Dimitry 教授

Rtischev Dimitry(ディミトリ リティシェフ)教授
経営学科:戦略行動、ベンチャー企業・起業家

略歴

  • 1989年:マサチューセッツ工科大学電気工学及びコンピュータサイエンス学部卒業、 同修士課程修了
  • 1989年~1994年:企業にて技術の研究開発
  • 1999年:カリフォルニア大学バークレー校経済学博士課程修了
  • 1999年~2004年:ベンチャー企業経営
  • 2004年~現在:学習院大学経済学部経営学科

連絡先

E-mail:add_dimitry_rtischev.png

研究分野

戦略行動論、比較制度分析、ベンチャー企業論

主要業績

  • "Talent vs. Wealth in a Credentials Race: A Theoretical Study" Gakushuin Economic Papers 58:3, 2021
  • "Competing to belong and working to pay for it: a socioeconomic model of the link between productivity and work-life balance" International Review of Economics 67(4), 2020
  • "Intensity of Effort in Contests with Few or Many Winners" Gakushuin Economic Papers 57:1-2, 2020
  • "A Study of How Pursuit of Wealth Rank Distorts Risk Preferences" Gakushuin Economic Papers 55:4, 2019
  • "Labor-Leisure Choice and Relative Income Concerns in the Shadow of the Housing Market" Journal of Economic Issues 52:3, 2018
  • "Net Buyers and Sellers of Labor: Linkage between Monetary and Time Inequality" Gakushuin Economic Papers 54:4, 2018
  • "A strategic behavior analysis of why ventures are risky for young people in Japan but not in Silicon Valley" Journal of Japanese and International Economies 44, 2017
  • "Evolution of Mindsight and Psychological Commitment among Strategically Interacting Agents" Games 7(3):27, 2016
  • "How the Sunk Costs of Incumbents Make Entrants Important for Innovation: A Model and Implications for Policy" Gakushuin Economic Papers 52:4, 2016
  • "Strategic commitment to pursue a goal other than profit in a Cournot duopoly" Gakushuin Economic Papers 49:2, 2012
  • "Evolution of vulnerability to pain in interpersonal relations as a strategic trait aiding cooperation" Journal of Evolutionary Economics 21:5, 2011

    全論文一覧表とPDFファイル >

学外での活動

日本ベンチャー学会、起業推進プロジェクト

バックグランドと研究について

 私は若い頃から様々な国や地域に移り住んでいました。そこで、異なる社会を比較することが習慣となり、どの生活方式や制度にも必ずメリットとデメリットがあると実感しました。
 私のキャリアパスにも変化が多くありました。大学でコンピューター工学を専攻し、卒業後はエンジニアリング、プロジェクトマネジメント、そしてベンチャー企業経営をしました。大学院で経済学を学んで大学教授になった後も、新技術・新製品やベンチャー企業に関心が高いです。ゼミ生と新商品を考案したり、若手起業家に助言したりするのは楽しいと思っています。一方研究では、なぜ日本の若者がアメリカ人ほど起業活動をしていないのかを解明しようとしています。既存企業に入社するのかまたはベンチャー企業で働くのかといったキャリアパスはリスクとしてはどう違うかを日米の若者の観点から比べています。キャリアパスのリスクを解明するために、社会や経済制度を背景に新規卒業者、既存企業、ベンチャー企業、起業家、および投資家の間のインタラクションを戦略的行動として分析しています。この一連の研究と自分自身の起業家としての経験を日本の学生にわかりやすく発信するため、「私も起業できる? ベンチャーで働く?」という日米対話形式の本を書きました。
 技術と経済の発展が重要だと考えている一方で、日本や欧米の先進国において一般の人々の人生満足度やワークライフバランスにはこの数十年間進歩がなかったことを懸念しています。この問題も戦略行動の観点から研究しています。具体的には、一人ひとりが自分の欲求と能力を考える上で、何時間勉強するのか、何時間働くのか、いくら借りるのか、どこに住むのか、何を買うのかを決めているという経済の中で、平均よりよい学校や就職先、住宅など限られているものを追求している人々の行動をゲーム理論とシミュレーションで分析しています。顧客や学生と職員の囲い込みを巡って争う企業や学校の行動、そして受験、就活、婚活、住宅を中心に競争している個人の行動、それぞれの戦略行動とその間の関係は複雑ですが、それを究明すればするほど、より良い学校、会社、商品、制度や政策が可能になると私は信じています。

講義・演習について

私の少人数の授業では、クリティカルシンキングという批評的思考を大切にしています。「当たり前」や「通常」といった先入観に頼らず、経営課題を分析する際に必ず自身の価値観に基づいて考えるべきと指導しています。クリティカルシンキングといったスキルを身につけるのには日常からの訓練が必要ですが、これは大手企業や政府機関から自営業やスタートアップまで、どの職場でも大いに役立つはずです。大学院に進学した場合でも不可欠なスキルでしょう。逆に言えば、クリティカルシンキングの無さが経営不振や不祥事、その他の問題をもたらす事例は少なくありません。一年生の経営入門演習から2、3、4年生のゼミまで、私は明確な正解のない難しい経営課題ばかりを教材にしています。それは、学生同士で意見交換を重ねた上での課題のソリューションを求めているからです。「どうしたらよいかは先生も含めて誰もわからないので、自分たちで話し合い、情報収集をして、対処しなければならない」と理解して学生は動くのです。各自の考え方を共有し、根拠となる情報も集め、コンセンサスに至るのです。次に学生が説明資料を作成して発表します。以上の活動を繰り返して、様々な課題を取り扱うことにより、学生はクリティカルシンキングを常に使うようになります。これは経営に限らず、社会のあらゆる制度の在り方や個人としてのライフパスに関してもより深く考えるようになるでしょう。

メッセージ

大学時代の4年間はマインドストレッチングのためのものだと考えてよいでしょう。そのたったの1461日を無駄に過ごすなんてもったいない。ゼミや講義、部活、サークル、読書、自習、合宿といった活動を通じて、毎日なにかしら新しい経験や知識を得る努力をして、自分をなるべく広く深くストレッチしましょう。

経営学科 教員一覧に戻る
chevron_right