Case 02
経済学部 経営学科
溝口凜々子(みぞぐち りりこ)さん
留学期間:2024年2月〜8月
溝口凜々子(みぞぐち りりこ)
韓国への留学を志したきっかけ

高校生の頃に韓国の食や文化、K-POPなどに興味を持ったことがきっかけでした。その頃から独学で韓国語を勉強していたのですが、大学に入ると、実際に韓国に行って語学を学びたいという思いが芽生えてきました。そこで、学習院大学の「協定留学プログラム」を利用して韓国に留学ができることを知り、また、2年生の時に国際センター(※)主催の韓国の大学での短期語学研修プログラムに参加してみて、本格的に留学することを決意しました。2年生の夏に準備を始め、書類申請や面接などを経て、3年生の2月から半年間、韓国の東国(トングク)大学へ留学することができました。  

(※)学習院大学内にある短期・長期の留学、海外研修をはじめ、国際交流に関する各種プログラムの情報提供・募集、その実施・運営、ならびに奨学金・助成金等の窓口。 

夜の大学のライトアップ風景
韓国での学習環境

私は留学先の東国大学での学習と並行して語学学校にも通っていました。平日の午前中は語学学校、午後は大学で講義を受けるというスケジュールです。語学学校には自費で通っていましたが、大学の授業に加えて韓国語のインプットやアウトプットの機会を得られたことで日常会話や実践的な表現を学ぶことができ、とても有意義だったと思います。 

東国大学の講義は学習院大学の留学プログラムの一環として受けているので、授業料を別途支払う必要はありませんが、語学学校は別途費用が発生します。ただ、交換留学生には25〜30%の割引が適用されるなどの制度もあったので、私はそれを活用していました。  

実際に韓国で講義を受けて感じたのは、韓国人の学生は授業中の発言がとても積極的だということです。また、儒教の影響が強い国ということもあって、先生とのコミュニケーションが日本よりも礼儀正しいような印象を受けました。兵役を終えた男子学生もいるので、体育の授業では規律などが日本よりもしっかりしているような印象でした。 

また、東国大学は仏教の学校であるため、「ヨガと自己理解」という科目があったほか、クラスメイトにお坊さん、尼さんがいらっしゃったことも印象に残っています。日本国内で勉強するだけでは分からなかった文化や価値観の違いにも触れることができたと思います。  

現地学生との交流、課外活動、イベント

留学したばかりの頃は語学に自信がなく、「授業についていけるかな?」「同級生とコミュニケーションがとれるかな?」と不安でしたが、課外活動を通じたくさん友人を作ることができ、徐々に不安は払拭されていきました。  

留学生向け野球観覧イベントにて友人と

東国大学では「グローバルバディ」という制度Language Exchange Program」という言語交換プログラムあり、韓国人の在学生がバディとなってさまざまなサポートをしてくれるほか、言語交換や文化交流をすることができます。この時バディとなった学生の1人とはとても親しい友達になり、留学中もよく一緒に出かけましたし、帰国した今でもSNSなどを通じ交流があります。その他にも初めての講義でたまたま隣になった学生とは、講義内で分からなかった内容を教えてもらいたくて話しかけたことをきっかけに仲良くなり、今でも連絡を取り合っています。

課外活動ではコーヒー研究サークルに参加していました。週一回程度メンバーと一緒に豆の種類や淹れ方による味の違いを分析・評価したり、カフェ巡りをしたり、大学祭でコーヒー販売をするなどの活動をしていました。約50人の在籍生がいる中で、私以外は全員韓国人の学生でしたが、積極的に参加していたので、韓国の同年代との関わりの中で、語学学校で習ったことをアウトプットしつつ、座学だけでは得られない貴重な学びが得られたことはとても良かったと感じています。  

大学祭でのコーヒー販売

留学中に大学祭が開催されたことも、とても印象的でした。日本の大学祭と比較すると、イベント自体がとても盛大です。参加していたサークルでコーヒーの販売をしたことも楽しかったですが、有名なアーティストのライブを無料で観覧できたのは所属学生ならではの経験でした。会場に入るのにも長蛇の列で、5時間くらい並びましたが、それもとても良い思い出の1つです。

元々K-POPが好きだったこともあり、プライベートでもライブや音楽番組の観覧に積極的に応募し、参加していました。また、語学学校の休暇では、釜山(プサン)や大邱(テグ)、慶州(キョンジュ)などソウル以外の都市を旅行したことも思い出深いです。習面や課外活動でも充実していましたが、エンターテインメントや文化もたくさん触れられたことはとても良かったです。   

