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【研究成果】交渉において、提案を拒否したら打ち切るという脅し(最後通牒)が有効なのはどうしてか

2026.04.07

交渉において、提案を拒否したら打ち切るという脅し(最後通牒)が有効なのはどうしてか


ポイント

  • 最後通牒では、それが受け入れられないと交渉を打ち切ると脅します。
  • しかし、交渉を打ち切れば脅す方も損することになるので、最後通牒は実効性がないのではという疑問があります。
  • 現実には最後通牒はしばしばみられます。本論文では、理論的にその理由を明らかにしました。

研究の概要

交渉は経済で重要な役割を果たしますが、効率性に焦点を当てる従来の経済学では十分にその仕組みを明らかにすることができていませんでした。ゲーム理論を応用し、交渉で何が起こるかを調べることは、経済学の進展に非常に重要な役割を果たします。本研究は、その一環として、2人交渉ゲームでの最後通牒について研究したものです。締め切りがある交互に提案する交渉で、交渉に費用が掛かり、かつ、打ち切るオプションがあるときは、プレイヤーは必ず最後通牒の戦略を取ることを示し、現実に最後通牒が広く見られることの理論的根拠を明らかにしています。

研究の背景

今日の経済学では、人間の関係を数学的に分析するゲーム理論の手法を広く取り入れ、取引について人々の行動の観点から分析を進めています。これにより、経済活動の分析をより詳細に行うことができるようになってきています。

研究の内容

交渉の過程をゲーム理論を使って分析しました。交互に提案する交渉では、プレイヤーは相手が次に最後通牒をしてくると予想すると、自分の提案が断られたら交渉を打ち切ります。交渉を続けるとコストがかかるのに、相手の提案からはなにも受け取れないからです。提案が断られたら、交渉を打ち切るということで、提案においては強い立場で臨むことができます。そこで、提案者は最後通牒として自分の取り分を最大にするように要求できます。交渉の費用が高いプレイヤーの取り分はどこかで必ず低くなるので、相手の提案からはほとんどなにも受け取れない状況は、締め切りがある交互に提案する交渉では必ず起こり、最後通牒が常になされることになります。

本研究成果が社会に与える影響(本研究成果の意義)

交渉は、経済取引の基盤となっており、それに対する理解を深めることは、われわれの経済活動への理解をより精緻なものにします。理論的研究が進むことで、将来はそれを応用し様々な経済現象が説明できるようになることが期待されます。

用語説明

※1 最後通牒:その要求を断ると交渉が決裂するような提案。英語では、take-it-or-leave-it offerとかultimatumと呼ばれる。

発表者

神戸伸輔

学習院大学経済学部

教授

論文情報

論文名:The prevalence of take-it-or-leave-it offers

雑誌名:Games and Economic Behavior, Volume 151, May 2025, Pages 42-58.

著者名:Shinsuke Kambe

URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0899825625000235

DOI: https://doi.org/10.1016/j.geb.2025.02.010