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学習院大学はJAXA火星衛星探査計画(MMX)に協力しています

2026.10.26

学部・大学院

研究

H3ロケット10号機による
火星衛星探査機(MMX)打上げ成功!

学習院大学は、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が主導する火星衛星探査計画MMX(Martian Moons eXploration)のサイエンスコミュニティ所属団体の一機関として協力しています。

特に、フォボスの複雑な形状や重力環境、地表の傾斜などを数値計算によって解析し、探査機が安全に着陸して試料を採取できる地点の選定に貢献しています。また、実際の探査に向けた準備として、模擬データを用いた訓練にも携わっています。

さらに、岐阜かかみがはら航空宇宙博物館で開催されている企画展「日欧宇宙展」(2026年10月17日~2027年3月15日)に展示されている、フォボス探査ローバー「IDEFIX」の実物大模型の台座となる地形模型の制作にも協力し、研究成果を一般の方々にわかりやすく伝える活動にも取り組んでいます。

MMX打上げ
2026年10月20日未明、屋久島から撮影したMMX探査機を搭載するH3ロケット10号機の打上げの様子。撮影地点は種子島宇宙センターから直線距離で約30 km離れていたが、ロケットの噴射による非常に明るい光を確認することができた。
フォボス地形模型
岐阜かかみがはら航空宇宙博物館に展示されている、フォボス探査ローバー「IDEFIX」の実物大模型。ローバーの足元に広がるフォボスの地形模型の制作に協力した。

理学部物理学科 菊地紘助教の解説とコメント

MMXは、火星の衛星フォボスから砂を採取して地球に持ち帰り、その起源や火星・太陽系の進化の歴史を明らかにしようとする世界初の挑戦です。フォボスがどのようにして生まれ、現在の姿になったのかは、いまだ多くの謎に包まれています。探査機による詳細な観測と、持ち帰った試料の分析によって、これまで解明できなかった謎に迫ることが期待されています。

私はMMX計画の初期からフォボスの研究に携わり、現在は探査機の運用や科学観測に関わる複数のチームで活動しています。その一つとして、探査機の着陸候補地点の選定にも協力しています。フォボスはいびつな形状をしており、重力が極めて弱いうえに、火星からの引力やフォボス自身の運動の影響も受けるため、地表の重力環境は複雑です。私はこうした影響を考慮して、地表での重力の向きや傾斜などを数値計算によって求め、探査機が安全に着陸でき、かつ科学的にも価値の高い場所を選定するためのデータを提供しています。

また、実際の探査に向けた準備にも協力しています。着陸候補地点の選定には、探査機の各観測機器で取得した膨大なデータを処理・解析し、安全性や科学的価値を評価する必要があります。しかし、実際の探査では、こうした作業に使える時間が限られています。そのため現在、模擬的なフォボスの観測データを用いて、データの作成・提供から解析、着陸候補地点の評価までの一連の作業を確認する国際的な訓練が進められています。私は、この訓練に使用する模擬データを作成する国際チームの取りまとめを担当しており、実際の探査で円滑にデータを提供できるよう、準備を進めています。

こうした研究活動に加え、岐阜かかみがはら航空宇宙博物館で開催されている企画展「日欧宇宙展」では、フォボスの地表を探査する小型ローバー「IDEFIX」の実物大模型の足元に広がる、フォボスの地形模型の制作にも協力しました。実際のフォボスの細かな地形はまだ十分にわかっていないため、この模型はこれまでの観測データと科学的な推定をもとに再現したものです。こうした展示を通じて、多くの方々にフォボスや宇宙探査への関心を持っていただければと思います。

今回、MMXの国際会議に参加するため訪れていた屋久島から、長年準備を進めてきた探査機の打ち上げを見届けることができ、大変感慨深く感じました。今後、これまで誰も間近で見たことのないフォボスの姿が明らかになり、私たちの予想とは異なる発見もあるのではないかと楽しみにしています。新たに得られる観測データをもとに、フォボスの地形や表面環境への理解を深め、安全な着陸と試料採取の実現に貢献していきたいと考えています。

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