大学祭で友人と
日常生活では苦労したことも

課外活動や友人たちとの交流で楽しみながら日々を過ごしていましたが、もちろん苦労もありました。  

留学中の住まいとして大学の寮もあったのですが、当時は共同生活に不安があったこともあり、コシウォンと呼ばれる単身者向けのマンスリーマンションに住んでいました。初めての1人暮らしだったこともあり、慣れない自炊や、生活様式の違いに少し苦労しました。韓国の水回りは、浴槽がなくトイレと洗面所が仕切りのない空間に配置されていることが多く、日本との違いに慣れずストレスを感じることもありました。 

家の近所の清渓川と夕焼け

また、私が住んでいたエリアは周囲が会社に囲まれた繁華街であったため近所にスーパーがあまりなく、オンラインで購入して宅配してもらうのが主流でした。日本とは野菜の種類や価格帯の違いもありますが、きゅうりを頼んだらズッキーニのように大きなものが届き、味も瓜臭く違和感を覚えて調べてみたら生食に向かないものだった、なんてこともありましたね チャメ(マクワウリ)と呼ばれる、韓国で夏によく食べられるメロンと似た味の果物があるのですが、とても気に入って一時期毎日のように食べていたこともありました 

日本とは異なるきゅうり
自炊料理が基本

他には、体調を崩した際に保険会社提携の病院はどうやって利用するか、クレジットカードの有効期限が近づいていないか、日本や韓国から宅配便を送る際の内容品のルールなどは事前によく調べておくべきだったと思うことがありました。学費や住居費等の金額が大きい場合、外国人は1日の取引限度額が低いため窓口でしか対応してもらえないこともありました。カード決済が主流とはいえ、現金を余分に持っておくと安心だと思います。宅配便に関しては、荷物の中に充電式のハンディファンが入ってしまっていることに気付かず、帰国前日に郵便局に呼ばれ荷物を詰め直すというハプニングもありました。 

寮生活だったら周りの人にも助けてもらえたかもしれませんね。日常生活での悩みごとを相談できたかもしれませんし、コストも安く済みますし、寮での生活も良かったのかもしれないなと今になっては思うこともあります。  

苦労もありましたが、困ったことはインターネットやSNSで調べたり友達に聞いたり、電話で直接聞いて乗り越えていけました。留学で困りごとはつきものですし、慣れない土地での1人暮らしを経験して「意外となんとかなるんだな」と自信になったように思います。  

現地で感じた韓国のマーケティングトレンド

こうした韓国での生活の中で、経営学の視点からもさまざまなことを感じました。  

まず、流行のサイクルが非常に早く、企業はSNS発のブームを素早く取り入れていました。「ドバイチョコレート」や「栗ティラミス」など、人気の商品がすぐに飲食店メニューに追加され、消費者の関心を引き続ける仕組みが印象的でした。  

また、ポップアップショップや展示会など、大規模な販促イベントが頻繁に開催されており、多くの企業が広報に力を入れていると感じました。特に、無料の試供品やフォトスポットを活用し、消費者のSNS投稿を促すマーケティング手法が多く見られました。  

さらに、消費者が口コミを重要視していることも興味深かったです。ブログや地図アプリ、出前アプリのレビュー文化が根付いており、企業側も評価を上げるためにサービス向上に力を入れていました。実際、出前アプリで注文すると、おまけの飲み物やメッセージカードがついてくることが多く、顧客満足度を高める工夫がたくさん見られました。  

このような韓国経済のトレンドについては、帰国後のゼミ活動で行ったパンの商品開発でもアイデアとして活用することができました。  

留学を経験して得たこと、今後の展望

留学前の私は、どちらかというとそこまで社交的でも積極的な性格でもなく、自分から誰かと仲良くなりにいくことや、課外活動などに参加するのは苦手なほうでした。ですが、韓国に留学してすぐに「待っているだけでは何も起こらない」ということに気が付き、積極的に行動することを心がけるようにしました。同級生にも自分から話しかけて交友の輪を広げたり、SNSなどを駆使して課外活動などの情報を自ら探しにいったりと、積極的に行動したことで充実した留学生活にすることができたと思います。日本に帰ってきてからも、積極的に行動していく、ということは大切に考えています。  

留学から帰ってきてからも韓国語の勉強は続けています。韓国人の友人とのメッセージのやり取りや、日常生活の中で韓国語に触れる機会を常に意識するようにしています。  

将来的には海外に関わる仕事に挑戦したいと考えていますが、もう一度韓国の大学に編入し、韓国語を使って学び、興味関心をより深めてみたいという思いもあります。 

これから留学を考えている方へ

留学先を決める時、周囲からは「英語圏に留学したほうがいいのでは?」という意見が結構多く、少し迷った部分もありました。ただ、実際に留学して感じるのは、留学先の国を選ぶことや、どの言語を学ぶかも大切だとは思いますが、自分がずっと育ってきた日本という環境の外、新しい環境での経験や交流こそが、語学だけではない、多文化理解や自分の視野を広げる貴重な機会になるということです。留学してみたいけど悩んでいる、という方は、ぜひ一歩踏み出してみてください。  

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