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【受賞】人文科学研究科史学専攻 博士後期課程3年の菅原薰仁さんが「AI for Science の現在地 - academist Prize 第3期 企業賞発表イベント」でオーディエンス賞を受賞しました

2024.03.14

研究

人文科学研究科史学専攻 博士後期課程3年の菅原薰仁さんが、アカデミスト株式会社の「AI for Science の現在地 - academist Prize 第3期 企業賞発表イベント」でオーディエンス賞1位を受賞しました。

academist Prizeは、株式会社アカデミストが提供する若手研究者を対象とした研究費支援プログラムです。このプログラムでは、選考を通過した若手研究者8名が、学術系クラウドファンディングサイト「academist」を通じて1年間にわたり月額支援型クラウドファンディングに挑戦し、研究活動に関するアウトプットを通じて研究ファンをつくる取り組みを進めています。

「academist Prize 第3期」では、2023年12月、2024年4月および8月に、採択された若手研究者による研究発表が行われ、クラウドファンディングのサポーターや一般の方から注目を集めた研究者に対して表彰が行われます。

今回、菅原さんは2023年12月に行われた企業賞発表イベントで、参加者の投票によりオーディエンス賞1位を受賞しました。

菅原さんは、「AI×歴史学の現状と自身の研究の位置づけについて」発表しました。「AI×歴史学」についての先行研究の中に自身の研究を位置づけながら、以下の3点について説明しました:研究の意義、②academist Prize にチャレンジした理由、今後の展望について。

投票者からは「将来のために意識的に史料を残していくことの重要性を感じた」「過去の市民の生活や景観などを調べている際に写真などの史料の残りが悪い時がありますが、AIがその時の情景を語ってくれたら想像出来て助かると感じた」などの肯定的なコメントが寄せられました。

菅原薰仁さんの喜びの声

この度「オーディエンス賞1位」を受賞したことを非常に嬉しく思います。当日は緊張しましたが、自分なりのパフォーマンスを発揮できたと思っています。今回の受賞は私一人の力ではなく、関わってくださった全ての方々、そしてサポーターの皆様の日頃のご支援のおかげです。こうしたご協力があったからこそ、このような結果を手にすることができました。本当にありがとうございます。今後も一歩一歩、成長を続けていけるよう努めます。

菅原薰仁さんの発表内容

①「AI×歴史学」についての先行研究の中に自身の研究を位置づけながら、研究の意義説明

私は、「AIを活用し、近未来の社会に向けて「自ら語る史料」を残す」ことを目標にした活動を行っています。
「AI×歴史学」についての先行研究は、以下の3つに大別できます。

1つ目は「AIで史料を解読する」研究で、近年では、AI崩し字認識アプリ「みを」や、AI-OCRでくずし字を解読するスマホアプリ「古文書(こもんじょ)カメラ™」( 凸版印刷) の事例がそれに当たります。

2つ目は「対話形式AI」です。こちらは、仏教対話AIの多様化(https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2023-09-12-0)や、「BOT的形式によるAI語り部」(https://www.chunichi.co.jp/article/526840)がその代表例です。

3つ目は「AIを用いて記憶を「リブートする研究」で、庭田杏珠・渡邉英徳『AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争』(光文社、2020年)がそれに相当します。

実際の記憶を「リブート」しながら対話することを目指す私の研究活動は、上記の「対話形式AI」と「AIを用いて記憶を『リブート』する研究」の2つの流れに位置付けられます。

本研究は、法的・倫理的基準の遵守を重視し、適切な許可を事前に取得した上で進められます。その上で、「個人の記憶」を史料化し、その作成された史料をAIに読み込ませて「対話可能な史料」を生み出します。著作権などの法的課題を解決しつつ、後世に複線的な形で史料を残すことに取り組む点は本研究の強みと言えます。

また、「実際に社会実装すること」によって社会に役立てる視点を持つ本研究は、実社会に学問を役立てながら、同時に、歴史学の方法論を現代に合わせて進化させることが可能です。その意味で「所詮は文学者が書斎で発想した論にすぎない」という紋切り型の言葉に見られるような批判を退けることができ、昨今の「人文学不要論的な議論」に対しても意義を持つ可能性があります。

②academist Prize にチャレンジした理由

私の研究動機は、貴重な個人の記憶や歴史的な出来事の記憶が失われていく現状に対する危機感から生まれました。

私はこれまで歴史学・思想史を専門とし、特に北一輝という思想家を研究してきましたが、これまでの自分の活動を振り返ったときに大きな後悔が1つあります。それは、北一輝に関する渡辺京二さんのオーラル史料を残せなかったことです。2022年12月25日にご逝去されたことを聞き、「今、この瞬間にも零れ落ちている個人の記憶がある、史料に残さないとただ消えていく」という事実と向き合った時、様々な個人の記憶を消える前に掬い上げ、未来の人々が少しでも参照できるようにしたいと強く思いました。それが私の根幹にある動機です。

私は聞き取り調査等を丹念に行ったうえで、新しい形の史料をも残す本活動を通して「今、ここ、この瞬間」に零れ落ちている人々の「生きた歴史」を掬い上げたいと強く思っています。

③今後の展望について

チャットボット的な形なら、ハルシネーションを起こさずに運用することは既に可能です。しかし、対話感が薄まる課題があるため、今後はその改善に取り組みます。

※人工知能(AI)が事実に基づかない情報を生成する現象のこと。

関連リンク

Aacademist Prize 第3
https://prize.academist-cf.com/

AI for Science の現在地 - academist Prize 3期 企業賞発表イベント
https://www.corp.academist-cf.com/post/press231109