産業事情(日用雑貨業界)

現役の経営者がビジネスを解説

日用雑貨大手メーカーの現役役員が、マーケティングを解説。自身の経験に基づいた実践的な内容で、仕事の実態に触れることができる。


POINT

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「あなたは食器洗い機専用の液体洗剤『チャーミークリスタ』のブランドマネジャーです。ライバルに勝つために、どんな戦略を取りますか」

「産業事情(日用雑貨業界)」の講義を担当する榊原健郎講師は、学生にこう問いかけた。榊原講師は歯磨、歯ブラシ、洗剤などの日用雑貨及び一般用医薬品の大手メーカー、ライオンの取締役上席執行役員を務めている。

この「産業事情(日用雑貨業界)」は、日用雑貨を例に、企業がどんなマーケティング活動を繰り広げているかを、毎回事例を織り交ぜてわかりやすく解説する講義だ。日用雑貨業界そのものに対する理解が深まるだけでなく、事例を通してマーケティングの実務が理解できるように工夫されている。

第13回のテーマは「市場地位別マーケティング戦略」。「チャーミークリスタ」は、食器の油汚れとくすみに強い成分を配合した食器洗い機専用の液体洗剤として2006年6月に発売した。順調に推移し、2009年には当該カテゴリーでトップシェアを誇る。同年、ライバル企業が、チャーミークリスタの登場により下がったシェアを取り戻すため、商品の全面リニューアルを実施。その際にライオンが取るべきだった戦略を問うたのが、冒頭の質問だ。

当時、担当の事業部長だった榊原講師自身の経験をもとにした内容だけに、学生たちにとってはとても意義深い講義だったようだ。

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ライオンの取締役である榊原講師は、マーケティング理論が実務にどう応用されているかに主眼を置き、自身の経験に基づきながら講義を行っている。


マーケティング最新理論と業界の最新事例を同時に

榊原講師はこの講義の内容について次のように説明する。

「講義名が『産業事情』ということで、実務に軸足を置いた授業をしています。しかし、それだけだと業界の実状を単に解説したものになってしまう。それはそれで学生にとって面白いかもしれませんが、社会で使える知識・知恵に結実しない。基本的にはマーケティング理論の話をして、それが実務にどう展開されているか、また実際に起きたことを理論に即して解釈するとどうなるのか、などに主眼を置いて講義を行っています」

自身も学習院大学経済学部経営学科の出身である榊原講師が、経済学部で講義を担当するようになってから2017年で10年目。税理士、社会保険労務士、中小企業診断士といった資格に加え、経営学に関する科目で博士号を取得、仕事のかたわら、マーケティングに関する研究を続けている。研究で得た新しい知見を取り入れるのはもちろん、自身の職務上で起きた出来事なども積極的に取り入れていくため、講義は年々進化している。

産業界の最前線の動向を知ることは学生たちにとって刺激的であると同時に、今後のキャリアを考えるうえで大いに参考になるはずだ。榊原講師は先輩として、こうアドバイスする。

「普段『戦略』とか『市場』とか『システム』といった言葉をよく使いますが、その意味や考え方・とらえ方は人によって場面によって異なることが多々あります。会社での議論でも、言葉の解釈が違うと、成立しなくなる。言葉の定義を初めにきちんとする、その意味を理解する癖を、学生のうちに身に付けてほしい」

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チャーミークリスタ 講義で取り上げられた、ライオンのヒット商品である食器洗い機専用洗剤『チャーミークリスタ』。榊原講師も実際に、マーケティング戦略の立案・実行に事業部長としてかかわった。

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