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政治学科のゼミ 「ヨーロッパ政治史演習」

小宅翔

2019.04.01

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STUDENT'S VOICE

先生の質問が、
新たな気づきにつながる

小宅翔

法学部政治学科3年 東京都・私立学習院高等科 出身

いまだ地域間に様々な隔たりの多い世界ではありますが、「中央政府を設けて世界連邦とする」などの理想に関心があります。そういった理想を追いかけるうえで、現在の世界で最も統合が進んでいるEUについて学びたいと思い、欧州統合をテーマとする飯田芳弘先生のゼミに参加しました。網羅的にEUについて学びつつ、主にポピュリズムに焦点を当てて議論しています。11名という程よい少人数のゼミのため、全員が議論で発言する機会を持つことができ、多様な意見によって議論が精錬されていきます。また、飯田先生は学生たちに対して「なぜ?」「どうして?」などの質問を投げかけ、考察をブラッシュアップしてくれるため、いつも新たな気づきを得られるのがうれしいです。



ゼミの様子


ABOUT SEMINAR

政治の世界で起きている
いじめと同じ構造の「ポピュリズム」とは?

複雑な政治を単純化し大衆を動かす

問題を起こしたタレントをみんなで非難し、それにメディアも加担する。そんな状況をよく目にします。実は政治の世界でも同様なことが起きています。世界で蔓延する「ポピュリズム」のことです。ポピュリズムは、不況や社会的格差についての人々の不満が高まったときに生じやすい政治的現象で、人々の不安を煽ることで支持を集めようとします。その際、人々の「敵」がメディアを交えて作り出され、攻撃の的とされるのです。

例えば、移民・難民問題で揺れるドイツでは、2018年総選挙の結果、ある極右政党が大躍進し、議会の野党第一党になりました。簡単には解決できないはずの複雑な社会問題を移民のせいだと決めつけ、その「敵」がもたらす不安感を煽って多くの支持を得たといえるでしょう。

現代は、各国で、SNSやマスメディアを駆使したセンセーショナルな劇場型の政治がみられます。過熱した世論は、時に民主主義を暴走させることもあります。従って、今後も民主主義をみんなが議論して作り上げる政治的な仕組みとして維持してゆくならば、人々には過熱した世論から距離を置く冷静さが必要になってくるでしょう。

「当たり前」を疑うところから
始まる思考

大きな政治の動きの前に個人は無力です。しかし、少なくとも各自が自らを向上させ、身の回りから少しずつ社会を変えることは可能かもしれません。そのためには自分の頭で考えることができる人が重要です。よりよい社会を作るためにはそういう人が必要なのです。

私がゼミで意識しているのは、学生が「やはり~」と言ったら「どうして『やはり』なのですか」と問い、「~が必要です」と言ったら「誰あるいは何にとって必要なのですか」と聞き返すことです。それは、学生にとって当たり前のことが実はそうではないことを自覚してもらうためです。そしてそのときに、自分の頭で考えるということが始まっているのです。

飯田芳弘 教授

東京大学法学部卒。日本政治学会、日本比較政治学会、日本ドイツ学会、APSAに所属。2017年9月から1年間、ドイツで研究活動を経て帰国。専門:近現代ヨーロッパの政治の歴史。

飯田芳弘 教授

※学年、肩書は取材当時のものです。